第三十三話騎士団長として、弟子として
第三十三話騎士団長として、弟子として
エルフの国で私は師匠に聖王国で何があったのかを包み隠さず話した。
婆婆様の最期のお告げに通り師匠が天使共を殺せる兵器を持っていた。
私たち騎士団だけでは治安維持すらままならなかった。
民を守れないのは私の目指している騎士じゃない……ならば私は倫理観など捨て去ってどんな手を使っても天使共を殺す事だけに集中する。
天使共を皆殺しにしなければ国に平和は訪れない。
せめて最期ぐらい母さんに会いたかったな……異世界に来てやったことが殺人って言ったらなんて言ってくれかな、褒めてはくれないだろうな
「師匠、婆婆様から国宝を託して逝きました」
師匠……バカな私を許してください。
「そう……アンズちゃんには後で頑張ったことを褒めてあげないと……私に出来るのはそれぐらいだから。…………それはそうとしてミューラ、一人で突っ走ったらダメですからね」
「なんのことですか師匠、私は国を守る騎士団長ですよ。突っ走ったりなんてしませんよ」
ごめんなさい師匠、嘘をつきました。
私は国を守るより民を守る騎士団長に……なりたかったです。
民が目の前で犯され殺されているのを膝を崩して放心状態で眺めるようなそんな騎士団長は必要ない。
「ミューラ、貴女は民を守ることのできる騎士団長になるのが夢だと言っていましたね。そして騎士団長になれたと喜んでいましたね」
「そうです……師匠の言う通りですよ。ですが、それが何ですか?」
これ以上はやめて……師匠に寄りかかってしまう。
民を守れなかった私に師匠に寄りかかる資格はない。
『いつでも私を頼っていいからねミューラ』
ずっとこの言葉が頭をよぎるのに、私は現実を受け止めきれず頼れなかった。
「おい貴様、ミューラとか言ったな。騎士団をまとめる長だからと言って他人を頼ってはならないなどということはないのだぞ」
「分かっていますよそれぐらい」
「いいや、分かっていない」
「だったらどうしたら良かったんですか!! 天使共に民が犯されて殺されてる現実を……私は貴女みたいに強くない。……でも師匠はいつも一人導いてくれる、誰かを頼っているのを見たことがない。なのに私だけ頼るのは筋違いってもの」
「ミューラは私を神格化しすぎです。私だって頼ったりしますよ。ここ最近なんて頼ってばかりですよ。それにミューラは私を頼ってくれましたよ『助けてください師匠』ってあの言葉を嘘だったのですか?」
師匠を見かけて……無意識に口から出たってこと?
「……嘘じゃないです」
「本音を言ってくださいミューラ、私は貴女の味方ですから」
「…………助けてください師匠、もう誰も失いたくない!!」
騎士団長である前に私は師匠の弟子で師匠は私を守ってくれる……このことを師匠の温もりでしみじみ感じた私からは我慢していた涙が自然と出るようになっていた。
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