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少年期 第三話
上級魔術の試験をなんとか合格してから数日。
父に呼ばれているという事なので応接室へと向かった。
応接室の扉をノックし「入れ」の声を聴き扉をゆっくりと開く。
「父上、およびと聞きましたがどうかされましたか?」
「なに、エレクレールに少し話があっただけだ、楽にしろ」
父の言葉に従いソファに腰かける。
俺が座ったことを確認した父は対面のソファに腰を下ろした。
話とは一体何だろうか?
「それで、父上話とは一体?」
「うむ、そのちょっと言い出しにくいのだが……」
父がこの部屋でこのように困った顔を見せるのは少し珍しい気がする。
何かを言おうとしてそれを口に出せないでいるような、そんな感じだ。
まさか家族に何かあったとかそういう話だろうか?
しかし朝食の時には家族全員揃っていたはずだ。
父の珍しい態度に色々考えを巡らせていると父がやっと呼び出した訳を話しだした。
「このまま、黙っていても夕食の時には気づくであろうから話しておこう。
エレクレールよ、本日をもってフィアネーデ殿との契約は終了となった」
ん? 父は何を言っているのだろうか?
意味が解らない、こんな冗談を言う人ではないのだが……
フィア先生との契約が終了なんて何を言っているのだろうか?
「エレクレール? 話を聞いているのか?」
「え、あ、はい、父上が冗談を言うなんて珍しいですね。今日はエイプリルフールですか?」
「ん? エイプリルフールとは何だ?」
「ああ、いえ何でもないです。
えっとそれでお話があったのでは?」
「今はなしたのがお前を呼んだ理由だ」
「は? って、ちょっと待ってください、冗談ではなかったのですか?」
「ああ、フィア先生はすでにこの家を出ている」
「はぁぁぁぁっ?」
「はしたないぞ、エレクレール!!」
「す、すみません、唐突だったもので……」
「まあ、お前の言いたい事も分かりはするのだが、どんな時でも冷静さを失ってはならぬぞ」
「はい、申し訳ございません。
それでフィア先生の契約が終了したというのはどういう事でしょうか?
その様な話は聞いておりませんが?」
「うむ、今朝方フィアネーデ殿より話があってな。 その時に決まったのだ」
「フィア先生から話が出たとなるとこちらから契約を打ち切ったという訳ではないのですね?」
「ああ、フィアネーデ殿は良くしてくれているからな、こちらからそのようにする事は無い」
「それでしたら、よいです」
って、全然よくない、一体どういうことだ?
取り合えず話を無理やり合わせてみたが全く持って意味不明だ。
何故急にフィア先生の契約が終了するんだ?
俺なんかしたっけ? 癒してないよな? うんしていないはずだ。
真面目に指導も受けていたはずだし、変ないたずらをしたりもしてないはずだ。
本当にどういうことだ!?
「もう少し驚いたり取り乱すと思っていたのだが、流石はエレクレール、私の息子だ」
「いえ、ものすごい驚いてますよ。 今もはっきり言ってしまえば混乱しています」
「そうであるか…… この程度で済んでいるから私の方が驚いていたのだが」
「その、フィア先生は何故急に?」
「うむ、それは手紙を預かっているので後で読むとよい」
そう言った父は俺にフィア先生からの手紙を渡してきた。
紙が高価なこの世界で態々俺に残してくれたという手紙、一体何が書いてあるのだろうか?
