SS-4
今回はメルリナ視点でのお話です。
SSなのでこれを読まなくても物語に差支えは無いとおもいます。
メルリナ 其の一
私は今日ウィンと一緒に人と会う約束をしているので先ほどウィンと合流して今約束した場所へと向かっています。
ウィンは洗礼式との時知り合った子で、話してみると割と気が合ったという事もありいつの間にか友達と呼べる存在になっていました。
ウィンは話をしているだけだとおっとりとした感じがする子です。
言葉の語尾に「な」を付ける癖があるようで、それがそう感じさせているのだと思います。
それにしても相変わらずウィンの髪は綺麗ですね。
陽の光を浴びて金色に輝くウィンの髪が私はとても羨ましいです。
ウィンは私の青みがかった銀色の髪も綺麗と言ってくれるのですが、私としては何だかおばあちゃんの髪みたいな感じで好きではありません。
それに私より短めで切られた髪はウィンにとてもよく似合ってます。
あとはやはり胸でしょうか……
私の胸はウィンと比べると少し、いえかなり控えめな感じです。
まだこれから成長するのかもしれませんが…… でもウィンは冒険者をやるなら邪魔なだけだよと言っています。確かに、冒険者のような戦闘を行う事もある仕事をするには大きな胸は邪魔になるのかもしれませんが、女性としてみた場合やはり胸は大きい方が魅力的だと思います。
なんだか胸の話は悲しくなるので考えないようにしましょう。
既にちょっと私の気分は沈んでしまいましたが切り替えが大事です。
「それで、メルは今後どうするの? 冒険者を続けるなら今まで通り私と組んでくださいな。それともあれかな? 王子様について行くのかな?」
ここの所、事あるごとに踏み込んだことを聞いてくるウィンが鬱陶しい感じがしています。
現に今も何やら言っていますが、何度「そういうのじゃないよ」と言っても聞いてくれません。でも、そんな事もあったらあったで私としては良いと思っていますが、まずありえないでしょう。
身分が違いすぎます。
ややあって待ち合わせの場所へと到着しました。
今日会う方とお会いするときはいつもこのお店です。
少し小洒落たお店なので毎回緊張します。
もう何度目かになるので、お店の方にも覚えられているようで、「本日も待ち合わせですね」等と聞かれたりしました。
これがもし私だけだったらそれに答えるのも一苦労しているところですがウィンがいてくれるので助かります。
ウィンは「そうですよ、ひょっとしてもう来てるのかな?」とお店の方に聞いています。
私はウィンの後ろに隠れているだけという為体。
こんな性格じゃいけないとは思いつつもなかなかなおすことが出来ません。
待ち合わせの相手の方はまだ来てはいませんでした。
この小洒落たお店の眺めのいい席を毎回予約してくださっていて私達はいつもの席に案内されました。案内されている間毎度のことだけど他のお客からチラチラ見られます。貴族が多くたしなむこのお店で一般庶民であるある私達がこのお店でも人気の高そうな席へ案内されるのですから仕方ない事だとは思いますがこれにも毎回緊張してしまいます。
席へ案内されてから少しして相手の方はいらっしゃいました。
「ごめんなさい、お待たせしました。メルリナさん、ウィンディさん」
この方はもともと庶民ですが、貴族の傍で働くことを選んだ人です。尊敬しちゃいます。
「私達も今着いた所ですよう、気にしないでくださいな」
ウィンの言葉に私は何度も首を縦に振った、
その様子を見ていた相手の方、アンナさんはクスっとした後私達の前の席へと座りました。
ちょっと恥ずかしいです…… 慌てて何でも首を縦に振ったたため変な動きになっていたかもしれません。
その後このお店でお茶などを頂きながらいろいろお話をしました。
お話の内容は、女の子同士の他愛のない会話や私の現況についてです。
私は次の歳から王立魔術学院に入学の予定です。
以前アンナさんにお話を伺ったところ一応貴族が多いが一般人もいるという学院で入学自体は一定のレベルがあれば許されている。しかし入学は比較的楽な学院ですが卒業となると話は別で、入学した者のうち半分以上が途中で脱落してしまうと言われている学院。学院に通える最大年数は六年でその間に卒業に必要な課題をこなさなければならないというのはアンナさんに聞くまでもなく一般人の私でも聞いた事のあるお話でした。
でもアンナさんのお話のおかげで一般庶民の私でも入学することが出来るという事が聞けた時は嬉しく思いました。その時私が王立魔術学院に入学したいと口走ってしまった事からこの定期的なお茶会と言えるかはわかりませんが、お茶会は開催されることとなったのです。
予約されている席はこの店でも人気のある席です。
もちろん時間制限もあります。
机の上には砂が入った瓶があります。上にある砂が全て下に落ちきると時間となります。すでにもうあと少しで砂は落ち切ってしまうところです。
それを確認したアンナさんが「そろそろ出ましょうか」と言ってきたので私達はそれに頷きました。お店の支払いはアンナさんが受け持ってくれます。いつも悪いなと感じているのですが私達がこのお店の支払いをする事は一回くらいならまだしも高定期的にとなると毎日依頼を受けていても厳しいものが有ります。正直助かります。
お店を出た私達は、冒険者協会へと向かいました。
そこで私の日々の成果を見てもらうのがこのお茶会の最大の理由です。
アンナさんは冒険者五級との事でしたが、その強さは五級の域を出ています。
本人曰く、都合が良かったので登録しただけという事でした。
そんなアンナさんに模擬戦という形で相手をしてもらえるのです。
冒険者協会についた私達は訓練所へと向かいます。
この訓練所は毎日解放されていますが、緊急の時などは開放されていません。
本日も何事もなく解放されていました。
解放されている訓練所には毎回何人もの冒険者がいたりします。
訓練所では戦闘行為が許されています。時々決闘なんかでも使われたりしています。私達も訓練所に入り得意武器を借り受けました。ここで借りる事の出来る武器は刃をつぶされ様々な武器です。ものによっては刃をつぶされていても相当危険なものありますがそれでもつぶされていないものと比べるとその差は歴然としています。
アンナさんは剣と盾です。
私はアンナさんと模擬戦をするようになって槍を使うようになりました。ウィンはもともとそこまで興味を持っていなかったようですが今は楽しそうに参加しています。そんなウィンの使う武器は杖にも似た鈍器です。見た目は一見短い杖ですがその先には丸い塊があり、それは叩き砕く、もしくは叩き潰すかのごとき様相でまさに鈍器と言って過言ではないでしょう。
それを楽しそうに振り回すウィンは正直少し怖いです。ここに来て何か変な事に目覚めてしまったウィンですが、その実力は私と同じくらいでしょうか?
