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第2話 『第一歩』

時刻は19時50分。

康介たちは、ルートの模索をしていた。


「じゃあ、鹿児島中央から新横浜まで向かいたいということで、考えていこうか」


優樹が言う。


「22時からは動いちゃダメだよね。じゃあ多分九州の真ん中くらいが今日の限界じゃないかな。」


彩音が言うと、康介も頷く。


「じゃあ、九州新幹線一択だろ!」


宗士が自信満々に言う。


「いや、それは難しいと思う。鬼は小倉にいるから、九州新幹線で正面突破は難しい」

「そうだ、なんなら鹿児島本線でも難しい。」


康介と優樹が待ったをかけた。


「じゃあ、どうすれば…」


まずは、九州を出なければならない。

ここで、柚希が静かに話す。


「日豊本線で、九州の東側を抜け出すルートがある。この時間からだと宮崎県までが限界だけど、明日には大分を出ることができるよ」

「その電車は?」


宗士がたずねる。だが、宗士がたずねるコンマ1秒前に、優樹が答えていた。


「20時20分発、特急きりしま18号。時間制限の中だと、都城(みやこのじょう)駅まで行ける」

「は、はや…」


優樹の調べる速さに、宗士は絶句する。優樹はすました顔で時刻表を閉じる。

さらに優樹は続ける。


「21時46分に都城駅に着く。ここから普通列車に乗り換えれば、制限時間ギリギリで1つ先の三股(みまた)駅まで行くことができる。ただ、泊まる場所とかを考えると、都城までにした方がいいと思う」

「まぁ、特急停車駅やもんな」


そこに、さっきの声が聞こえる。男の声だ。どこか鼻につく響きだ。


「さて、開始まで残り3分。諸君にはワタシが開発した『年齢詐称カード』を渡してやろう。せめてもの慈悲だ。ホテルには未成年は泊まれない。それで諸君が野宿でもしてサツに補導されてしまっては、面白くないからな。そこで、このカードをフロントで提示すれば、職員を騙して宿泊することができる。このカードに制限はない。」


さらに、男は続ける。


「あ、そうそう。ワタシは諸君が町の人に起爆スイッチのことを言おうとしたら話せなくなるようにしている。つ、ま、り、他人の助けは、得られないのだ!5人で解決するがよい。せいぜい苦しんで泣き叫べ、楽しみにしてるぞ!ハハハハハハ…」


ここで、彼らの見る景色は監獄から鹿児島中央駅の桜島口に変わる。


「そこが諸君のスタート地点だ。頑張りたまえ。さぁ、カウントダウンだ!」


秒針が動いていく。ゆっくり、ゆっくり。そして、ついに20時00分00秒を指した。


「さぁ、開始だ!位置情報は20分に1回、自動で交換する。ではーーー」


「行くぞ!」


康介が言う。

5人は切符売り場に向かう。


「特急に乗るには、その区間の運賃の上に特急料金がつく。いちばん安いのは自由席だ」

「自由席でええやろ、新横浜に着きさえすれば」


特急きりしま18号は、20時20分に鹿児島中央駅を出る。切符を買い終わったが、発車までは15分ほどある。


「よかったら…近くのコンビニで何か買っておかない?きっとお腹空くと思うから…」


彩音が言う。

駅ナカのコンビニは、旅の始まりを想起させる。通勤客を除いては。

おにぎり、弁当、菓子、パン…。今日の夜食、明日の朝食などを買い、5人はコンビニを後にした。


「さぁ、運命の第一歩だ」


5人は、2階にある在来線改札口を通る。

それは、日本の明日を守るための、偉大なる第一歩だった。

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