第二十三話偽りのない言葉
第二十三話偽りのない言葉
もしその協力者が母上だったら、私は素直に頼めるのでしょうか。
いえ、頼めるかどうかではなく確実に頼むのです。
未来を変えるため、そして二度と弟子たちが寿命以外で死ぬのを見ないように。
「ここがエルフの国……はっ、初めてきました!! ヴァルゴアちゃん見てくださいよ、あの大きな木……圧巻すぎてカメラがあれば撮りたいですよあれ!!」
「そのカメラというものは我には分からぬが、撮りたいという言葉が記録に残したいと言う意味で合っていれば同感だな」
「あの木まだ残っていたのですね」
確か私の二歳の誕生日に父上が故郷から持ってきたものと言って植えたものでしたね。
懐かしい。
私が感慨に耽っていると、『アウメア、アウメア』と小さくもはっきり母上の声が聞こえてきた。
「母上が私を呼んでる……あの時のことを謝らないと!!」
ここに来るまでの強張っていた私の身体はとても軽く自然と声の方へ走っていた。
「母上、あの時は意地を張ってごめんなさい。本当は私も母上みたいに弟子達と一緒に成長して護り合えるような育成係になりたかったの!!」
千百年ぶりに味わう母上の温もりは今まで我慢していた感情を涙と共に溢れ出させるには充分だった。
「あんな師匠、初めてみました」
「我もだ。だが、あのように甘えられる相手がいるというのは良いことだと我は思うぞ(我が甘えられる相手は幼き頃にアウメアに殺されたからな。育成係として、人間と魔族の対立を考えれば妥当な判断だと今の我なら理解出来る。だが、たまに思うのだ。あんなふうに甘えられるのが羨ましいと。過去に戻ってから昔の我とかけ離れたせいか感情的になる場面が増えている、もっと抑えなければ)」
「ヴァルゴアちゃん、ほらおいで……私になら甘えてもいいんだよ。……ほら遠慮しないで」
「……っはははは、カナタは一体誰に似たのやら。気持ちだけ受け取っておこう」
「もう、笑わないでよ。やっぱり似るなら師匠がいいな、孤独だった私の穴を埋めてくれたから……だからかな、ヴァルゴアちゃんが寂しそうにしたのもちょっとだけだけど分かったんだ」
「アウメアに似てると思うぞ(カナタのこの性格があれだけ堕とした神王たち……もっと早く戦争を終わらせなければ、アウメアを安心させるためにも)」
五分後
「もうそろそろ離れなさいアウメア、後ろの二人にも見られてるわよ」
「……もうちょっとだけ、お願い母上」
こんなことならもっと早く謝りに来ていれば父上も安心出来たというのに。
「ごめんなさいね、お二人さん。うちのアウメアがご迷惑をかけてるでしょう?」
「いえいえそんなことないです!! 私は師匠がいなかったらすでにこの世にいないので」
「我も迷惑だとは思っていない。むしろ出会えて良かったとすら思っているぞ」
「良い仲間を持ったのね、アウメア。それじゃあ甘えるのはここまでね。神王との戦争の件で話があるんでしょう。ヴェルワルドたちは私たちの王の場所にいるわ、そこで話し合いましょう」
「……うん、わかった」
ヴェルワルドたちがそこにいるということはこの時間軸の私もいるということ……そうなると疑問なのは
「母上は私のこと分かってるの?」
母上がどこまで知っているのか、その点に尽きる。
「未来からきた娘でしょう。大体の事情は今の貴女から聞いたわ。よく頑張ったわね、アウメア」
「…………うん、私頑張ったんだよ。でも助けられなかった。私が…………」
「後でゆっくり聞くわ、全部教えてちょうだいね。私はどんなことがあっても貴女の味方だからね。貴女のためなら世界だって敵に回しちゃうんだから」
「……母上がいうと冗談に聞こえないよ」
「冗談なんかじゃないわよ、本気よ」
「ありがとう母上、後で聞いてね」
「それじゃあ行きましょうか」
私たちは神王との戦争での協力を仰ぐため城に向かった。
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来るときにしますね




