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小さな王国の最強魔法店 〜二人の少女が魔法のお悩み解決します!〜  作者: 茶巾丸
案件6 初心者魔法使いの相談 (アイリィ孤軍奮闘記)
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27. 初心者魔法使いの魔力向上依頼

この作品はカクヨム先行で公開している作品です。

カクヨムのページはこちらです。

https://kakuyomu.jp/works/822139839209446983

聖遺物事件の後、イグロニス王家との交流や犯人引き渡し等が一段落した後。

魔法屋タリスマンは、本日も通常通り営業を始める。


しかし、店内はいつもより寂しい雰囲気を漂わせ、アイリィは一人静かな店内で(たたず)んでいた。

何故なら何時も存在感のある店長が不在だからだ。


「ちょっと新しい商材を仕入れに行くから二週間ほど不在にする!アイリィ店番よろしくな!」


師匠が遠征して他所の地域に商材仕入れに行くことはよくあったが、今回は全く予告無く突然だった。

突如として二週間も家を不在にされると若干寂しさも感じてしまう。

アイリィは心のなかでそう思っていた。


お客がいない静かな店内でアイリィは魔法書を読みふけって時間を潰していた。

最近はギルドの依頼が減っているようで冒険者の人達もまばらだ。

辺り一体が静寂に包まれる中、店内の扉に取り付けた鐘が来客を知らせる音を鳴り響かせる。


現れたのは、深々と被った魔法使いを思わせる帽子から少し眺めの茶髪を覗かせた格好からして恐らく齢十五歳前後の魔法使いで人間の女性。

アイリィは久々の来客でいつもの挨拶を告げる。


「いらっしゃいませ!お探しものはなんでしょうか」


アイリィは眼の前の少女が周囲を見回しながら、何か言葉を発するのを躊躇しているように感じていた。

しばらくして少女は胸に手を当て大きく息を吸い意を決したように語りだす。


「ここで魔法の相談を受け付けていると聞いてやってきたんですが…」


「はい、承っておりますよ。現在店長が不在ですので込み入った内容だとお待ちいただく事になりますが、どのようなご要件でしょうか?」


「あの…私の魔法力を上げてください!それも一週間以内に大きく!」


「…どういう事ですか?詳しくお話を伺わせてください」


「実は、私の故郷にある魔法学校の入学試験が二週間後にあるんです…でも私の魔法力はまだまだ低くて今の力では、合格の最低ラインに達していないと言われました。合格するために何とかして魔法力を上げたいんです…」


「お聞きしたいのですが、なぜ魔法学校に行きたいのですか?」


「魔法学校を卒業すると各国に属する魔法職として、将来の仕事が約束されます。病弱な母を養うための医療費を稼ぐため、安定した収入を得たいのです」


「安定した収入ですか…お金を稼ぎたいなら冒険者という選択肢もあるのではないでしょうか?」


「実は私の父は冒険者だったのですが、不慮の事故により亡くなりました。その後は母が独りで働き私をここまで育ててくれたんです。でも最近になって不治の病を患い治療費がかかるのです。できれば母の側に居て医療費を稼ぎながら仕事を見つけたいんです!」


アイリィは、彼女の言葉を聞き思った。


{この子は母の治療費を稼ぐため、そして将来の就職のために自身を鍛えるためここにきたんだ。不運な境遇に見舞われる事はある、私自身もそうであった)


(小さい時に不幸があり、師匠から選択を迫られ決断した。そして拾われここで魔法屋の店員と育てられ働けるようになった自分に少し似ていると)


