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第3話 『今日の寝床は』

特急きりしま18号。

康介たちは、列車に乗り込んだ。

普通車の座席は2+2列。康介は宗士の隣に座り、宗士から通路を挟んで向かいに優樹が座る。

柚希と彩音は宗士と康介の後ろに座った。

さまざまな思いを乗せて、20時20分、列車は鹿児島中央駅を発車した。

ポイントを通過する音が響く。

優樹は、当然のごとく時刻表を読んでいる。

柚希は、車窓の光景を眺めながら何かを考えている。

彩音、宗士、康介はホテルを調べていた。


「井原君、上条さん、駅前にビジネスホテルがあるよ。ここなら宿泊費も安いし、いいんじゃないかな」

「あ、いいね。」

「ええんちゃう?じゃあ空き部屋調べるか」


彩音が調べていた。


「あ、よかった。空いてるよ」

「よし、じゃあ決定や。みんなここでいい?」


「OK!」


満場一致で可決。それもそうだろう。こんな時間に空いているホテルを探すのは難しいはずだ。

康介は予約の確保を試みる。しかし、問題があった。

奴等のことだ。

「年齢詐称」とは言ったが、もし15歳のところをこのカードによって5歳だと詐称してしまったらどうなることか。

というか、年齢詐称カードの概念自体が嘘かもしれない。

このカードはただの紙切れなのかもしれないのだと。

だが、予約を取るのが到着してからだと今ある空きが奪われてしまうかもしれない。

康介は、考えた末にあることを思いついた。


「あいつの話だと、このカードに制限はないと言っていたね。実験だ。井原君、僕に何歳かと聞いてくれないか」


康介はそう言うと、年齢詐称カードを財布から取り出す。


「お前何歳や?」


宗士が聞くと、カードが作動したのだろうか、宗士は「あぁ、25歳か。へいへい」と言った。


そして、この実験を他のメンバーでも行った。

柚希がカードを持った彩音に年齢をたずねる。同じことを、彩音から宗士に。宗士から優樹に。優樹から康介に。康介から柚希に。

結果はすべて同じだった。なるほど、間違いではなさそうだ。

すると、5人の耳に“ヤツ“の囁き声が聞こえる。


「安心したまえ。このカードを使えば諸君は今の年齢に10歳プラスした年齢であることになる。こんなところでつまづいては面白くないからな。じゃあワタシを楽しませてくれよ、ハハハハハハ…」


「なんだよあいつ…」

「話し方鼻につくよね」

「私は…苦手だな」


5人はデッキに出ると、口々に愚痴をこぼす。

鹿児島中央駅を出てから10分が経った。都城駅まではまだ1時間10分はある。到着までのこの時間は休憩時間とし、5人はふたたび席についた。

優樹は、時刻表を読んでいる。

柚希は、何かを調べている。

彩音は、寝ている。

宗士は、コンビニで買った弁当を食べていた。

康介は、コーヒーを片手に車窓の風景を眺めていた。


そうしていると、時計の針は21時44分を指していた。都城駅到着のアナウンスがかかる。


「さぁ、そろそろやな」

「準備しよか」


康介に続いて、宗士も荷物をまとめる。

柚希、彩音も席を立った。

優樹はとうの昔に立っていた。


電車はホームに滑り込む。扉が開く。


「さぁ、行こう」


改札を出る。ホテルは駅を出てすぐそこだ。

ホテルへ歩く彼らには、やはり緊張が否めなかった。

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