↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『転生したのに転移で地球に戻っちゃった?! しかも何故43歳?! 王国の魔法革命児 〜爆鳴の鬼と呼ばれた男Ⅱ』  作者: だい
宮司になった社畜、魔王と呼ばれだす

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/75

第46話:崩壊する覇権と白日の下

ハワイ諸島の完全消失と、北米西海岸を襲った絶望的なメガツナミ。

そして、世界中に響き渡った魔王の冷酷な通告。


『あの作戦に関わったすべての関係者とかかわりあうな。家族ともだ。食料も売るな、病院も受け入れるな、離婚してなきゃ子供を学校にも行かせるな』


その言葉は、合衆国という国家の全土に、絶対的な感染毒となって広がっていった。


「おい……聞いたか? 相手は神でも悪魔でもない、ハワイを瞬時に蒸発させる化け物だぞ」

「関係者と関わるだけで、俺たちの家族まで食料も医療も拒絶されて餓死させられるんだ……!」


全米各地で、かつてない規模の狂乱とパニックが巻き起こった。


昨日までWASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)の老紳士たちに媚びを売り、その膨大な富と権力に平伏していた者たち——米軍の将校、警察幹部、連邦議員、そして民間軍事会社(PMC)の兵士たち。


彼らは一瞬で悟った。

自分たちがどれほど忠誠を尽くそうと、あの東洋の魔王の前ではWASPの金も権力も何の盾にもならない。そして、このままWASPに従い続ければ、自分たちだけでなく、大切な家族全員が地球上から排斥され、地獄の苦しみを味わうことになるのだと。


「……家族を守るぞ」


最初に動いたのは、WASPの地下要塞を警護していたPMCの兵士たちだった。


「隊長! どこへ行く!? 契約違反だぞ!」

「うるせえ! 俺にはワシントンに妻と娘がいるんだ! あの化け物に『家族もろとも死ね』と言われて、誰がお前ら老いぼれの道連れになるかよッ!」


ババババババッ!!


凄惨な発砲音が地下通路に響き渡った。

雇われていたはずの最鋭の兵士たちが一斉に銃口を反転させ、自分たちに指示を出していたWASPの末端役員や研究員たちを次々と射殺し始めたのだ。


それだけに留まらない。

米軍の各部隊はワシントンからの全命令を拒否。警察機構は完全に崩壊し、街には「WASP関係者のリスト」を手にした暴徒と化した市民があふれ返った。


「WASPの隠れ家はどこだ! 奴らを差し出さなきゃ俺たちが殺される!」

「あいつらのせいだ! あいつらが日本の神子神社を怒らせたからだ!」


全米規模の凄惨な内戦の勃発。

昨日まで世界を陰から支配し、高みの見物を決め込んでいたWASPの老紳士たちは、自分たちが飼い慣らしていたはずの「アメリカそのもの」によって、狩られる側に叩き落とされた。


深度五百メートルの対核地下シェルター。

重厚な密室に潜んでいたWASPの最高幹部たちは、外から聞こえる凄まじい爆発音と怒号に、顔を真っ白にして震えていた。


「な、なぜだ……!? 米軍は何をしている! PMCの増援はどうした!?」

「だ、ダメです! 警護部隊が反乱を起こしました! 外部の米軍も我々を拘束するために突入してきます!」


「馬鹿な……! 我々はアメリカの真の支配者だぞ!? 奴らは我々の金で飯を食っていたのではないのか!?」


白髪の老人が金切り声を上げた、その瞬間。


ドドォォォォンッ!!


シェルターの防圧扉が、熱切断トーチと爆薬によって力任せに吹き飛ばされた。

硝煙の中から踏み込んできたのは、血と汗に塗れた米軍の特殊部隊と、憤怒に目を血走らせたPMCの兵士たちだった。


「ひ……ひぃぃっ! やめろ! 金ならいくらでも——」


「黙れ、老いぼれが!」


将校が一歩踏み出し、老人の髪を掴んで力任せに床へ叩きつけた。


「お前たちの身勝手な実験とプライドのせいで、ハワイが消え、西海岸が呑まれたんだ! これ以上、俺たちの家族を巻き込んでたまるかッ!」


「離せ! 無礼者! 私は——」


「カメラを回せ! 世界中に生中継しろ!」


兵士たちが、カメラのレンズをWASPの老紳士たちに向けた。


白日の下に引きずり出された「世界の黒幕」たち。

彼らは何百万人という市民が見つめる中、生中継のカメラの前で、昨日まで下等生物と見下していた自国の兵士や民衆の手によって、次々と首を跳ねられ、惨めな悲鳴を上げながら処刑されていった。


「神子神社へ伝えろ! 黒幕は全員処刑した! だから……だから俺たちの家族には手を出すなァァァッ!」


将校がカメラに向かって、血吐くような悲鳴を上げて叫ぶ。



その生中継の映像を、日本の神子神社の社務所で、ケントは冷ややかな目で見つめていた。


「……フン。自業自得だな」


ザラとレナを奪った元凶たるWASPは、魔王が自ら手を下すまでもなく、己が作り上げた覇権国家の狂気に呑み込まれて全滅した。


そして。

崩壊したワシントンの瓦礫の中。


WASPという後ろ盾も、米軍という盾も、国家という庇護もすべてを失い、完全に孤立無援となった二人の姿があった。


金髪の男、エドワード。

そして、冷ややかな青い瞳の女、レイチェル。


「……どうするのよ、エドワード」


レイチェルの声が、微かに震えていた。

周囲を囲むアメリカ兵たちも、市民たちも、もはや誰一人として彼女たちを味方とは見ていない。全員が「この二匹のバケモノさえいなくなれば」という殺意の視線を向けている。


ケントが、画面の向こうの二人に向けて、静かに通告した。


「……さて。黒幕(ごみ)の片付けは終わった」


ケントの目が、妖しく光る。


「次はお前たちだ、生きたオーパーツ」


逃げ場を完全に失った二人の前に、絶対の絶望が迫っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。