第三十七話人魔の希望
第三十七話人魔の希望
「これで五百十七個目…………もっと作らないと、これ以上誰も死なせないために……」
「おいアウメア、少し休め!!」
「私は大丈夫ですから安心してください」
「二日も呑まず食わずの上に眠らず魔法開発を続けて何が大丈夫だ!! しかも今も時間魔法を発動させたままではないか……神王との戦いに響いたらどうするつもりだ」
「せめてあと六十個だけ作らせてください」
「ダメだ。どうせこれ以上誰も死なせたくないなどと考えてやっているのだろう? ならばその誰もの中にアウメア自身を含めろ。我にとってアウメアを失うことはハッキリ言って世界の終わりと同義だからな」
「……そこまで言われたら、休まざるを得ないじゃないですか」
「理解したなら、それで良い。まずは飲食からだ」
ヴァルはそう言ってとてつもない量の食事と飲み物を持ってきました。
「……あの、ヴァルこの量はさすがに食べきれないと思うんだけど」
「安心しろ保存魔法をかけておる、一週間は保つ。ゆっくりで良いから食べて飲め、良いな」
「ヴァルもたまには一緒に食べませんか?」
「アウメアがそういうなら、我は構わないぞ」
私はヴァルとご飯を食べると溜まっていた眠気が一気に襲ってきた。
「ゆっくり休めアウメア、おやすみ」
「…………おやすみ」
そして場面はヴァルゴアに切り替わる。
もっと我がアウメアを見ておくべきだった。
まさかここまで無理をするとは……いや、我なら分かっていたはずだ。
分かった上で無理をさせたと言っても過言ではない。
アウメアには後悔してほしくないとそう思ってしまった……カナタが命を絶った時のアウメアの表情が頭から離れない。
我は二度とアウメアにあのような表情をさせるわけにはいかぬ。
「おいエド、アウメアの開発した魔法の記憶を見せろ」
「なっ、なんで僕が!?」
「貴様のことだアウメアの記憶を常時見ておるのだろう」
「まあそうだけど……ってそんなわけないだろ!!」
「今肯定したではないか。アウメアが休んでいる間にアウメアの開発した魔法を他の奴らに教えて負担を減らしておきたいのだ。頼む、協力してほしい」
「……魔王さんにもそういう考えあるんだね、なんか意外かも。でもそういうことなら僕も協力するよ(この人が魔王になる未来……か、もしかしたら人と魔族が手を取り合えるような……そんな夢に見た世界も実現するかも)あのさ、魔王さん……アウメアのことよろしくね。誰かのために無理ばっかしちゃうかもだから、そうなったらさっきみたいに一緒に休んであげて……自分のことを後回しにしちゃうから、さっきみたいにすんなり休むのって珍しいんだよ」
「そう、なのか?」
「そうなの!! そもそもアウメアって一人で抱え込んであんまり僕たちのこと頼ってくれないから、心配してたんだよ!! まあ魔王さんがいればその心配もないみたいだから僕も安心かな。今から記憶送るよ…………はい、これがアウメアの開発した魔法一覧だよ。教えるのは魔王さんだけにやらせないから、ちゃんと僕も手伝うから安心して」
「それは助かる。……頼りにしているぞ、エド」
「頼りにされてあげます。……な〜んちゃって、もう笑ってよ魔王さん」
我とエドでアウメアが休んでいる間にアウメアが開発した魔法を連合国、借りている魔王軍とアウメアの呼びかけに応じた歴代勇者、ミューラが長をしている騎士団の連中に教えた。
エドによる記憶を見せながらの実践だったため一日で教えることが出来た。
その後は起きたアウメアとエドと共に個別に教えた。
読んでいただきありがとうございます!!
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