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少年期 第七話
今日はかねてより約束していたコルトの父が経営する工房に来ている。
この工房で作られている物はずばり剣やナイフ、そう言った武器なのだ。
正真正銘の男である俺としては武器は割とロマンであったりもするのでここに来るのは愉しい。
コルトとの出会いは唐突だった。
あれは俺が洗礼式を終えて街へと遊びに行けるようになり少ししてからの事。
俺はアンの見張りのもと街へ遊びに来ていた。
その時の目的は洗礼式で出会ったラスカレイス事ラスに俺の作った玩具を見せるためだ。
荷物はアンが持ってくれていた。
待ち合わせは街の中央にある広場の噴水前、時間の概念が乏しいため陽が中天に達したころという曖昧な待ち合わせをしていた。
相変わらず時間に関しては煩わしいことこの上ない世界だ。
そこでアンと共にラスを待っていた時にコルトとは出会ったのだ。
俺は日本人で生活していた時一時間前行動を心掛けていた。
その位時間に余裕を持っておけば電車が少し遅れたとしても余裕で間に合うし、道迷ったとしても挽回が可能だったりする。
スムーズに到達できたとしたらカフェ等でゆっくりできる。
朝職場に向かう際も通勤の一番混んでいる時間をさけることが出来たものだ。
そういう事もあり、その日もかなり余裕をもって屋敷を出ていた。
俺達が待ち合わせの場所についた頃、まだ陽は中天には達していなかった。
おおよそあと一時間くらいという感じだろう。
この世界で早く行動しても日本の時のようにカフェがあったりするわけではないので広場に設けられているベンチにアンと座ってラスを待っていた。
その日する事を暗に話したり、計画段階の玩具の話をしたりしながら過ごしていた。
アンとの話に夢中になっていると急に影が差す。
ラスが来たのかと思いかをお向けるとそこには見知らぬ人が立っていた。
アンは見知らぬ顔の人間に警戒態勢をとる。
話に夢中になっていたため二人とも初動が遅れてしまったのは失態だった。
しかし、見知らぬ人、年齢は俺よりはうえであろう。
茶色い髪でサイドを短めにしている辺りツーブロックといった感じの髪型で瞳の色は蒼っぽい色をしていた。
この世界の人間は総じて顔面偏差値が高い気がする。
服装は少し薄汚れているが、不快という感じではない。
どちらかというと工事現場の作業員みたいな、そんな仕事汚れといった感じだ。
その少年はいきなり声を掛けてきた。
「やあ、あまりここでは見ない顔だね、違う街から遊びに来たの?」
いきなり話しかけてきた少年に警戒を解けないでいる俺たち二人。
何を言えばいいのか迷っていると少年は続けてしゃべりだす。
「それにしても二人とも可愛いね、姉妹なの?」
いったいこいつは何を言っているのだろうか?
俺は正直混乱していた。
アンを見ると、アンも同様のようでどうしていいのか解らないといった表情を浮かべている。
「僕はコルト、コルト・ライハレン。よろしくねかわいいお嬢さんたち」
服装に似合わないさわやかな笑みを浮かべてコルト・ライハレンと名乗った少年は手を差し出してきた。
俺はすかさずその手をはたいた。
ベシっっという鈍い音を立ててはたかれた手をコルトと名乗った少年は呆気にとられた顔で見ていた。
唖然としているコルト少年は少ししてやっと「えっ?」という声を上げた。
こいつは寄りにもよって俺を女扱いした。断じて許してやるものか!!
そう思っているとアンが唐突に喋りだす。
「あなた、失礼ですよ。この方は見た目は少女ですが男の子なんですから。謝ってあげてください。こんな少女の見た目を気にしているんですから…… ぷふぅっ」
「おい、アン……」
この専属メイドどうしたものか……
日に日に俺の扱いが酷くなっていく気がしないでもない。
公式の場ではちゃんとしてくれてるからいいけど、このように非公式である場合の扱いがかなりひどくなっているのだ。
「はぁっ? 男? その見た目で?」
「なんだ? 文句あるのかよ?」
「エレク様、言葉遣いが……」
「アン、お前に言われたくない!!」
「ちょっ、ちょっと待って…… 様って…… ひょっとして貴族?」
「ああ、そうだけどなにか?」
「ご、ご、ご、御免なさい」
コルト少年はその場で勢いよく土下座をした。
この世界でも謝る時は土下座らしい。これまでも何度か土下座を見た気がする。
コルト少年の誤解が解け、土下座して謝ったこともあり、その後俺は自己紹介した。
俺が領主の息子という事は別に隠している訳では無いのでそれももちろん伝えておいた。
コルト少年は余計に恐縮してしまったが、そこはもう自己紹介も済ませた後なので不通にせ知ってくれと言った。
恐る恐るではあるが変な丁寧語などが混ざりつつの会話が出来る様にはなった。
この辺は何と言うかマールに似ていると思ったものだ。
その後ラスが現れたこともありこの日のコルト少年との邂逅は終わった。
