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第145項「BBQデートシーン撮影①」

評価・ブックマークありがとうございます。


「じゃあ、今日の仕事について説明しておくわね。たぶん舞美ちゃんは初めて朝から夜までのハードな撮影だと思うから時々休憩時間も取るけど、もし体調不良になったら遠慮せず言ってね!高島君は舞美ちゃんのアシマネだからよく見ておいてね」


「はい」

揃ってはるなさんに答える。


「まず読モのスケジュールから発表するわね。会場入りしたら12:00くらいまで車の中で待機するんだけど、その合間に服に着替えて欲しいからそれは後述するというかそれぞれにメールをさっき送信したから確認してね。そして12:15から車外に出て公園に入りBBQを開始するわ。食べながらで構わないから時々カメラ操作の人に撮影を求められたら指示に従うように」


「その後は、17:00まで各自自由時間にする。夜はこの地域で花火大会が開催されるて花火デートのカットを撮りたいから開催時刻までに浴衣に着替えてもらうから宜しく頼むわ。その撮影が終了したら線香花火のカットを撮って全ての撮影が終了となる。ここまでが読モ達の一日のタイムスケジュールよ」


「は~い。」

それぞれの読モから返事が貸切バスのあちらこちらから聞こえる。


「じゃあ、アシマネのタイムスケジュールは事前に添付資料として送信しているけど、今日渡した人も居るから簡単に説明するかなぁ…。会場近くまで着いたら車を降りBBQの機材や食材の準備を始めてね。火の付け方等も全部渡した資料に記載されているからよく読んでおいてね。読モ撮影中は飲み物を渡したりお肉や野菜を焼いてね。途中自分達が食べたりしても構わないから。特に今日は暑いから熱中症対策しっかりね…。ここまでで質問ある~?」


さっきの会議室で貰ったPDFの資料を拡大させながらスクロールして読み込んでいく。


「質問です!! お肉の等級はどのくらいですか?」


誰だよ、こんな質問した奴…。

食材の品質が気になるの気持ちはわかるけど…。


「良い質問だ。A5和牛を用意してもらったのよ~。きっとすごく美味しいと思うわ~」

はるなさんは質問を予測していたのか待っていましたとさらっと答える。


おいおい。ブランドによってA5和牛も価格は色々だけどよく用意できるお金があったな。


「他に質問はある~?無さそうだから次の説明するね。BBQ終了後、片づけを簡単にして機材等は返却してね。そして花火大会まで読モと同じように待機してね。そして16:30からまた準備の再開をして、花火大会の撮影シーンの時は基本的にその場所は貸し切っているんだけど、関係者以外の人が入ってこないように見張りをしてね。また、花火大会と同時に露店も出るから読モに何が食べたいかを事前に聞いておいて代理で購入してね。そのあとに線香花火の時に必要なバケツに水を張っておいてくれると助かるかなぁ。アシマネのタイムスケジュールはこんな感じよ…。アシマネも同じ人間だから熱中症には気を付けて仕事に励むように!!」


同じ人間だからって、逆に何の生物だったら熱中症に気を付けないのだろうか…。


簡単に説明すると言っておきながらも詳細な説明をしてくれたはるなさんの声を聞きながら一日の仕事のイメージを頭に入れておく。


「先輩、今日はどこの会場に行くか知っていますか?」


「確か西東京の方にある大きな公園だったと思うけど?」


俺は再びスマホ内のPDFの資料に記載されている約一日滞在するであろう公園の位置や名前を舞美さんに見せる


「思ったんですけど、向かっている場所って私達が住んでいる家の方向に近くないですか?」


「どれどれ。あ、本当だ。舞美さんはこの公園に行ったことある?」


俺は、一番最初にこの場所についてスクロールした時は気付かなかったが、スマホ内にある地図と照らし合わせて見ると舞美さんの言う通りだった。


「そうですね。大学に入学してすぐに何かの新歓の会場先がこの公園だったのでその時に行った気がします。駅から比較的近くて便利だったんですけど、公園の敷地に入ると凄い広くてその中での移動が大変だった気がします。先輩は来たことありますか?」


「まじか、そんなにその場所は敷地面積が大きいのか。俺はこの公園の名前自体は聞いたことあったけど訪れた事はたぶん無いなぁ。新歓ってどこの部活というかサークルに参加したの?ていうか、舞美さんって今何かサークルとか所属しているの?」


今まで舞美さんと大学の話とかしたこと無いから気になった。


「う~ん、確かあの時に参加した新歓サークルは“スパイ研究会”っていう珍名なサークルに所属していました。一年前くらいに退部しましたけどね…。」


退部したという事は今はサークルには属していないんだな…。


「名前からして凄い怪しい名前のサークルだな…。スパイの何について研究するのか全く見当がつかないな。所属していた時は具体的にどういう活動をしていたの?」


この大学にカレーや香辛料などを扱う()()()()()()()があるのは聞いたことがあったけど、()()()()()()なんてサークルがあるとは…。


「そうですね。スパイの歴史を通してその世界の中での偉人の名前を調べたり過去にスパイ経験を持っている人からの話を聞いたり、実際に自分達もスパイごっこやったりしました。」