いいえ、アンナさんがそれだけ強いという事でしょう。
私たち二人を相手取っても余裕を崩すことなく、ダメな部分を指摘してくれます。
聞くところ、エレク君もアンナさんとよく模擬戦をしているとの事です。
私の命を救ってくれた人。
見た目は女の子ぽいエレク君ですが、私達と同じ歳とは思えない強さを有していると思います。
あの時だって、エレク君がいなければ私は大怪我、いえ下手をしなくても命を失っていた可能性が凄く高いです。そして私を助けるためにエレク君は大怪我を負ってしまいました。
あの時私を助けなければエレク君が怪我を負う事は無かったのに……
私はあの時命を救われました。その恩を返すためにも私はエレク君と同じ道へと進むと決めたのです。
アンナさんと話すようになって、エレク君が領主様のご子息という事を知りました。
そんな身分の違うエレク君が自らを顧みず私を救ってくれたのです。身分の差もあるのでいずれは分かたれる道というのは理解していますが、それまでの間だけでも私は彼に受けた恩を返すために同じ道に進むのです。
模擬戦では結局アンナさんに攻撃を当てることが出来ませんでした。
私の攻撃は受け流され、ウィンの攻撃はかわされる。まだまだアンナさんの領域には至れそうもありません。
その後は少し魔術を教わりました。
私、いえわたしたち一般庶民も生活魔術程度は使うことが出来ます。
しかし生活魔術より上の領域、下級魔術などになると家庭教師などを雇える裕福な家庭以上でなければ使うことが出来ません。
そんな中アンナさんは中級魔術までなら使えるとの事。
流石は領主の屋敷で働くメイドさんと言ったところでしょうか?
私が目指しているのは王立魔術学院、魔術が使えなければ話になりません。
そういう事もありアンナさんが指導してくれているのです。
そんなアンナさんが言うにはエレク君は上級魔術を使うことが出来るそうです。私と同じ歳なのに凄いです。というより私と同じ年で上級魔術を使えるなんて凄すぎます。ですがエレク君の弟であるルシオ君という子も同じように上級魔術を使うことが出来るそうです。
これは流石領主家という事なのでしょうか?
いいえ、多分違います。エレク君もその弟のルシオ君という子も物凄く努力したに違いありません。アンナさんのようなメイドさんがいる家ですからね……
魔術の指導も終わり私達はアンナさんと別れ帰路についています。
ウィンとは中央通りでお別れですがそれまでの道すがら今日の話をしています。
「流石は領主の館のメイドさんですよね。私達二人で向かっても有効打を入れることが出来ないなんて驚きですな」
ウィンは笑いながら言います。確かに流石という以外ありませんが、何となくこのところ思うのは領主の館とかアンナさんは関係ない気がします。そもそもメイドさん事態もそこそこの能力が必要になると聞きますが、それ以上にアンナさんは能力が高いと思うのです。実際メイドさんをアンナさんしか知らない私ですが何となくそう思います。
「エレク君も見た目は女の子だけど、あの時の魔術は凄かったですな」
「うん、私達と同じ歳なのに凄いよね…… それとエレク君は男の子だよ!! 確かにわたしより美人だけど……」
「まあそれは生まれる家の違いってものですかな? やっぱりきっちりとした教育を受けられるというは違いがあるって事ですな」
「それは無いとは言えないけど…… エレク君もアンナさんも他の貴族の人とは違う気がするよね…… 中級貴族家のスレイさんを見るとそれを余計に感じるよ。初級魔術を扱えるは凄いと思うけど、エレク君やその弟のルシオ君は上級魔術だよ? これは家柄とか関係ないんじゃないかな?」
「そう言われるとそうかもしれませんなぁ、おっと私はあっちなのでここでお別れですな!!」
「うん、今日も付き合ってくれてありがとうねウィン」
「お礼を言われる事なんてしてないよ、美味しいお茶もごちそうしてもらえて、普通では受ける事の出来ない指導をして貰てるんだから私の方こそ感謝してる感じだよ。多分この先ライバルが多くなると思うけど頑張ってなぁ。それじゃ」
ウィンは満面の笑みで手を振り自分の家への帰路へと着きました。
ウィンの背中をしばらく見送った私もそのまま家へと向かい歩き出すのでした。
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