第三十二話潜入の成果
第三十二話潜入の成果
聖王国の近くの村に転移したが、既に天使たちの姿が見えているこの状況に私とヴァルは希望と小さな絶望を両方抱いた。
まず希望の面は実験サンプルが沢山あり、装備強化をしやすく捕虜確保もしやすいこと。
そして絶望の面はこの村でここまで姿が見えているということは中心に行くほどこれ以上増えるという点だ。
それにレギンさん程の強さやそれ以上の天使がいる可能性が高いことも。
「フォルスの情報の通り数が多いな」
「隔離空間が使えない今、どのようにして捕虜を捕らえますかヴァル」
「そんなの簡単なことだろ、収納魔法で収納すれば良いだろ」
「しかしその魔法は生き物は収納出来ませんよ」
「何を言っているアウメア? バラせば物扱いになって収納出来るぞ」
「ヴァル、この村には拷問場があるからそこまで案内します。そこなら閉鎖空間で一人一人バラせます」
「メアちゃんたち、なんか物騒なこと言ってない? 気のせいだよね」
「いいえ、気のせいではありませんよ。アスミも理解しているはずです。ですが慣れるまでは目を逸らしても大丈夫ですよ」
「メアちゃん、やっぱり私は目を逸らしたりしたくない!」
「分かりました。ですが、アスミ無理だけはしないでください」
「安心してよメアちゃん、私だって無理をしたらどうなるかぐらい知ってるから」
「侵入者だ、捕えろ!!」
「見つかったぞ。ちょうどいい捕虜にするぞ」
「何言ってんだこいつ、俺たちを捕虜だとよ。がはははっ頭イカれてんじゃ……」
「連れて行くぞ」
「なっ、なにしやが……」
ヴァルが遭遇した天使たちを拷問場に転移させバラして帰ってきた。
「戻ったぞ」
返り血を浴びたヴァルに周囲の天使たちの数体が怯えて始めた。
ヴァルは天使たちを捕虜にし、私とアスミは神殺しの武器と天血殺を使った。
人形装備サイズの神殺しの武器でさえ天使の再生力を封じた上に天使の部位を軽々と切断した。
人形サイズでこの威力ならば並の天使には通じるのは分かりましたが、上位の天使に対しては未だ不明なことは変わりない。
「ヴァル、もう少し踏み込んでみましょう。神殺しの武器と天血殺を更に強い天使や神族に試してみましょう」
「ならば聖都付近まで進んでみるとしよう。アスミよ、準備は良いか」
「私は大丈夫だよゴアちゃん」
私たちは聖都の付近の街ユグドラシル……そう、勇者誕生の街であり以前訪れた場所である。
ユグドラシルは以前訪れた時とかけ離れた風景で、人間族の人たちの目には生気が宿っておらず天使が溢れかえっていた。
「ここまで変わるものなのか」
ヴァルの嘆きを聞いた一人の人間族の女の子が話しかけてきた。
「そこの女の子、もしかして前にも来たことがあるの?」
「あぁ、以前訪れた時はもっと活気があったはずだ」
「ここ最近までは活気があったんだけどね。あの方が来てからこの調子だよ。……あれ、もしかして隣の女の人って同じ顔の人と会ってなかった?」
もしかして、この時代の私と鉢合わせたところを目撃した人たちの中にいた子
「よく分かりましたね」
「あんなの忘れるわけないよ。……あの頃は楽しかったんだけどね」
その女の子は天使たちが来てからのことを愚痴を吐くように話してくれた。
七分後
「流石にこれ以上はママにバレちゃうから帰るね、聞いてくれてありがとねバイバ〜イ」
私たちは女の子を見送った後、街を散策していると天使の数は先ほどの村より少ないことが分かりました。
そしてその直後ものすごい勢いで走ってきている見覚えのある人影が……。
「助けてください師匠〜!!」
「ミューラ今助けますから!!」
「ミューラ先輩、私も助けるからちょっと待ってて」
「その声アスミちゃんもいるの!? お願い〜」
天使に追いかけられているミューラを助けるため天血殺を使った。
「んだこれ!? んあぁぁぁぁあ!!」
天血殺で天使を殺したこの光景を見た人間族の方々が天血殺を欲して私たちに近づいてきた。
「それをくれ!! アイツらを生かしてたら俺たちが死んじまう!!」
ザワザワ、ザワザワ
聖王国で天血殺を広めることが出来れば内部からも数を減らすことが出来る。
そう考えた私とヴァルは天血殺を渡した。
「更に改良した物は後々渡すとして今の出来でも自衛手段としては充分だ。安心してくれ」
そして天血殺を渡した私たちはミューラを連れエルフの国へ戻った。
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