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episode0021

 少年期 第十二話


 レネと出会ってから俺の中で魔術というものは何なのかという疑問が生まれた。

 まあこれまでも謎な現象だし、詠唱も英語を覚えるかのような感覚だったのだがレネの話を聞いてこれが完全な疑問となった。

 そもそも魔術とは一体何なんだ? レネの話を聞いて無詠唱で魔術を使えるのは別におかしい事ではないという確信を得た。これについてはフィア先生も初級等ならできたりするようになっているので今更ではあるが。

 だがしかしだ、精霊というものが魔術と深くかかわっているなら余計に詠唱は必要なのではないかという疑問が一つ。そもそも精霊って何なのさというものが一つ。そんな精霊を体の中で飼っていて大丈夫なのかという心配も一つ、あっこれは魔術の疑問ではないか……

 レネは言っていた。魔術は想像力だと。まあそれは俺も理解はしていると思う。なんせ詠唱せずに魔術を使えるし、俺には日本で教育を受け義務教育課程ですらこの世界での知識を凌駕しているほどと感じるのだから。

 この世界は良くも悪くも、自分たちに必要な知識があればなんとかなる世界だ。そんな世界だから必要な知識以外を進んで学習するようなものは多いわけではない。まあこの世界は日本に比べると少し行き急いでいるようにも感じられ、生活していくためには子供のころから働かないとならないという生活環境も影響していると思う。それにまともな学習を受けるにはそれなりに裕福な家庭などでなければ難しいというのもあるだろう。その点を見れば俺は恵まれた家庭に生まれてきたという事になる。

 十二歳になるまでは普通の家庭なら大体が家の仕事の手伝いや、将来就きたい仕事の見習いなどをして過ごすのがこの世界では普通だ。

 中には今の俺のように冒険者の見習いになる者も居る、コルトの様に親の仕事を手伝っている者も居る。ラスのように自分の目指すものを見据えて知識を深める者も居る。

 この世界はこのようにして今まで続いてきたのだろう。別にこれを悪いとは言わない。俺だってもうこの世界で十一年生きてきて、この世界の流れに身を置いて過ごしている訳だしな。

 そんな中でもやはり異質だと思うのは魔術だ。

 そもそもだ何故精霊は魔術を使えるんだ? これについてレネは『そういうものだからさ』と答えただけだった。全く意味が解らん。

 レネの話を聞いた限りだと、おそらくはだが無詠唱で魔術を使える人間は少なからず精霊、いや微精霊に気に入られているという事になりそうだ。そもそもがあいつらに気に入られないと深層意識を覗かれたりする事も無いそうだから。

 しかし…… いやこれ以上考えても余計意味も解らなくなるし、気分も良くないのでこの考えはこの辺で止めておく方がいいのかもしれないな。まあ記憶の片隅にでも残しつつ堵いう感じだが。


 あの怪我から早くも半年程たつ、腕の方もあれから変に痛むという事も無く間違いなく完治したと言ってもいいだろうと思える。相変わらず傷は残っているが、どうせ服で隠れる部分である。

 魔術については依然と変わらない感じだ。

 レネが微精霊から精霊に変化したからと言って使いやすくなるというものでもなかった。

 レネはあれから一度も外には出ていない。時折話しかけてくる以外は今まで通りといった感じだ。しかし急に声を掛けられたりして驚く事はある。今のところ人前でそうなる事が無いのは救いだろうか? 本当いきなり頭の中に声が聞こえるから驚くんだよ…… まったく。


 今俺はぼちぼちとだが王都へ向けて旅立つための準備を始めている。

 王都まではゆっくりと旅をして大体二週間程との事だ。一応領主であるこの家とかは緊急用の移動手段などもあるそうだが、まあ緊急でもない限りそれが使われる事も無いので俺は馬車でゆっくりと途中の町などで宿泊しつつ王都を目指すこととなる。

 服などは、そうたいした数はいらないと思う。道中洗濯等全くできないという事も無いだろうから問題はないはずだ。

 王都への旅はラスとマールと俺、そしてメルとで四人で向かう事となる。

 ラス、マールとは王都で違う学園になる為別れる事となるが、メルはどうやら俺と同じ学園に行くそうだ。

 王立魔術学院、名前だけ聞くと貴族ようの学園みたいな感じだがその実態は別にそういう事でもなく、入り口だけで言えばかなり幅広いようだ。その代わり無事に卒業することが難しいとされている。

 学費なども在学中に自分で稼いで払っていける程度らしいし俺もそのようにして過ごしていこうと考えている。父もこれには別に反対の意見を言う事は無かった。「エレクレールの好きにしなさい」との一言だけだった。

 まあ貴族の連中や、裕福な家庭では家が学費を出すという家も少なくないとの事だったが。

 俺の場合は別にこの学園に入学しなくても問題ないのだがフィア先生の勧めもあるので取り合えず入学してみようと考えてる程度、こんな考えの人間に学費を出してくれなんて口が裂けても言えない。

 ちなみにアンは遅れて王都に来る予定との事。

 俺専属のメイドはそのまま続行されることとなる。俺からしたら別にメイドなんて必要ないんだが、というか俺にメイドを付ける意味があるのかどうか甚だ疑問である。


 長期旅行用の鞄はすでに用意してあるこの世界でも長期の旅行となるとやはりスーツケースのようになるようだ。日本にいた時のようなジュラルミンとかなんとかという樹脂のようなものではなく木製の皮張りだが、形だけで言うとまあすーつけすである。まあキャスター等は付いていないので移動する際は不便であるが…… 

 むむむ、閃いたぞ!? ひょっとしてキャスターを開発すれば喜ばれるのではないだろうか?

 王都への旅まではまだ数ヶ月残っているし、今は鍛冶師であるコルトやその父親とも交友があるから開発できない事はなさそうだな。日本で使っていたようなスムーズに動くようなキャスターは無理でも移動がしやすくなる程度ならあと数ヶ月あれば作れそうだ。

 思い立ったら吉日ではないが、俺は設計図を描き始めた。


今回は短いです。


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