第十二話絶望の結果
第十二話絶望の結果
カナタを眠らせた私はカナタがなぜこのような状況になったのかを考えていた。
その時一つ思い当たる節があった。
それは
「…………私が過去を変えようとしたから」
それしか考えられない、元の時間軸ではカナタとお互いの近況を報告し合い話題で盛り上がっていた。
カナタを先輩勇者として紹介したこともあった。
……私のせい……私が過去を変えようとしなければカナタがこんな思いをしなくて済んだのに。
そう考えるよりも今はカナタのことを見ないといけない、全ての責任は育成係の私にあるのだから。
守れなかったのも過去を変えようとしたことも……過去を変えないといけない状況を作ったことも全て。
カナタの記憶を改竄したほうが……それは悪手だ。
ただ先送りにするだけで思い出した時に一気に襲ってくる。
「こういう時ヴァルならどうしますか? ……やはり真っ直ぐに向き合うのでしょうね。貴方のようになれていたらもっと良い方向に進んだのでしょうか……いない人に聞いても返事が来るわけないというのに私は……」
「我なら当然そうするぞ」
「ゔぁ、ヴァル、聞いていたのですか!?」
「ずっと部屋にいたのだぞ、聞いているに決まっているだろう」
「それなら話しかけてくれてもよかったのでは?」
「黄昏ているのを邪魔などするものか」
「そう……ですよね」
「報告は後にしたほうがいいか?」
「いえ、私より報告を優先してください」
ヴァルからの報告を聞いた私は複雑だった。
今回ヴァルが潰したオークションでは極力被害は抑えられたみたいだけど、その前のオークションを私たちはどうすることもできなかった。
オークションに神族が絡んでいるという事実を知り私はより神族に憎悪を抱きそうになった。
育成係をしていて種族で決めつけるのは良くないと理解している。
「神族を止めるなら王をどうにかする必要がある、我も最後まで全力で協力する。アウメアはもっと我を頼れるようになれ」
「本当にヴァルには敵いませんね。もっと早く出会いたかったです」
「出会っていても敵同士だっただろ。だが、我も同意見だ」
「ヴァルに聞いてほしいのですが、カナタにとって私と共に旅をするのは……逆効果になるのではないか、そう考えてしまうのです」
「……まだいたんですね師匠。私のことを思うなら殺してくださいよ、もう貴女のことなんてどうでもいいんですから。それが無理なら私の前から消えてください」
「……でも」
「でもなんですか!! 貴女は旅の時言いましたよね『どんな時でもカナタを助けるからね』って……私は、その言葉を…………信じて…………なのに、来て……くれなかった。誰のか分からない子を…………なんで私が、助けてくれるんですよね、なら早く………殺してよ!!」
「そんなの……」
「出来るわけないですよね、優しい優しい貴女には!! 聖剣よ私の望みを叶えて!!」
「待ってそれだけは、カナタ!!」
「おい、何をする気だ!!」
『強い望みの持ち主が呼び出した聖剣には魔王を打ち砕く力が宿る』
私がいつも教え子に最初に教えること……カナタはそれを覚えていた。
「さようなら……師匠」
カナタの聖剣は止めようとしたヴァルの腕を切り飛ばした後カナタの身体を貫いた。
「いやぁぁぁぁぁぁ!!」
一目見てカナタが死んだのが分かるほどの大穴が胸に開いている。
「わた、私が過去なんて変えようとし……したからカナタが、カナタが……どうして、なんで……いやだ先に死なないで、置いていかないで……一人は嫌なの……私なんかが変えられるなんて過信してごめんなさい、ごめんなさい。もう嫌だ嫌だ嫌だなんでなんでなんでなんで…………」
──お前(私)が生きているからか──
「眠っていろアウメア!!」
バタン
「こいつ母親の身体を食い破って産まれてきやがった」
「貴様か、我の出来損ないのクローンを異空間に閉じ込めたのは」
「貴様こそ何者だ」
「我は質問をしているのだ、答えなければ我の苗床になってもらうぞ」
「……これ以上は無理だ!! 借りるぞアウメア"一掴みの希望"カナタが誘拐される一週間前に戻れ!!」
「逃げおって、神王から逃れられると思うなよ」
「はぁ、はぁ、なんとか逃げ切れた……のか? 起きろアウメア。今は……カナタをどう……に……か」
バタン
「おい、アンタら大丈夫か! おい、返事しろ…………い」
読んでいただきありがとうございます!!
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