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episode0014

 少年期 第五話


 俺は今冒険者協会のフィファイス支部に来ている。

 今日はラスが出した依頼に人が来たのでそれに同行させて貰うのが目的だ。

 あのラスとの話し合いから二日後にこの以来は出された。

 しかしながら、やはりと言うか中々この以来を受ける人はいなかったようで二週間たってやっとこの依頼を受けてくれる人が現れたという訳だ。


 依頼内容はテーノグース樹液の採取。

 ・フィファイスの街より南西の森にてテーノグースの木より樹液を採取してきてほしい。

 ・所要日数:半日から一日

 ・危険度:少

 ・報酬:銀貨二枚

 ・備考:同行者をお願いしたいので四級以上で打ち合わせ有り


 このような内容で依頼は出された。

 ぶっちゃけて言ってしまえば四級の依頼としては安すぎる依頼内容である。

 護衛依頼等四級から受けられるようになるのだが、その護衛料は一日で内容によるが少なくとも銀貨五枚からが普通である。

 同行ありという事はある意味護衛もしないといけないという事なので、この内容では受ける人がいないのではとも思ったくらいだ。


 そうそう、冒険者協会とは、簡単に言うと職業斡旋所といったところだろうか?

 日雇いから数日単位の短い期間の仕事を紹介してくれる場所である。

 本登録は十二歳からになるのだが、見習い期間として六歳から登録することが出来る。

 冒険者には階級があり本登録時の最初の階級が五級からスタートとなる。

 見習い期間である俺の階級は準五級という階級でまだ冒険者としては完全に認められていない階級だ。

 準五級である今の俺の階級でできる事ははっきりって少ない。

 単独で依頼を受けることが出来るのは街中の清掃や、買い物をする老人の荷物持ちなど、そう言った雑用しか受けることが出来ない。

 しかし、四級以上の冒険者に同行し経験を積むという事であればそれ以上の事が可能となるのだ。

 このシステムを使って、今回俺はラスが出した依頼である接着剤となる素材の採取に向かうのが目的でこの場に来ているのだ。

 ちなみにこのシステムを使った場合依頼の達成ポイントは増えない。

 冒険者の説明になるが、この以来の達成ポイント言うもので階級はあがっていく。

 見習いである準五級から現時点では階級があがる事は無いのだが、この準五級の間に増えた達成ポイントは報酬に関係してくるので捨てたものではない。

 本来の達成ポイントのシステムとしては階級を上げるための物で、五級から四級に上がるのに必要なポイントが二百点である。

 依頼によって貰えるポイントはまちまちであるが、おおざっぱに説明すると採取系の依頼の場合珍しくない依頼の場合で二点、珍しい素材の採取で多くて五点といった感じで、討伐になると討伐対象によりはするが十点からという感じになる。

 手伝い系の依頼の場合は大体が一点である。

 そして、準五級でのポイントの扱いは先ほど言ったように階級の変動には関係なく報酬の変動が主な役割となる。

 今俺が獲得しているポイントは百五十六点で、あと四十四点ほどたまると今俺の受けられる依頼等でもらえる金額が約五パーセントほど上がる感じだ。

 この俺にとっては結構重要であるポイントが今回のような同行では付かないのが痛いところであるが、それ以上にこの世界では経験というものが重要という事でこのようなシステムでも使う子供たちはとても多いようだ。

 俺としてははっきりと言ってしまえば経験よりもポイントが欲しいと思うのだけどこれはルールなので仕方ない。


 このように俺は冒険者見習いとして冒険者協会に登録しているのだ。

 そして先日打ち合わせを行い、受けてくれた人とは顔合わせを済ませている。

 今日冒険者協会に立ち寄ったのは、同行者登録をするためである。

 この同行者登録は必須で必ず行わなければならい。

 なぜなら、こういうのを勝手に行って何かあった場合大変困ったことになるからである。

 よく考えてみてくれ、誰にも何も言わずに勝手に動向を許可されてついて行くとしよう。

 この事を同行するものが誰かに話しているならまだいいが、そうでない場合行方不明者が一人出来上がってしまうのだ。

 何事もなく無事に戻ってこれるならそれでも問題はないだろう。

 しかしこの世界で死とは日本にいた時より身近なのである。

 同行させてくれた冒険者の手に余る魔物に偶然遭遇する何てことは簡単にありうることなのだから。

 こういう事からも、ある程度実績を積んだ四級以上が必須という事にもつながっている。


 冒険者協会で待つこと地球の時間で言うと三十分ほどであろうか?