だが、彼女は商売人として師匠から教えられていたことがあった。


「相手の境遇や不幸を理由に値引きや無償で働く事などするな。どんな時でも必要な費用を見積もり相手に提示しろ、商売人としての鉄則だ」


アイリィは師匠の言葉を反芻するように、自身の中でこれから彼女の育成にかかる費用を見積もり冷静に決意し金額を伝えた。


「…わかりました、では、二つのコースを用意出来ます。超短縮強化コースと自力学習コースで、前者は金貨二十枚、後者は金貨十枚で請け負えますが如何いたしますか?」


「えっと、どんな違いがあるんですか?」


「超短縮強化コースは、二つの魔法を契約にて習得後に特訓をします。日程を二日程短縮できますので比較的余裕ができます」


「もう一つのコースはどうなるんですか…?」


「自力学習コースは、まず二つの魔法を自分の力で習得していただきます。かなり辛い修行になりますが如何いたしますか?」


「あの、今は魔法学校用の学費を稼ぐので精一杯で…金貨十枚のコースでお願いします」


「承知しました、では私からご紹介を、タリスマン店員のアイリィと申します。貴方のお名前を教えてください」


「私は、レミア・フレスタイアと言います」


「レミアさんですね、それでは契約成立という事でよろしいでしょうか?」


「はい、お願いします」


「では、お支払いお願いします。受領書は必要ですか?」


「はい、書類は念のためお願いします」


レミアは懐にあった小袋から今回の依頼金額である金貨十枚を取り出し、カウンターへと並べる。

アイリィは、金額を数えて貨幣計りにのせて金額の正否を確認して書類を記入し、彼女へと渡す。


「はい、確かにいただきました。それでは扉を出てお店の裏に向かってください」


「わかりました」


レミアが扉から出ていくとアイリィは自身の魔法杖を右手に持ち、外に出て扉の取っ手に『ただいま離席しています』の看板を引っ掛け店の裏手に向かう。


裏の広場で待っていたレミアの側に向かいながら、アイリィは杖を構え周辺一体を囲むように巨大な結界魔法を張り巡らせる。


「この練習場周辺にマナ阻害の魔法結界を貼りました、マナを使った精霊魔法は一切使用できません」


「え?それじゃあ魔法が撃てないじゃないですか!」


「マナが無くても魔法は使えます。自身の魔法力をマナの力へと変えて攻撃できる魔法…いわゆる無属性魔法です。レミナさんには今日一日で無属性攻撃魔法をあの目標に撃てるようになってもらいます」


アイリィが指し示したのは、魔法練習の標的として用意してある木の柱にくくりつけられたダーツのような標的だった。


「そんな…私に出来るんですか?」


「出来るかじゃなくてやるんです、でなければ魔法学校は諦めてください」


「アイリィさん…優しい見た目によらず厳しい先生なんですね…」


「私が師匠と魔法の修行した時は、もっと厳しかったんですよ。ハッキリ言って比較にならないほど物凄いものでした。だからレミナさんも頑張ってください」


「でもどうやったら撃てるんですか…せめてヒント位ください」


「わかりました、では魔法を撃つ時のように杖を構えて体にマナを巡らせるように意識してみてください」


「こうですか?」


アイリィの指示でレミナの体から漏れ出した魔法力が光る霧のように現れる。


「そう、次に自分の中にある魔法力を杖に流し込み放出するようにイメージして」


漏れ出た魔法力が杖に伝わり、全体が僅かに光を帯びていく。


「もっと!体の中から手を通して杖に送るように!」


レミアが構えた杖の先から僅かな光の玉が現れた。

しかし魔法球は正面に飛ぶこと無くそのまま破裂するように消え去ってしまう。


「はい、できましたね…それが無属性魔法です。あとは今日中に今の魔法が直進して飛ぶように練習してください」


「今日中にですか…慣れない魔法でめちゃくちゃ辛いんですけど」


「出来ないとか諦めないでくださいね、今日の夜までに撃てるようになってください。もし魔力が尽きたら、店の近くにあるあの紐を引いてから緑色の水晶に触れてください。魔力が回復できます」


「魔力が回復!?どうやってやるんですか」


「どうやってって…魔法水晶を通して私の魔力をレミアさんに送るだけですよ」


「え、でもそんな事したらアイリィさんの魔法力が尽きちゃうんでは…」


「少し失礼に聞こえるかも知れませんが事実だけを述べますね。今の貴方が持つ魔力を回復させるだけなら数百回やっても私の魔法力は尽きませんよ」


「数百回って…アイリィさん、いったいどれだけの魔力を持っているんですが…」


「具体的な量については秘密です。相当な魔力を持っているとだけお伝えしておきます」


「なんでただの魔法屋の店員さんがそんな凄い魔法力を持っているんですか!?」


「厳しい修練を乗り越えた成果です…それより早く自分の修行を続けてください。私は店に戻っていますので撃てるようになったら教えてください」


「はい!頑張ります!」


こうして、自身の魔法力を鍛えるというレミアの初日修行は始まった。

小さな王国の最強魔法店は隔日更新に移行します。

一日置き(隔日)の18時30分頃更新予定。

今週は水、金、日が更新予定です。

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