初デート
──2月18日(土) 9:52
「ごめんっ……待った?」
声のする方を振り向いてみると、そこには俺の彼女・千晴が居た。
──そう、今日は俺の初デートの日なのだ。
「いや、待ってないよ。俺もいまきたところだし」
「ほんとっ?良かったぁっ…」
胸をなでおろすような仕草をしつつ、安心した顔を見せてくる。ああ、可愛い。
ちなみに今来たというのは全くの嘘である。本当は10時集合にしていたのだが、俺は実は9時半には既についていた。
別に待ってやろう、とかそういうのではなく、純粋に楽しみで仕方なかったのだ。
「じゃあ、行こっ?」
千晴が少し恥ずかしそうにしながらも声をかけてくる。その恥ずかしげな表情も可愛いかった。何もかもが可愛い。
俺達はそのまま歩き始めた。このまま映画館に行く予定だ。
付き合う前から何度が遊んでいたので、高校生の初デートから映画館に行くなんて贅沢な計画を立てている。
見る映画は今一番有名なものだ。俺は全く興味がなくて見たことがなかったが……。千晴が見たい見たいと言ってくるし、今なら少し見てもいいかも、と思えたのだ。これもイケメン効果だな。イケメン万歳。
電車で数駅行けば、都会の方に出れる。
俺が住んでいるところはいわゆる郊外であり、それなりに色々あるものの、映画館は都会まで出てこないと無い。そもそもこの後のことも考えれば都会の方が都合がいいというのもあるが…。
電車の中で他愛のない会話をしつつ、俺達は目的地の駅にたどり着く。
そこから歩いて数分のところに映画館はあったはずだ。もちろん、検索知識。実際に行ったことはもちろんない。
まあ最悪千晴の方が知っているだろう、なんて思いながら歩こうとすれば、そっと千晴が手を出してくる。
俺は彼女が何を言いたいのか分からなかったが、その手が俺の手を握ろうとする動きを見てようやく察した。
……ドキッとする。そういう不意打ちはやめて欲しいものだ。
寒さからポケットの中に突っ込んでいた手を出してはパーにしてやった。すぐに千晴は俺と手を握ってくる。
ああ、俺が女の子と手をつなげる日が来るなんて…。
俺はこぼれでそうになる笑みを必死に隠しながら、彼女と会話を続けながら映画館に向かって歩いていった。
俺は、最高の一日を過ごした。
イケメンって、素晴らしいな。