「それを自分達が試してみて楽しいの?」


「私も入部する最初の時は楽しいのか疑問でしたけど、活動をする中でスパイの歴史やそれらの活動する上での方法を調べて知識として吸収してみると面白かったですね。」


「へぇ~。じゃあ、なんでそのサークルを辞めたの?」


「そのサークルは週に3回の活動日があって意外と忙しいのと同時にお金もかかり貯金が尽きてきてしまったのでアルバイトしたいなと思ったからです。先輩は新歓とか入学してすぐに行ったりしたんですか?」


「え、俺はボディーガードの仕事を既に始めていてサークルに属したりすると変に友達付き合いしなきゃならないじゃん?さらに言えば自分で稼いだお金がしょうもない理由で支出されるのは微妙だなと思ったからサークルの勧誘とかは全部無視していた気がする。」


「先輩が当時から仕事人であったことは容易に想像出来ますね…。仕事でどのくらい給料を貰っていたのかは知りませんけど、友達付き合いで発生する交際費用を削減する為にサークルの勧誘を断っていたと言いましたけど、そもそも先輩って陰キャだから人に話す事が苦手だっただけなんじゃないですか?」


「中々強い毒針を刺してくるな…?まぁ、舞美さんが言うようにその線も間違っていないよ」


「いや、先輩の場合その線しかないでしょ?初対面の人と話すのが超苦手で特に女性との会話の時間が自分にとって酷だからそれを避けるために自らボッチになってソロ充を謳歌していたのかと思っていましたけど?私と出会う前までは」


倒置法にしなくて良いから…。


「見事に大学1年生の入学してから1週間経過してからの俺の心情をほぼ言い当てたな」


「よ~し。はい。聞いて~~!!公園の前の駐車場に着きました。アシマネはBBQの機材等の準備をお願いします。読モの人は私達の駐車場の横に止まっている洋服を着替えるためのスペースを用意したので、そこでこの後に説明する服に着替えてください。はい。はじめ~~」


「じゃあ。俺は準備をするからまた後でな?舞美さん」


「はい。頑張ってください。この後に着替える服に関してちゃんと感想を述べてもらいますからね?」


「お手柔らかにお願いしたいな」


俺は、ロケバスを降りて公園の敷地に入る。


さっき舞美さんと話していた時に聞いたけど、まず駐車場が広すぎて公園の正面入口の姿が見えない。


立って思ったけど、相当広い場所だなと思ったのと同時にBBQをどの敷地でやるのがここからは見えない。


渡されたPDFに目を通しながらBBQをやる場所に向かって15分程度歩き続けるとBBQエリアを表示する看板が見えてきた。


その場所には既に舞美さんのショットをいつも撮影してくれているフレンドリーなカメラウーマンがBBQで使うであろう機材を運びながら話しかけてきた。


「やあやあやぁ~。高島君。お久しぶりだね~。ここ最近毎日暑いよね~?」


俺の肩に手を載せながらテンション高めで話しかけてくる。

夏休みなんだから毎日暑いに決まっているだろ?


「あの~…。普通に暑いんですけど?てか、自分で暑いと感じているなら俺の肩にくっつかなければ良いじゃないですか?そういえば、あなたのお名前なんでしたっけ?」


この女性と何回か仕事で同じになることがあったが、名前をまだ聞いていなかった気がする。


「あ、私?まぁまぁ、そんなのはいいじゃん。それよりどうなのよ?」


「何がですか?」


俺も事前に用意されたBBQセットを指定された陣地に配置する。

そしてその横には日差しを避ける為であろう簡易的なテントがあるのでそれを組み立てていく。


「舞美ちゃんと付き合っているんでしょ?」


俺の質問を完全に受け流して自分の名前を名乗らずに舞美さんと俺が恋人として付き合っていると思っている点が大きな勘違いであることをこの人に早く理解させないと…。


そういえば、この女性、舞美さんの事を“ちゃん呼び”しているから、それなりに彼女と親しい関係がある人なのかな…。いったい何者なんだろ…。


「え?付き合っていませんよ…。俺は舞美さんのアシスタントマネージャーな()()なんで、なぜ俺らが付き合っていると思ったんですか」


その点は早めに払拭して誤解を解消したいところだ。

変に遠慮されたりしても困るのだ。


「高島君~。分からないの~?君って本当に鈍感すぎだよね?自分の周囲の状況にそろそろ気づかないと後々強く恨まれるぞ~?あ、そうだ。もし何か困ったら私に連絡しても良いよ?」