その後父と軽く雑談をかわし応接死を後にした。
部屋に戻るなりすぐ手紙を開封する。
封筒までわざわざ用意してくれいた。
これだけでも相当お金がかかったはずだ。
日本ではまず見る事のなかった封蝋で印には何かの模様が刻まれているがこれが何を意味するのかは分からなかった。
ゆっくりとナイフで封蝋をはずす。
案外あっさりと開くものだと思った。
封筒の中にはさんまいの手紙が入っていた。
二通は俺に充てて、そして一通はルシオに充ててだった。
ルシオにあてられた手紙は読まずに封筒に戻す。
後でルシオに持って行ってやろう。
そして俺に充てられた手紙に目を通す。
『エレク様、急な事で驚きとは思いますがどうかお許しください。
私フィアネーデ・ポルッコルッコはエレクレール様たちが明日の上級魔術の試験を合格したら家庭教師の任を解いてもらおうと考えております。
一つは、これ以上私に教えられる事は無い事。
そしてもう一つは、エレク様に魔術を教えていて私の可能性をもう市雄ド見直したいと思った事が理由です。
この手紙をお読みになっている時にはすでに私は旅立っている事と思います。
おそらく私はエレク様達には何も言わずに行くと思いますのでこの手紙を用意しました。
不慣れな手紙の為失礼があるかも知れませんが、そこはお目こぼしいただければと思います。
エレク様もルシオ様もとても才能をお持ちなので今後も魔術の訓練を続けていけばすぐにでも私を追い抜く事でしょう。
私はそんな二人に魔術を教えることが出来たことを誇りに思います。
ですから今後も精進を続けて頂けたらと思います
この先、どこかでエレク様達の噂が聞けることを楽しみにしています。
私もエレク様達に負けないよう精進していくつもりです。
またどこかでお会いすることもあるかも知れません。
その時は色々お話を聞かせてください。
追伸・エレク様の魔術は少々特殊です。
今後エレク様の魔術はなるべく人前では使わない方が良いでしょう。
ちょっと書くスペースがなくなってしまったので次に紙に注意事項を書いておきますので読んで頂けると嬉しいです』
一枚目を読み終わり二枚目に目を通す。
注意事項
・人前ではなるべく無詠唱を使わない方がいいでしょう。
生活魔術、初級魔術までなら大丈夫だとは思いますが。
・詠唱省略も出来る事ならあまり見せない方が良いと思います。
詠唱省略は今後情報を流せば出来る者は増えていくと思います。
私はこの詠唱省略は世に知らせようと考えています。
ですので、周りで詠唱省略が知られるようになるまではなるべく人前では使わないように気を付けてください。
本当ならエレク様の名前でこれを発表するのが良いと思いますが、様々なしがらみなどを考え私が発表することになるのをお許しください。
・エレク様の自然に魔術言語を理解できない件についても調べたいと思います。
上級魔術を扱えるからと言って調子に乗ってはいけませんよ。
エレク様の変なうわさを聞きつけたらしかりに行きますからね。
それではお元気で。
フィアネーデ・ポルッコルッコ
「ふぅ……」
フィア先生は言いたい事だけ言って旅立ったって感じか。
教えられるのは上級魔術までだとは聞いていたけど急すぎだよな。
せめて見送りくらいはさせてもらいたかったよ。
その様な事を考えつつ俺宛の手紙を机の引き出しにしまい込んだ。
まあ注意事項を残してくれていた事には感謝だな。
フィア先生がこう残してくれてなかったら俺はうっかりと無詠唱や詠唱省略で魔術を使っていたと思う。
フィア先生が詠唱省略の発表を行ってくれるという事だから何れその技術は世に知れ渡るだろう。
使うのはそれからだな。
それ以外は特に気にする必要はなさそうだ。
手紙を真剣に読んでいたため気付いていなかったがどうにも頬をゆっくりとつたい涙が流れていた。
「って、あれ……」
気が付いた時は堰を切ったように泣き出してしまう俺。
意識では冷静だと思っていたのだが……
こうして俺はしばらく泣き続けた。
その後泣き止んだ俺はルシオにフィア先生の手紙を渡した。
ルシオも俺から話を聞きうっすらと涙を浮かべていたのが印象的だった。
こうして考えてみるとフィア先生は客人扱いではあったが俺達の家族のようなものになっていたのかもしれないな。
今となってはフィア先生がいない日常に違和感しかない。
なんと言うか胸にぽっかり穴が開いたような感じというのが少しわかった気がした、そんな一にとなった……
前回の後書きで月曜以降と書いていましたが日付を入れるの忘れており、一週間前の月曜日と勘違いされた方ももしかしたらいらっしゃると思います。
申し訳ございませんでした。
少々実家の方に戻っておりましたのでお休みさせていただいていました。
一応日曜日に帰宅はしていたのですがその後すぐに仕事に追われてしまい予定より更新が遅れてしまいました。
またぼちぼちと更新していくと思います。
ちょっと今回は文章が纏まっていないと思います。
後日時間が出来た時修正するかもしれません。
感想、ご意見を待ちしております。




