第3話
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子供が小学校に入ると、学校やPTAの行事に顔を出す機会が多くなった。それは意識してそうするようにしていたのだけれど。学校のことに携わっていることであの人に会える確率が高くなるような気がしていたから。
PTAの行事として行われたバレーボール大会に参加したのがきっかけで、ママさんバレーボールのクラブチームに誘われた。活動範囲を広げるのは家庭的に厳しいものはあったけれど、幸い、夫はこのところ昇進したのをきっかけに仕事が忙しくなり、帰りも遅くなってきた。家で夕食を取ることも無くなった。夫のことをする必要が無くなった分、何とかやりくりできそうだった。
誘ってくれた6年生のお母さんに連れられて初めてクラブの練習に参加した。
「安西さーん」
彼女が声を掛けたのはチームのキャプテンをしているという人だった。
「小学校のバレーボール大会でスカウトしてきた青山さん」
彼女は私をそう紹介してくれた。
「よろしくお願いします」
「大歓迎よ。楽しくやりましょう」
小柄だけれど、きりっとした表情からはリーダー的な要素が全面に溢れていた。年齢は私と同じくらいだろうか…。
練習後の飲み会。2時間とはいえ、こんなに運動をしたのは何年振りだろう…。既に、筋肉痛が始まっているようだ。明日はきっと辛いだろうな…。
「青山さんって、いくつ?」
キャプテンの安西さんが尋ねて来た。
「35歳です」
「うそ!私の一つ下?もっと若いと思ってた」
「じゃあ、キャプテンは36歳なんですね。キャプテンこそお若いじゃないですか」
お世辞ではなくて本当にそう思った。そして、話している途中で気が付いた。キャプテンの苗字は安西といった…。安西と言えばあの人も確か…。
「あの…。一つ伺ってもいいですか?」
「なあに?」
「キャプテンの旦那さんって、PTA会長だった…」
「そうよ。良く知ってるわね。まあ、PTA会長なんかやってると、無駄に有名になっちゃうんだけどね」
この人はあの人の奥さん…。