 冒険者協会の扉が開かれ、茶髪の身長百八十センチくらいの男がキョロキョロと辺りを見回しつつ入ってきた。

 茶色い髪は短めに駆られていて、髭などなく清潔感のある青年で日本にいたとしたらかなり持てるのではないかという容姿である。

 瞳の色も明るい茶色で、光の加減によっては金色に見えたりする。

 簡素な革の胸当てと腰には一振りの長剣、肩にかけられた革袋は左手で紐をささえており、それに盾がひっかけられていた。

 先日打ち合わせをした冒険者である。

 その冒険者は俺を見つけると足早にやってきた。

「やあ、エレク君早いね、ひょっとして待たせてしまったかい?」

「こんにちは、リチャードさん。 緊張して早く来すぎてしまいましたが言うほど待っていないので大丈夫です」

「ははは、俺も見習い時の同行の時は緊張したものさ。 ではさっそく登録して行くとしようか」

「はい、今日はよろしくお願いします」

「ああ、こちらこそよろしくな」


 軽く言葉を交わしあい受付へと行き本日の目的と、同行登録を済ませた。

 登録と言っても大げさなものではなく、受付の人に口頭で名前と同行理由を告げるだけである。

 冒険者の中には文字の読み書きが出来る者が居るが、やはり文字の読み書きができない者も結構いたりするのでこういった事は受付の人が代行してくれたりするのだ。

 受付の人から同行許可証を受け取り冒険者協会を後にした。



 登録を終えた俺とリチャードさんは街の南門へと向かう。

 このフィファイスの街には東西南北に門が設置されている。

 家の屋敷があるのは北側の貴族区になる。

 ラスが住んでいるのは西側の商業地区だ。


 門へと向かう最中もリチャードさんの話を聞いたり、色々質問しながら歩いていたせいかそう時間を感じる事も無く到着する。

 門衛の人に同行許可証を提示し、受領してもらう。

 ここでも軽い書類手続きという感じだ。

 同行許可証に書かれていることをべつの紙というか羊皮紙みたいなものに書き写し、許可証に受領のサインを貰って完了となる。

 ここでも紙は使われてはいないようだ。

 帰りにも同じようにチェックを受け無事に戻ったことを確認しなくてはならないので少し面倒ではあるがこれもルールなので仕方ないという感じだ。


 こうして少し面倒な手続きを終え俺達は門を出た。

 因みに言っておくと今回のように依頼を出さなくてもおそらく欲しい材料は手に入ったと思う。

 アンを護衛につけて一緒に採取しに行けばいいだけだから。

 でもそうしなかったのは、今後安定した素材の供給を考えての依頼である。

 俺が行けばそれで解決では商売としては成り立たないという事だ。

 今回の依頼で採取した素材を用いて商品を開発する。

 そしてそれを依頼料などを含めた金額で売りに出して初めて商品となるのだ。

 ラスはそこまで考えてこの計画を立てたという事だ。

 俺よりもしっかりした考えを持っている奴である。

 果たして今回どの程度の接着剤の材料がとれるのか、それも重要な案件だな。


 門を出てしばらくするとリチャードさんが恐る恐るという感じで俺に話しかけてきた。

「えっと、エレク君、聞きたい事があるんだけど……」

「はい? 何でしょうか?」

「その、さっきからずっとついて来てる後ろの女性は一体?」

「あっ、えっと言ってませんでしたね…… アンちょっと」

 俺はアンをこちらに手招きして呼び寄せる。

「はい、エレク様」

「こちらは、リチャードさんで、今日俺の動向を許可してくれた四級の冒険者の方だ」

「はい、伺っております」

 今日は見ず知らずのリチャードさんがいるからアンがいつもより硬い感じだけどこれが普通なんだよな……

 等とちょっと考えていたらアンが自己紹介を始めた。

「私はアンと申します。 エレク様専属の部下と思っていただいて構いません。 本日はエレク様をよろしくお願いいたしますね」

「あ、えっと、わかりました…… って!? エレク君ってもしかして貴族なのかい?」

「あっ、はい、言っていませんでしたね。 でも立場としては冒険者の見習いなので貴族とかそういうくらいの事は気にせず接してもらって大丈夫ですよ」

「そうなのかい……? 口調とか改めた方が良かったら言ってくれ、じゃなくて言ってください?」

「あはは、本当気にしなくて大丈夫ですよ。 なっ、アン」

「はい…… 公の場では困りますがこのような場面では特に問題はありませんね…… というか私ももう流石に慣れましたよ」

 アンはため息交じりに肩を竦めたのだった。

「ということで、今までのように接してもらえると助かります」

「了解、これは思ったよりも大変な依頼だったな、ははは……」

 リチャードさんはリチャードさんで力なく笑うのだった。


 暫く道なりに歩くと西方に木々が見えてくる。

 まだそれらは遠くに見えるだけだが、あそこが目的地である。

 ここからは街道をそれて歩くことになるので、警戒を一段階あげなければならくなる。

 人が多く行きかう街道は野生の動物など少ないのだが平原となるとそういう訳ではなくなってくる。 勿論野生の動物だけが警戒対象ではない。 魔物なども野生の動物を狙って現れたりするのである。

