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『転生したのに転移で地球に戻っちゃった?! しかも何故43歳?! 王国の魔法革命児 〜爆鳴の鬼と呼ばれた男Ⅱ』  作者: だい


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第19話:第四課の最期と、生命の過ち(ミソル)

 男から吐かせた座標を元に、俺たちが東京の地下深く――巨大な下水道施設をさらに下った先に隠されていた『第四課メインラボ』へ足を踏み入れた時、そこはすでに凄惨な血の海と化していた。


「ひぃっ、た、助け……!」

「無駄だ。全データはすでに我々のサーバーに転送した。お前たちモルモットに用はない」

 無機質な銃声が響き、白衣を着た第四課の研究者が頭を撃ち抜かれて崩れ落ちる。


 広大なラボの奥に立っていたのは、完全武装した迷彩服の部隊だった。

 部隊を率いる金髪の白人――CIAの特務指揮官は、床に転がる第四課の死体を見下ろして鼻で笑った。

「まったく、手間をかけさせやがって。……我々が少し資金と政治のバックアップをしてやれば、黄色い猿どもが同じ猿を使って勝手に研究を進める。濡れ手に粟とはまさにこのことだったんだがな」


 その言葉は、絶命しかけていた第四課の生き残りにとって、何よりも残酷な真実だった。

 自分たちこそが国家の裏を牛耳るエリートだと思い上がっていた彼らは、実はアメリカの手のひらの上で踊らされ、神子のデータを吸い上げるための『都合の良い猿』として利用されていただけのピエロだったのだ。

 真の黒幕の姿を知り、第四課の連中は惨めな絶望の中で息絶えていった。


「……随分と悪趣味な猿芝居じゃないか」

 俺が静かに声をかけると、CIAの指揮官が鋭く振り返った。

「何者だ!? なぜここに……いや、お前たちが第二課の連中か。ちょうどいい、目撃者はここで消す。やれ」


 指揮官が指を鳴らすと、ラボの暗がりから『それら』がズラリと姿を現した。

 人間の形はしている。だが、皮膚の半分以上が金属の装甲に覆われ、瞳には一切のハイライトがなく、生気というものが全く感じられない。

「紹介しよう。神子の肉体にサイボーグ技術を掛け合わせた、我々CIAの先行量産型兵器だ。神話(Myth)の力と、生命の倫理を外れた過ち(Miss)。ダブルミーニングを込めて、我々はこいつらを『ミソル(Miss-soldier)』と呼んでいる」


 感情も痛覚も持たない、機械と肉体のハイブリッド。

 数十体のミソルたちが、一糸乱れぬ動きで不気味な殺意を放ちながら、俺たちを包囲した。


「ふん。機械のオモチャが、アタシたちに通用すると思ってんのかい」

 ザラが一歩前に出て、愛用の大剣を構えた。

「目標捕捉。制圧開始」

 機械音声と共に、数体のミソルが常人離れした速度でザラに襲いかかる。彼らの電脳は、ザラの筋肉の動きから次の太刀筋を完全に予測演算していた。


 だが。

 ザラはここに至って、異世界ノキア時代すらも超える『剣の極意』を掴んでいた。


「遅いね」

 予測演算? 合理的な死角への攻撃?

 そんなものは、ザラの神速の見切りと直感の前では止まっているも同然だった。

 ザラは、ミソルが攻撃モーションに入るその刹那、すでに敵の懐に潜り込んでいた。サイボーグの強固な装甲を力任せに叩き割るのではなく、関節のわずかな隙間、装甲の継ぎ目を、大剣の切っ先で撫でるように滑らせる。

 スッ、と。

 なんの抵抗もなく、ミソルたちの首や腕が音もなく滑り落ちた。機械の演算を凌駕する、まさに技の極致であった。


「なっ……!?」

 驚愕するCIA指揮官の横で、セリーナが優雅にため息をついた。

「いくら機械を埋め込んでも、所詮は燃えるモノでしょう?」

 セリーナが指を鳴らすと、ラボの空間を埋め尽くすほどの青白い炎が爆発的に燃え上がった。火力レベル10。もはや熱という概念を超えた地獄の業火が、ミソルたちを強固なサイボーグ装甲ごと瞬時にドロドロの飴細工のように溶かし尽くしていく。


 そして。

「ふふーん! アタシのバッティング練習の的にちょうどいいですぅ!」

 レナは、自分の背丈ほどもある超質量の鉄柱メイスを構え、ウキウキと打席に入っていた。

「まずは、一番打者から特大アーチを狙う、シュワーバーのスイングですぅ!」

 強引なまでのアッパースイング。

 ドゴォォォォンッ!!

 突っ込んできたミソル数体が、凄まじい衝撃波と共にまとめて天井へとカチ上げられ、スクラップとなってひしゃげる。

「次は、規格外のパワー! ジャッジのフォーム!」

 バキィィィィンッ!!

 今度は大上段からの強烈な叩きつけ。受け止めようとしたミソルの腕ごと、チタン合金の頭蓋骨がペチャンコに叩き潰された。


 その時、他のミソルよりも一回り大きく、重武装を施された『中ボス』らしき個体が、地響きを立てながらレナに突進してきた。

「 危険度MAX… 最大出力で排除」


「おっ、強そうですねぇ。それなら……」

 レナはメイスをスッと引き、右足を高く、高く空高くへと持ち上げた。

「伝家の宝刀! 世界のホームラン王の『一本足打法』ですぅ!!」

 ピタリと静止した一本足から、全身の魔力と捻りを解放した、究極のフルスイング。


 カアァァァァァァンッ!!!!


 まるでスタジアムに響くような快音と共に、中ボスミソルの巨体がボールのように圧縮され、ラボの分厚いコンクリートの壁を何枚もぶち抜きながら、遥か彼方の地層の奥底へと消し飛んでいった。

「よしっ! 場外ホームランですぅ!」

 バットフリップをキメてガッツポーズをするレナの周囲には、もはや一体のミソルも立っていなかった。


「ば、馬鹿な……我々の最高傑作のミソル部隊が……数十億円の兵器が、たった数分で……!」

 CIAの指揮官は腰を抜かし、ガタガタと震えながら後ずさった。

 俺は、無造作に歩み寄ると、逃げようとした指揮官の首根っこを片手でガシッと掴み上げ、空中に吊るし上げた。


「ひっ、あ、悪かった! 命だけは……!」

 俺は一切の表情を浮かべず、底冷えする魔王の声で告げた。

「俺たちはこれから、国から独立した『神子神社』って組織を名乗る。……アメリカの親玉に伝えておけ」


 俺は指揮官の耳元に顔を寄せ、冷酷に囁いた。

「次にウチのシマ(日本)を荒らしたら、国ごと地図から消すぞ」


 その圧倒的な殺気と威圧感に、CIAの指揮官は完全に白目を剥いて気絶した。

 こうして、日本の闇に巣食っていた第四課は壊滅し。

 俺たち『神子神社』と、世界の超大国との、新たな狂った戦いの幕が上がったのである。

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