第4話 『カードと変態』
ホテルの前に着く。
予約サイトでは、あまり混雑していない2人部屋を3部屋選んだ。
「よし、チェックインしよう。俺と夢野君が先遣隊として入る。ここでもし年齢詐称カードが変なことになったら、今若さんと上条さんと前田君は逃げてな」
そう言って、宗士は康介と共にホテルに入る。
「未成年なら親御さんの同意書が必要ですが…親御さんの同意書はありますか?」
想定通り、フロントで引っかかった。
だが、ここからが本番だ。
宗士と康介は例のカードを提示する。
「あ、25歳でしたか、これは失礼いたしました」
“ヤツ“の言うことは本当だったのであろう、チェックインは難なく突破できた。
その後に続き、柚希と彩音、そして優樹も関門を突破した。
「よし、僕らの部屋はーーー」
「ここや」
康介と宗士が1部屋。柚希と彩音が1部屋。そして優樹が1部屋。
「今日は前田君が1人だけど、明日はまた配分変えようか」
康介が言う。
時刻は22時10分を回っていた。
「あの…切羽詰まってまともに自己紹介できてなかった部分があると思うんだけど…例えば呼び方とか。みんな何て呼んだらいいかな?」
優樹が切り出した。
「あ、確かに」
彩音も頷く。
「僕は『康介』か『夢野』って呼んでくれたら」
「私は…彩音かな」
「俺は宗士で」
「僕は前田で。…まぁ、優樹でもいいか」
「私は…柚希で…お願いします。」
これで呼び方問題は解決した。
「他に何か話しておかないといけないことは…ないか。話したいことは色々あるかもしれんけど、とりあえず今日は寝ようか」
康介はそう言うと、宗士とともに部屋に入った。
柚希と彩音、そして優樹も部屋に入った。
初対面の人と夜を共にすることなど、誰が想像できただろうか。
だが、そんなことを言っている暇はない。休戦時間は朝5時までだ。
さっさと入浴して寝なければならない。
不思議なことに、康介たちの着替えは“ヤツ“によって自分たちの家から引き出して手配されていた。
「え、なんで…」
「これ私が修学旅行に持って行ったキャリーケースだよね?何であるの?」
「彩音ちゃん、修学旅行のキャリーケースとか、いつも着てる服とか全部あるんだけど…」
「私も着替えとか全部あるんだよね。何でだろう」
彩音と柚希の部屋では、2人は驚きを隠せずにいた。
「怖いんだけど…」
「さっきの男の人の仕業だよね、これ。女子のクローゼットの中をいじるなんて気持ち悪い…」
「まぁ、ないよりはマシだよね」
◇◇◇
一方、康介ら男子3人は、優樹の部屋で熱心に語り合っていた。
「…ということで、ここではホームを通らなくてもその駅に入ったことになる」
「これがデルタ線なんやな!ええなぁ〜!」
「それいいよな!じゃあ明日は大分に入って、それでやるのは…」
ー「大分の変幻」ー




