32. レミアの魔法修行最終試験
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レミアがタリスマンに魔法の修行を依頼して最終試験を受ける日。
いつものように早朝からアイリィの元へ彼女は現れた。
最後の日ということで若干緊張の面持ちをしたレミアが挨拶を伝えてくる。
「お、おはようございます…最後ですがお願いします」
「おはようございます。それでは最終試験を行いましょう」
「は、はい…お願いします」
「緊張しなくてもいいですよ、最後の試験は簡単です。レミアさんが一番得意な攻撃魔法を全力で私に向けて撃ってください」
「え!?そ、それだけでいいんですか?」
「はい、今まで教えたことを全てここで出し切ってみてください」
「私の得意な魔法は相手を吹き飛ばし体に傷を与える風の旋風魔法です」
「わかりました、ではどうぞ」
レミアは自身の中で今までの重ねてきた修行の日々を思い出し、魔法の詠唱を始めていく。
(これまでの練習を思い出せ…全身にマナを巡らせていき、体全体で周囲の精霊力と一体感を持って、自分自身の魔法力を全部杖に巡らせろ…)
「風の精霊よ、我が意志は空を裂き彷徨う気流よ集え、道を定めて我が前にひれ伏せ!『ヴェル・スフィラ!』」
レミアの正面から巨大な竜巻状になった風の渦がアイリィに向けて襲いかかる。
彼女自身が放った風魔法は自身が予測する威力を遥かに超越した状態で発動してしまい、周囲一体に響き渡るほどの大声で絶叫してしまう。
「えええっーーー!!アイリィさん危ない!!」
だが、アイリィは全く動揺せずに襲いかかってきた旋風の竜巻魔法を杖の一振りで消し飛ばしてしまい何事もなかったように平然とレミアに賛辞を述べる。
「おめでとうございます。かなり魔力も上がりマナの錬成度も向上しましたね、レミアさん合格ですよ」
「…は、はい…予想以上の威力が出て自分自身で驚いています。私が撃つ旋風魔法って、今まで樽のフタくらいの大きさだったんですが、今回撃ったのはジャイアントオーガを吹き飛ばせる程の巨大さでした」
「レミアさんが私を信じて練習してきた成長の証ですね」
「本当にありがとうございます!それとアイリィさん…今の魔法を消したのって一体何をしたんですか?」
「魔力相異消去ですよ、魔法に対して同量のマナをぶつけて効力を消滅させる技術ですね」
「表情一つ変えずに私の魔法を打ち消しちゃいますし…アイリィさんって本当に何でも出来るんですね…」
「何でもって訳じゃないですよ、魔法技術に特化しているだけです」
「でも魔法の威力は上がったのはわかったんですが、魔力の総量が実感できませんでした」
「恐らくですが、ここに来たときの五倍程度には向上してますね」
「ごごご…五倍ですか!?」
「レミアさんはまだ魔法初級者ですから、魔法力が伸びやすいんですよ。いずれ壁に当たることもあるかも知れませんが、その時はまたタリスマンに依頼しに来てくださいね」
「アイリィさん…商売上手ですね…」
「ふふっ…魔法屋タリスマンのご利用お待ちしております」
「アイリィさん、本当にありがとうございました。これで魔法学校の試験に自信を持って挑むことができます」
「いえいえ、こちらも商売ですから。ところでこれからどうするんですか?」
「はい、お昼の輸送馬車で国に帰ろうかと思っています」
「そうですか、短い間でしたが魔法学校の試験上手くいくといいですね。陰ながら応援しておきますね」
「はい!頑張ります」
アイリィはレミアと別れいつものタリスマンで過ごす日常へと戻る。
師匠が居なかったとはいえ、自分だけでやりきった依頼は久しぶりだ。
達成感と充実感を味わいながら、レミアの合格を願い今日も開店の準備を進めていく。
──それから二週間後
獣人族の郵便配達人がタリスマンへ駆け足で近寄り扉を開ける。
中にいる人宛に大声で手紙を届けに来たことを伝えて手に持った手紙を渡す。
「ちわー!アイリィさん宛の手紙だよー!」
「あ、ご苦労さまです。いつもありがとうございます」
「はーい!それではねー」
受け取った手紙は、先日この店で修行したレミアからの封書だった。
アイリィは逸る気持ちを抑えて、届いた手紙をペーパーナイフで綺麗に開封して中に入っていた手紙を取り出す。
手紙には簡潔ではあるが以下の文面が記載されていた。
『アイリィさんへ、魔法学校に無事合格できました。ありがとうございました』
レミアはどうやら魔法学校に無事入学できたようだ。
自信の左手で胸を撫で下ろし、安堵の気持ちで彼女の合格を心のなかで祝った。
──場所は変わりイグロニスにある魔法学校
イグロニス王立魔法官学院にて、能力上級者として合格したレミアは、中庭で数名の友達と談笑しながら自信が体験した修行について自慢していた。
「カルドラフの魔法屋さんでアイリィさんって人に修行してもらって、魔法力が大きく上がったんだー!私と二歳しか違わないのに物凄い魔法技術を持ってて魔法学校の先生以上に強そうな雰囲気があったんだよ!」
紫髪の少女は親友の成長を驚きながら、羨ましく思ってもいた。
「へえー、確かに凄い魔法の威力上がってたしね。私も教えてもらいたいなあ~」
新たな新入生が学院に入り様子を見ようと秘書とともに周囲を散策していた魔法学校の学院長は、中庭で話していた生徒たちの会話が耳に入り、レミアの元へ静かに近寄った。
学院長の存在に気づいた生徒たちが皆揃って挨拶を交わす。
「あ、エメラルダ学院長!おはようございます!」
「おはようございます、皆さん。貴方は今年入ったレミアさんでしたか、ちょっと今話していた事を詳しく教えていただけないでしょうか」
レミアは学院長から受けた突然の質問に困惑しながら、タリスマンで修行したことをありのままに伝えた。
「魔法技術に卓越した少女ですか…しかもマエストロに匹敵する力を持っているかもしれないと、それが本当なら凄い方ですね」
「は、はい…試験で攻撃魔法を撃って見たんですが、一瞬で私の魔法を消し去る程の実力です」
「レミアさん、ありがとうございます。とても参考になりましたわ」
「い、いえ…御役に立てればなによりです」
「それでは皆さん、勉強頑張ってくださいね」
学院長は生徒の下から離れ、隣りにいる秘書にある命令を伝える。
「直ぐにタリスマンという魔法店のアイリィという女性について調査しなさい。国王様からの依頼をお願い出来る人物かもしれません」
「わかりました、至急調査いたします」
秘書は急ぎ席を外し、学院の建物へ向かった。
魔法学校の学院長は、国王からある難しい相談を受けていた。
約束の期日まで対処方法がなく難儀していたが一つの光明が現れ心躍る。
もしかしたら解決策を見つけることが出来るかもしれない。
そう考え自信の部下にタリスマンに調査員を向かわせることにした。
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