それからコルト少年とは何度か顔を合わせたりしていくうちに段々と仲良くなっていった。
話を聞いているとどうやら家が鍛冶工房を営んでいるという事らしいので何度かお邪魔させてもらい見学したりなんかした。
初めてであった時服が薄汚れていたのはやはり仕事の関係だったようで、コルト少年も例にもれず親の手伝いなんかをしているという事だった。
コルト少年は俺より二つ上、出会った当時は八歳である。
この世界の人間は基本的に洗礼式を終えた後家の仕事の手伝いなんかをはじめたりする。
中には自分が付きたい仕事の人のもとで修業したりする者も居たりする。
日本にいた時は義務教育期間だったこともありそんなこと考えた事も無かったけど。
鍛冶師見習であるコルトには短剣を一振り作ってもらった事がる。
まだ冒険者見習い状態である俺でも一応武器は持っておいた方がいいと思った事から相談したらコルトが作ったもので良いならくれるという事なのでお願いしたのだ。
勿論買い取った形だ。
まあ材料費だけ支払ったか丹治だけど……
コルトが作った短剣はぶっちゃけちゃうと今はまだ品質の悪い短剣としか言えないが、闘う訳ででもない今の俺にとってはそれで充分である。
コルトからしても武器を作るというのは経験にもなるのでお互いにとってプラスという感じなのだ。
今日来た理由としては俺が思いついたという事にした日本刀の製法を用いたナイフを作れるかどうかを検証するためである。
正直言って日本刀の良しあしなんて使った事がある訳じゃないので知らない。
ただ日本人の男子だった者としてほんの少しは憧れがあったりもする。
まあ言っちゃうと究極の自己満足にコルトを突き合わせてしまうという事だ。
たしかに本当ってのは鋼を何度か折り返して、鋼より柔らかい鉄を芯にして作るとかだったと思う。
所詮はインターネットでちらっと見ただけの知識しかないのだが……
そもそもなぜ折り返しとかが必要なのかもわかっていない。
予想としては不純物の排出とかそういった物だと思うのだけど……
あと折り返すことによって生まれる美しさと言ったところだろうか?
まあよくわからないけどやるだけやってみるしかない。
まずは俺が作ってもらったナイフ。
これは熱した金属を叩いて伸ばしたものだ。
性能としては売りに出すのもおこがましいとコルトの父には言われている品だ。
さて本来は玉鋼とかいうのを使わないと日本刀とは言えないらしいがこの世界にそんなものがあるかと言われると解らない。
そもそも鋼ってのは炭素の割合が少なくなったものだった気もするがもうこの辺は俺には解らないので金属についてはこの際気にしない事にしようと思う。
なのでとりあえずこの工房にある金属を使わせてもらう。
今回はあくまで検証なので単価の低いものを選ぶ。
金属の内容はコルトとコルトの父であるドルトンさんに尋ねた。
「おやっさん、粘りのある金属と硬めの金属ってどれがいいかな? 他にも何種類か硬さの違う金属を用意してほしいんだけど」
「ふむ、それだったらこの辺を使うと良い」
おやっさん事コルトの父であるドルトンさんに適当な金属を用意してもらった。
因みに今日はこの工房は休みなのでコルトと俺が作業することを許してもらえている。
営業しているときにこんなことはできないからな。
炉にはすでに火を入れてもらっているので、とりあえず刃となる金属、この場合高度の割と高いものをを選んでコルトは炉につっこんだ。
徐々に赤熱する金属、ある程度赤熱した金属を大きなペンチみたいな道具で引っ張り出す。
そして俺が説明しておいたように叩きのばしていく。
ある程度伸ばしたところで中央付近に折り返しの為の切れ込みをいれる。
そんな事を繰り返すこと十回、どのくらい折り返せばいいのか解らないので取り合えずはこれで良しとしようと思う。
因みにドルトンさんは見学だけしていて口を挟む事は無い。
刃となる金属が出来上がったので次は芯となる金属を同じように作っていく。
これも解らないので取り合えずといった形だ。
四種類の金属を合わせてみた。
こちらの折り返しは五回にしておいた。
本当にこれで良いのか疑問だがまあ初めてなのでこれで良しとする。
因みに俺も手伝ったりしているけど主に作業を進めているのはコルトである。
刃になる金属と芯となる金属を溶接する。
この後はとりあえず叩いて叩いて伸ばせばいいと思う。
もっと日本にいる時に調べておくべきだったと後悔しているがそれは今更というものだ。
あっているかもわからない作業を進めて陽が書落ちる前には何とか短刀というくらいの長さの物が出来上がった。
まだ形だけでこのあと焼き入れとかも必要なはずだが今日はもう時間が無いので後日という事になった。
職場に泊まり込むことになってしまったため更新できませんでした。
やっと連休なのでぼちぼち更新していきたいところです。
気付いたらユニークアクセスも1000を突破していました。
PVのほうも増えていてビックリです。
感想、ご意見お待ちしております。




