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『転生したのに転移で地球に戻っちゃった?! しかも何故43歳?! 王国の魔法革命児 〜爆鳴の鬼と呼ばれた男Ⅱ』  作者: だい
宮司になった社畜、魔王と呼ばれだす

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第80話 世界が爆発した日

特区の建設が進む中、ちえは移住者の受け入れに向けて、種族ごとの性質を世界に向けて発表することにした。


「受け入れる側が、相手のことを知らないと揉めますからね」


ちえはそう言って、再びカメラの前に立った。


最初に発表されたのは、獣人についてだった。


身体能力が人間よりはるかに高いこと。犬の獣人は鼻が、猫の獣人は耳と目が、人間とは比べものにならないほど利くこと。そして、生涯の番を見つけると、子供の姿から大人の姿に変わること。


「番を見つけると大人になる、ですって……!」


「何それ、尊い……」


ネットは、それだけでも十分に盛り上がった。


次はドワーフだった。


「ドワーフの皆様は、鍛冶はなさいません。鉄も使いません。己の拳と筋肉だけを信じ、お酒をこよなく愛する種族です」


スクリーンに、大熊を素手で担いでいるドワーフたちの写真が映った。世界中の格闘技団体と酒造メーカーが、その日のうちに真龍国へ問い合わせの電話をかけた。


そして、最後にエルフの番が来た。


ちえは、少しだけ間を置いてから話し始めた。


「エルフの皆様は、普段は十二歳くらいの子供のお姿をしています。ですが、それは仮の姿です」


スクリーンに、子供の姿のシューメルが映った。次の瞬間、シューメルは光に包まれて、すらりとした大人のエルフの美女に変わった。


「エルフの皆様は、相手の方が一番好むお姿に化けることができます。また、エルフの皆様は、他の種族の方との間でしか子供ができません。そのため、他の種族の方と交わることが、エルフの皆様にとってはお食事のようなものなのです」


その瞬間、世界は比喩抜きで爆発した。


世界中のネットが一晩で落ちた。各国の議会では、緊急で議題に取り上げられた。宗教団体は声明を出し、学者たちはテレビで討論を始めた。


◇


さらにちえは、エルフの皆様の生活のために、特区の中にエルフによる歓楽街を作る構想を発表した。


当然、反対の声も上がった。


「女性の性を搾取するものだ!」


「人権の侵害だ!」


一部のフェミニスト団体が、各地で抗議の声を上げた。


だが、その声はすぐに、もっと大きな声に押し流された。


「食事も兼ねてるんだ! 仕方ないだろ!」


「エルフさんたちが飢えてもいいって言うのか!」


「本人たちが望んでるんだぞ!」


テレビの討論番組では、エルフの年長者が直接画面に出てきて、退屈そうに言った。


「別に、搾取なんてされてないわよ。こっちは食べたいから食べるだけ。無理やり襲って捕まるより、よっぽどいいじゃない」


それでも収まらない一部の声に、ちえは追加の発表をした。


「なお、歓楽街には、男性のエルフによるお店もご用意しております。女性の皆様のお越しも、心よりお待ちしております」


スクリーンに、大人の姿に化けた男性エルフたちが、にこやかに手を振る姿が映った。


その瞬間、反対の声は、ぴたりと止んだ。


そこから先は、もう値段の話しかされなくなった。


「一晩いくらなんだ?」


「予約はどこから取れるの?」


「抽選なのか? 先着順なのか?」


ちえの元には、世界中から問い合わせが殺到した。


◇


その騒ぎを、ノピアのコネグ領でも、エルフたちが白龍の映像越しに見ていた。


「……ねえ、これ、本当に私たちの話?」


シューメルが、画面に映る予約サイトの行列を指さして、目を丸くしていた。エルフの年長者は、腕を組んで唸っていた。


「こっちの世界じゃ、森の外に出たら撃たれるか、捕まって売られるかだったのに。向こうじゃ、こっちがお金をもらう側なのね」


「しかも、選ばなくても向こうから来るんでしょ? 天国じゃない」


若いエルフたちは、地球へ行く日を指折り数えて、きゃあきゃあと騒いでいた。


その隣では、ドワーフたちが、地球の酒造メーカーから届いたという問い合わせの話を、エリンから聞いていた。


「向こうの酒造りの連中が、うちの一族と契約したいそうだ。毎月、酒を樽で送ってくると」


「樽でか!」


「毎月か!」


ドワーフたちは、その場で抱き合って喜んだ。


ミーナは、画面の中の猫耳のカチューシャをつけた観光客たちを見て、首を傾げていた。


「ご主人様。どうして地球の人たちは、自分に耳をつけてるんですか?」


「お前らになりたいんだよ」


ケントが答えると、ミーナはしばらくきょとんとしていたが、やがて照れくさそうに尻尾を揺らした。


◇


歓楽街の予定地では、地価が爆上がりした。


それどころか、車で通える二百キロ圏内の土地まで、値段が跳ね上がっていった。ホテルの建設計画が次々と立ち上がり、不動産会社は土地を奪い合った。


アメリカの爆心地の周りでは、つい半年前まで誰も近づかなかった焼け野原に、世界中から投資家が押し寄せていた。


神子神社の社務所では、ちえが不動産の資料と、特区の土地の権利書を交互に眺めていた。


特区の土地は、すべて真龍神子国のものだった。周りの土地も、地価が上がる前に、ちえがこっそり買い占めていた。


「ふふ……ふふふ……」


ちえの口から、抑えきれない笑い声が漏れた。


「わはははははは! 笑いが止まらないわー!」


その夜、白龍越しに報告を受けたケントは、画面の向こうで高笑いを続けるちえを見て、遠い目をした。


「……お前、それ、どれくらい儲かってんだ?」


「聞かない方がいいですよ、ケントさん。国が三つくらい買えます」


ちえは眼鏡を光らせて、にっこりと笑った。ケントは黙って、白龍との通信を切った。


正座から解放されて縁側で寝そべっていたヘルパンギーナが、ナミに小声で聞いた。


「……のう、ナミ。ちえは、大丈夫なのか?」


「うーん、たぶん、すっごく嬉しいんだと思う」


ナミはそう言って、ヘルの頭をよしよしと撫でた。

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