「それじゃここで一旦小休憩をとりつつ装備を整えようか」

「わかりました」

 アンは自己紹介の後も俺達の後方を少し離れてついて来ていた。

 基本的には俺達は混ざらず、何かあった時だけ動くというスタンスの様だ。

 その案も離れたところで装備のチェックをしている。

 俺も腰に取り付けている短剣を問題が無いか確認した。

 うん、特に問題点は無しと。


 そして約十分ほどの休憩の後森へと向かい平原を進みだした。

 やはり平原になると街道より足場は悪い感じだ。

 人や馬車が通り踏み固められている街道とは違い、草も多く多少歩きにくい。

 一応森に行く冒険者達がいるので全く歩けないようなことにはなっていないけど膝くらいまでの草がそこら中に生えているのだ、歩きやすいわけがない。

 リチャードさんを先頭に先ほどよりもゆっくりとした歩みで森へと向かった。


 平原では特に問題も起こらず俺達は森へと到着する。

 目の前には見渡す限りの木々、奥の方は薄暗くなっていて見通すことはできない。

 流石に富士の樹海とかのような広大さではないと思うが、かなり広大であることは間違いないと思う。

 ここからが本番である。

 森に入る前に先ほどよりも長く休憩をとることにした。

 水等はリチャードさんも俺も魔術で作り出すことが出来るので問題はない。

 腰に掛けられた小さな袋からカップを取り出しその中に魔術で水を作り出し口を潤した。

「さて、ここからは今まで以上に危険性は増すので気を付けて欲しい。 一応警戒はしておくが俺も何か見落としをする事もあるかも知れないのでエレク君も何機械づいたことがあったら言って欲しい」

「はい」

「それとここからは今までと違い魔物の類も多くなると思うのであまり騒いだりしないようにしてくれ。 まあ先程から君を見ている限りでは大丈夫そうだけどな」

「そうなんですか?」

「ああ、俺は他にも同行させたたことがあるのだけど、その時の子供は大きな声で話したり、挙句の果てには泣き出したりと大変な思いをしたことがあってね…… あの時は大変だった――」

 あっ、リチャードさんの変なスイッチを押してしまったぽい……

 遠い目をしてその時の状況を説明するリチャードさんだった。


 休憩を終わり、いざ森の奥へと脚を進める。

 目的のテーノグース自体は森に入れば至る所に生えているとの事だったので然程難しい事は無いと考えている。


―――――


 そう、そう考えている時代が俺にありました。

 森に入ってかれこれ一時間以上は経過したんじゃないだろうか?

 しかし目的のテーノグースは未だに発見できずにいる。

 というより、俺の歩むペースが遅すぎてリチャードさんの足を引っ張っているのが原因である。

 森は平原なんてイージーモードだと言わんばかりの歩き難さ、小さい羽虫も多く鬱陶しい、羽虫に気を取られると木の根に足を躓かせる。

 そんな状況でサクサク進めというのも無理な話だと思うんだ。

 前を進むリチャードさんが邪魔な草や木の枝を払ってくれていてもこれなのだから。

 俺は冒険者というものをどうやら嘗め腐っていたようだ。

 ほら、小説とかで読むような感じで出来るものだと思っていたんだが、現実は甘くなかったのである。

 もちろん、歩みが進まないのは俺のせいだけではない、リチャードさんの警戒にひっかった魔物をやり過ごすために身を潜めたりしている事にも関係しているであろう。

 基本的には大した魔物ではないとの事だったが念には念を入れて、関与しなくても良い魔物ならばそれに越したことはないとの事で身をひそめる俺達だったのだ。


―――――


 リチャードさんはかなり慎重な冒険者だった。

 ここまで来るのに大した危険もなく安全に来ることが出来た。

 街での冒険者見習いである準五級の仕事をこなしているうちに俺は正直冒険者という仕事をなめていたんだと思う。

 リチャードさんのここまでの動きを見てつくづくそう思わされた。

 魔術が上級まで使えて、武術もそこそこできるようになった。

 そういうのもあって俺はどこかで自分を過信していたんだと考えさせられた。

 今回のこの動向は俺にとってとても大事なことになったと思う。


俺達は今テーノグースの木を見上げていた。

思ったよりも大きい…… というより大きすぎる。

俺のイメージではオフィスなんかにあるゴムの木くらいのイメージだったんだが……

リチャードさんはテーノグースの木を見てうんうん頷いている。

これは間違いなく目的の木なのだとそれを見て確信させられた。


このテーノグースの木の高さはまあ森の木々の中では普通ではあるが十メートル以上、だがそれ以上に幹が太い、いや太すぎる、大きすぎるのだ、

日本にいた時に千年杉とかも見たことがあるがそれと比べても多分幹は太いと思う。

実はほとんど覚えていないが……

 まあ流石は異世界といったところなのかな?

 これまでも魔術とかで驚いたりもしたがこのテーノグースの木もそれらに負けないくらい驚いた気がするよ。

 兎にも角にも一応目的のテーノグースを発見することが出来たのだった。


長くなったので途中で分ける事にしました。

本当は一話でおさめかたかったのですがなかなかうまくいかないものです。

もっとまとめられるようになりたいところです。

次回は今日の夕方か明日の朝まで更新出来たら良いな……


ご感想、ご意見おまちしております。


一部修正、変更しています。

変更箇所は依頼料とその後に出てくる護衛料の金額になります。

依頼料を銀貨5枚から二枚に変更。

護衛料を銀貨三十枚から五枚に変更。

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