この言い方は連絡先をよこせという意味なのか、この人の中では俺の連絡先を得た前提で話をしているのか分からないな…。


「あなたの連絡先知らないので相談すらできませんけど?まぁ。相談をする事なんて今後発生する事なんて無いと思いますけど…。」


「じゃあ?私の連絡先欲しい?」


「いえ、大丈夫です」


バスの中で今日の説明の後に質問があったA5和牛が鎮座した食材の方の準備も完了する。


「ええ~。私は高島君の連絡先欲しいんですけど…。交換しようよ~?せっかくの縁だしさ~。もしここで交換しておけば後になって助かることがあるかもよ?」


「はぁ…。分かりましたよ…。ここで俺が断っても諦めてくれなさそうなので、名刺を渡すので良いですか?」


「え?大学生なのに名刺持っているなんてすごいね?ていうか…。君は外見だけだと目が死んだ社畜にしか見えないけどね。いや、言動も含めても大学生以上に大人びてるよね~」


その台詞が余計なんだよな…。

だけど、自分でも理解していることを改めて他人に言われると俺は大学生に見えないのであろう。


「今の大学生は就活の時に名刺は必須なんですよ?それと軽く俺の事をディスるのは辞めて欲しいんですけど?」


「名刺のデザインかっこいいね~!それに情報がコンパクトにまとまっていて見やすいわ。今日の仕事が終わったら連絡するね」


聞き流すな…。話を聞け!


「俺、基本メールは仕事の時以外に見ないので返信が来るかは期待しないでくださいね?最悪の場合1週間くらい放置している時もあるので。」


「君、本当に大学生? いや、もう社会人か…。」


「もう俺の事を社会人だと納得するのは辞めてください。()()、大学生ですから?」


「それで、話は変わるが高島君はBBQはしたことある~?」


「無いですね…。今回が初めてなのでちゃんと火を点けられるか懸念点ですねぇ。」


家族と出掛ける時も旅行に行く事はあっても河原でBBQをやるという発想は高島家には無かったな。


「普段仕事以外で外出する事がほとんど無いからこの歳になってBBQ初めてなんだよね~。この公園には来たことある?」


「名前は聞いたことはありましたけど、この公園の敷地面積が凄い広いですよね?元々何かの用地だったんですかね?」


「この場所はかつて飛行場があったんだよ?時代が経過して飛行場から市民の憩いや防災拠点を意識して公園として整備されたんだ。そして、毎月何かしらのイベントが開催されていて今月の目玉は今晩開催される花火大会だよ?他の会場で打ち上げられる玉より大きな尺玉を採用しているからきっと見応えあると思うよ」


「はなびたいかい…か」


一昨日の花火大会の事を急に思い出す。あの告白の返事本当にどうしようか…。

概ねあの返事の内容というか俺の気持ちは固まりつつある。


「高島君?どうしたんだい?そんな浮かない顔をして…。何か悩んでいる事でもあるのならお姉さんが相談相手になってあげても良いよ?」


俺ははっと今の状況に戻って落ち着く。

この女性はなぜか知らないが舞美さんと俺が恋人だと納得したいみたいなので一昨日の晩の出来事について悩んではいるが相談に乗って解決できる気がしない。


「いえ、大丈夫ですよ」


「そう。なら良いけど?あ!読モの人達も着替え終わって入ってきたみたいだから舞美ちゃんの今日の服についてもアシマネとしてちゃんと褒めてあげるんだよ?ああいう子は褒めてあげれば彼女の自信と満足感に繋がるはずだからね」


「はい。了解です」

そう言って名無しのフレンドリーカメラウーマンは俺の元を離れていった。


「せ~ん~ぱ~い!!どうですか?今日の服装の感想は?」


声が聞こえた方に振り向くと、BBQをするにはふさわしいであろうデニムのパンツに上半身はネイビーブルーの半袖という格好だな…。


「BBQをする上にはふさわしい格好だな?」


「前に聞いた先輩の女性への服の好みはあっさりした色遣いやデザインの服が好きなんですよね?」


「好きというか派手な服装が苦手なだけだ。BBQってやっている時に炭とか煙で汚れるから白い服とか着て来たらどう感想を述べようかと思ったけどその心配は無かったな」


「先輩、私をバカにしているでしょ?その言い方」


「バカにはしていないけど。それよりその紫外線を抑えるための帽子を被っている姿とか世間の男性は好きそう」


帽子を被っている女性って何か萌えるよね…。


「世間の男性という範囲に先輩は入っているんですか?」


「どうだろ。帽子を被ってくる人は意外と好みだからもしかしたら今回ばかりは入っているかもしれない」


「先輩が帽子ガールが好きだなんてなんかちょっと嬉しいです」


「お~い。ちゅうもく~~!全員位置に着いたな。これからアシマネはBBQの火を付けて肉や野菜を焼いてくれ。読モは簡易テントで日差しを避けながらも順番が来たら撮影する感じで頼む」


俺は火を点け炭を入れていく。

まだまだ、夏のBBQの時間は始まったばかりだ。



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