第十九話連合加入
第十九話連合加入
師(先生)は計画について私に何一つ話したことはないことに少し……いえ正直に言うとすごく寂しく思ってしまいました。
「あれだけ私に愛を向けてくるくせに肝心なことは話してくれないなんて…………」
私が愚痴っているとカナタが不安そうに私に尋ねてきた。
「師匠、こんな私が本当に役に立てるのでしょうか。師匠が怪我したのだって私のせいですし……」
「カナタは悪くないよ。私がカナタを護りたかっただけですから……それに私の不注意が招いたことでもありますから、カナタが気にすることではないですよ」
カナタを安心させようと内心必死になっている私を見かねてかヴァルがカナタに強く言った。
「カナタ、お前はその気になれば我をも超える力を秘めているのだ自信を持て!!」
「私の知らないことを言われても分からない!」
「ならば我の記憶を見せてやる、覚悟を決めろ!」
「ヴァルそれはやめた方が…………」
「…………これが、私……ヴァルゴアちゃん、嘘……だよね? 魔法とかで作った幻だよね、流石に信じられない。……でも師匠が言ったことと一致していて…………」
カナタはヴァルの記憶を見ている最中に嘔吐した。
「これで分かったか、お前は強いのだ」
「魔王くん……流石にそれはダメでしょ」
カナタはその後しばらくは放心状態が続いた。
「ヴァルゴア様はもう少し人間族のことを理解した方がいいのではありませんか?」
「我はカナタを元気づけようとしただけだぞ」
「安心してください、ここにはカナタを襲う人はいませんから」
この言葉を口に出してあの時のことを思い出した。
もう同じ失敗はしたくない、私の身体はその想いに応えてくれるように動いてくれた。
「……ありがとうございます、師匠」
カナタが私の胸で泣いていると、一人の男が話しかけてきた。
「そろそろよろしいでしょうか、レイヴェル様」
「今はレイヴェルじゃなくてミーシャって呼んでほしいな宰相さん」
宰相ということは師の計画で重要となる人がなぜここに?
「ミーシャ様ですね、今後はそう呼ばせていただきます」
「宰相様は何用でございますか?」
「私たちドワーフは耳が良いのですが、先程ミーシャ様が話している"計画"について聞こえてしまいまして、そのご説明をいただきたく」
「先に申し上げますと、計画の内容は全て真実でございます。そして成功した暁にはドワーフ国に大きなメリットがございます」
「成功すればでしょう、神王を敵に回すこと以上に危険なことはないと思いますけど」
「神殺しの武器」
パメラがその単語を出した瞬間宰相さんの身体がぴくりと反応した。
「成功した暁には神殺しの武器を製造した国として名声が大陸中に轟くことでしょう。轟けば自ずと商人、冒険者など様々な方々がこの国に訪れましょう。この国で製造した装備は未来永劫語り継がれ伝説となることでしょう」
「……そうなのですよ!! 神殺しの武器、神話でしか見たことのないものを我々ドワーフが作り出したとなれば大陸、いえ世界中に名が知れ渡る。我らドワーフにとって名が轟くことこそが至上の喜びなのです!! ……熱くなりました。しかし相手は神王です、何かしらの勝算がない限りは協力は出来かねます」
「現在ミーシャ様率いる多国連合には獣人国、龍人国が味方となっています。そして魔王ヴェルワルドがエルフの国へ交渉中でございます。既に魔王、龍王、獣王が味方となっております、そしてこの少女は次期魔王でございます。単独で世界を滅ぼせるほどの力を有しておりミーシャ様との協力ではさらに真価を発揮なさいます。さらに申し上げますと宰相様の隣にいらっしゃる少女はミーシャ様の弟子であり時間魔法で未来から来ており未来を知っておりますので、勝利は確実かと(アウメア様は未来から来られていますが、おそらくは近い未来ですので勝利は確実とは言えません。ここは交渉の場、真実に嘘を混ぜ込むことも必要なことなのです)」
「未来から来た少女か……(ミーシャ様の弟子でなければ上手く利用したところだが、魔王に愛された少女に手を出すのはマズイの一言だろう。協力した時のメリットは大きいが失敗した時を考えれば、たとえ神殺しの武器の名が轟くとしても……だが、明日攻めてくると言っていたな、ならば選択肢は一つしかない)」パメラ殿、我らドワーフの国は連合に加入する。明日までに迎撃の人選をしておこう。何か希望などがあれば聞いておこう」
パメラさんが宰相さんに人選の希望を話している時の師の瞳を見て、本当に復讐を決意していたんだと理解出来るほど黒く沈んでいた。
「……んん、ここはどこだ。おい、なんだここは!?」
ベルノが目を覚ましたのを確認したヴァルは宰相さんとパメラにベルノを引き渡した。
その後私たちは宰相さんに城へ案内され、用意された部屋で明日の準備を進めることになった。
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来る時にしますね
……もっと頭の良い交渉シーンにしたかった。




