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ショートストーリー(4) やさしさの刃

善意は、正しいことです

けれど、善意が善意であり続けるのは

難しいことです

幼いリリアーナは、窓の外を見ていた。


領地の屋敷

その門の前

人が並んでいる

寒そうに、じっと待っている


「今日は多いわね」


母が言う。


「ええ」


執事が答える。


「近隣の村で、少し問題があったようで」


母は静かに頷いた。


「では、予定通りに」


その日、屋敷では施しが行われた。


パンと、少しの温かいスープ。

人々はそれを受け取り、何度も頭を下げた。


「ありがとうございます」

「助かりました」


その言葉を、幼いリリアーナは見ていた。


人が助かっている。

喜んでいる。


それでいいはずだった。


――数日後。


門の前には、また人が並んでいた。

数は、前より増えていた。


「……どうして」


小さく、呟く。


執事が答える。


「噂が広がったのでしょう」


「いいことではないの?」

「ええ、ですが」


言葉を濁す。


「続けられなければ、いずれ崩れます」


その言葉の意味を、そのときは分からなかった。


――さらに数日後。


施しは中止された。


「どうして?」


母に問う。


母は、ほんの少しだけ目を伏せた


「全部は、支えられないの」


門の前の人々は、静かに去っていった


怒る者はいなかった

ただ、顔が暗かった


(……前より、よくない)


助けたはずなのに


その後

リリアーナは、書庫の奥で

一冊の古びた本を見つける


『優しさは、続かなければ刃になることがある』


そんなことが書かれていた


リリアーナは、その一文をじっと見つめた。


(……どういうこと)


分からない。


けれど、その言葉は、ずっと残った


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