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第155項「真夏下の昼休憩②」


「先輩、私と仕事帰りに行った花火大会で私が告白する前に、仕事が無い夏休みの間にどこかで旅行に行く話したじゃないですか?あれについて、少しお話しても良いですか?」

華南さんは、冷たいとろろうどんをすすり飲み込んだ後に話し始めた。


「あぁ。良いよ…。」

俺は、あの時の告白の返事を旅行までにしたいと考えているけど、どこで気持ちを伝えるのが良いだろうか…。


俺の中で解答は決まっている…。だが、それを上手く伝えられる気がしないのだ…。

それに、前に丈瑠が言っていたけど、告白をする時やその返事をする時はムードというものがあるから、それを大事にした方が良いと。本当に恋愛の教科書とか販売してほしい。


「華南さんの中で具体的にどこを訪れたいとかはあるの?」


「そうですね。次の作品の舞台として長野県を考えているので、長野県の上田市、長野市、千曲市(失礼しました。合併していたのですね)、松本市、諏訪市を見たいんですよね。あ、先輩もお茶要りますか?」


「あ、ありがと。それで、現在訪れようと考えている市にある施設とかを見て回る感じなのかな?」

うどんを食べ終えて、冷えたお茶を湯呑に注ぎながら答える。ご馳走様でした。


「はい。まだ、次作の作品のイメージはざっくりした物しかできていないんですけど、比較的に時間に余裕がある夏休みを使って、現地の下見と先輩との旅行を兼ねて長野に行きたいんです。それに、まだ4月くらいに先輩が“東京の夏は暑い”言っていたと思いますけど、数日くらいは涼しいところに行きたいなぁと思って…。」


「たしかに、長野県は東京や埼玉よりは涼しく感じて、旅行として訪れるのにも良い場所だもんな…。まずは第1段階として日程を決めないか?俺は健さんから貰った夏休み表を見ると、9月の第1週目に休みがあるから、行くとしたら土日とかかなぁ?」


「いや、土日の方が善光寺や松本城は混んでいると思うので、平日に行くのはどうですか?」


華南さんは善光寺を紹介する情報サイトに平日の方が比較的空いている事を画面で見せてくれる。


「確かに、観光地はできるなら平日の空いた時ならじっくり見られる気もするから、華南さん、いや、新島先生が平日でもスケジュール的に問題ないなら良いと思うよ。俺も善光寺は落ち着いて見たことが無いからゆっくり見たいなぁ。」


「先輩は、過去に長野県を訪問したことがあるんですか?」


「あぁ。まだ、俺が大学2年生の頃に初めてボディーガードの仕事の依頼をしてくれた人が長野市に住んでいてね、その時に仕事の御礼という事で、短い時間ではあったけど長野市内を案内してもらったことがあるんだ。その時に善光寺を少し見たんだ。」


「へぇ。先輩に最初に仕事を依頼した人とは今でもつながりはあるんですか?」


「あるよ。1週間ある夏休みのどこかであの人に会う約束をしているから、どっちみち長野には行くつもりだったんだよ。」


「その人と会うのはいつなんですか?どこで会うんですか?てか、その人は女性ですか?」


急に興奮気味に言うなぁ。たぶん一番最後の部分が聞きたい点なのかなぁ…。


「え、9月1日の水曜日の16時40分に長野駅に集まる事は決まっていて、駅のどこに集合なのかはまだ決めていないけど…。あと男の人でもう良い年齢だと思うよ。でも若く見えて男の俺から見ても格好良いな。」


「女の人では無いんですね。良かった~。最近先輩の周りに次々と可愛い女の子が現れるのでいつ先輩が私の元を離れてしまうのではないかと心配なんですよ…。女の子もそうなんですけど、一番怖いのはいつ高久君(先輩?さん?)に先輩を取られてしまうかが最近の大きな悩みなんですよね?」


「いや、丈瑠と俺はそんな華南さんが考えるほどの親密な関係ではないわ…。ただの幼馴染というか腐れ縁というだけだから…。」


「先輩が高久君(先輩?さん?)に恋人のように接近してしまったらもうこの世の終焉だと思っています。今は彼が先輩にさらに近づいているというか私が知らない間に踏み込んだ関係になっていそうで…。私はボーイズラブには一切興味ないので…。」


「お、そうなんだ。女子って勝手な偏見で申し訳ないけど、そういうのがみんな好きなのかと思っていた。まぁ、俺は大丈夫だよ。それに、あいつだって宮山という恋人が居るんだし…。それより、まだ店の前で並んでいる人が居るから店を出て歩きながら続きの話しをしようよ?」


俺は幼馴染である丈瑠との距離感が急速に狭まる事より、妹の聖奈が急に深い関係になる方がすごい怖い…。


「わ、わかりました。」


俺らは会計を済ませて店を出る。時刻はちょうど12時45分頃を指していた。

健さんのスタジオまで歩きながら、店でしていた会話の続きをする。


「話を戻しますけど、日程は9月1日出発で、翌日と合わせて1泊2日で旅行に行くのはどうですか?」


「今のところその週に用事は入っていないから、たぶん大丈夫だと思うよ。」


「じゃあ、日程はこれで決定にしましょう!!それで、先輩は長野県で訪ねたい場所とかありますか?」


「う~ん、ぱっと出て来ないなぁ。少し調べてみて良いなと思ったら伝えるよ。今回の旅行の目的は華南さんの次作を描く上での舞台を選ぶのが主であるのだから、行きたいと思っている場所は現時点でさっき言ったのも合わせてどこ?」


「そうですね、上田城、善光寺、松本城、旧開智学校、四柱神社、諏訪湖ですね。」


「城とかけっこう歴史関係の建築物が多いなぁ…。」


「先輩はお忘れかもしれないですけど、私一応文學部(ぶんがくぶ)に所属していて、日本史に出てくる建造物とか見て回るのとか好きなんですよ?」


「文學部所属なのはもちろん知っているけど、日本史が好きというのは初耳だったわ。じゃぁ、東京に来る前とかもよく歴史遺産とかに足を運んだりしたの?」


「はい。父に連れてもらって姫路城や二条城、法隆寺とかは大学1年生の時に行きましたね。彼も歴史好きで、彼の影響で私も興味を持つようになりました。」


「親子で同じ事に興味を持って楽しんでいるのは素敵だね。でも、華南さんって日本史がそこまで好きなのになんで、史学部にしなかったの?」


「歴史はすごく好きなんですけど、文学の方も好きなんで史学部ではなく、文學部に編入したんです。それに編入前から小説家としてデビューするのは決まっていたので、自分の作品作りの為にも文学は勉強しておいて損は無いかなぁと思いまして…。」


「なるほどねぇ。華南さんが今挙げてくれた場所を旅行の行程として一度組んで見る必要があるなぁ。それに来月の第1週目って意外とすぐ来そうだから早めにきっぷや宿泊先も手配しなきゃなぁ。」


「そうですね、また次に健さんのスタジオに来た時に今日の続きを話しませんか?その日までにお互い行き方とか付け加えて訪れたい場所を考えてきましょうよ?」


「ああ。そうだなぁ。俺ももう少し調べて良さそうな場所を探してみるわ。」


俺らはとりあえずキリが良いところで話を区切って午後の原作の方の会議に備えて、さと美さんが待つスタジオまで歩くのであった。




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