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episode0011

 少年期 第二話


 今日は上級魔術の試験である。

 とはいっても上級魔術を使うだけなら今の俺達にはそう難しいという事は無い。

 規模の調整、持続時間、そういうったものを調整するのがどちらかというと難しい。

 今日行う試験はそういう事を見る試験になる。

 この試験を通ったら晴れて俺達は上級魔術士を名乗ることが出来るのだ。

 因みにフィア先生は戦略魔術も一応使用できるそうだが、本人の話によると上級魔術師ということになっている。

 なので今日合格を貰えた場合肩書だけならフィア先生と並ぶことになるのだ。

 その他の実力を鑑みると力の差は歴然ではあるのだが。


 俺達は今エントランスに集まっている。

 これから上級魔術を使用しても問題が無いように郊外へと移動するためだ。

 メンバーは俺、ルシオ、アンにルシオ専属のメイドであるメアリ、そしてフィア先生とここには居ないけどルークになる。


「それでは、準備が出来たようなので行きましょうか。ルークさんに鳥車を回してもらっていますのでそれに乗り郊外の人があまり来ない場所へと移動します。一応事前に調査をして危険な魔物などが出ない事は確認していますが、何があるか解らないので気を付けてくださいね」

「「「「はい」」」」


 それから鳥車で揺られること結構な時間、道中フィア先生から説明があった。

 これから行く付近には人が来る用事になる様なものもほとんどなく上級魔術をしばらく発動させていても人為的被害を及ぼすことはまずないそうだ。

 そして見通しもいいため万が一人が入り込むことがあってもすぐにわかるとの事。

 しかしそのために魔物などは多少いたりするが先ほども言っていたように危険な魔物の存在は事前の調査ではいなかったそうだ。

 事前の調査とはフィア先生が自らの足で見て回ったそうだ。

 案外上級魔術の試験を見る側も大変である。

 そして今日の課題になる上級魔術の内容、規模、持続時間等の説明になる。


「本日使ってもらう魔術は上級魔術の広範囲型なら何でも良いです。規模はエレク様とルシオ様が現在使える最大規模で、持続時間はこの香が尽きるまでとします。一度放った上級魔術は通常であれば初めに決めた時間、範囲、規模で発動し続けます。しかし本日はこの香が消えるまでの字アkんというあいまいな時間を設定させていただきました。なので完全に制御化に置くようにしてください。これはもし何かあった時に即座に消すことが出来るようにです。実際これも上級魔術には必要な事ですので魔術を成功させたからと言って気を抜いてはいけませんよ」

「「わかりました」」

「アンさんとメアリさんは、万が一人が入り込んだりしたときの対応をお願いします」

「「かしこまりました」」

「ルークさんには事前にお話を通しておきましたが、もし魔術が暴走したときは私とルークさんで止めますので安心してくださいね」


 説明の後しばらくして目的地へと着いた。

 そこは小高い丘になっていて確かに見通しが良い。

 付近には何かある訳でもなく殺風景というのが一番ふさわしいだろうか?

 かなり遠くにフィファイスの街の壁が見える。その手前に大きな木があるのが印象的だ。

 この世界は日本と違って高層ビルなどないし人口もそう多くないのでこのような何もない土地が多く残っている。

 一通り見渡してみるもの、人の姿どころか魔物という物の姿すらないこの場所でこれから上級魔術の試験が行われるのだ。


「ではまずはルシオ様から始めましょう。詠唱を開始してください」

「はい、わかりました」


「シィウムヤセスーポ・ウィポーガ・ハクゥアウゥ・オーレムプレーウィ・スーポギャエスル・エィスヤーシジャ・ペーレムエイオルージャ・リーガッレキュスル・ビーエィルッドシィアイジャゥキーアパージェ・リオエッスジュディ・プーウェルオルーワ・ドゥーレルオルーワヤ・オルワーヤモーユショムーメイイーショ・ポーリムセーウィーポ・オプジェ・キューデスルジョクプード・ユーラム・ポーウィーポ・エルリー・エラシィウゥディスル・ペレール・エクディオクィイプオット メィヨーシクェーサ・アザシィオーウッキュド・ピピウィル・ムワーウォディオーセ・エイザセクディオウーワウヴド・ブエイキィゥアザゥディーサ・ドジウェールシリィ・ムゥリスド・サペリアルショープ・ドーラ・レウォメーイマ・サルエビピラーヤ・セウブーシャビイィジーパセジピルージャリ・レスヴゥア・セウブーシャビブクオワーヤ・セリュイユゥ」


 ルシオが詠唱を繰り返す。

 ルシオが紡ぐ言葉は一つの唄となり響き、優しい力がこの周辺を包んでいくのを感じる。

 そして最後に紡がれた言葉。


「ブメーヤ・プーファ」


 ぶっちゃけ何を言ってるのかも全く分からない俺であるが、ルシオが使った上級魔術の事だけは何となくだが理解した。

 ルシオが使ったのは攻撃の上級魔術ではない。

 これは癒しの魔術だ。

 俺なんか考えもつかなかった事だ。

 まあ即座に傷がふさがるとかそういう回復魔術ではないと思う。

 そういうのは難しいからな。

 俺はフィア先生を見てみる。

 フィア先生も呆気に取られてしまっているようだ。

 ポカーンとしている表情がまたかわいらしい。


 やがて気を取り直したフィア先生が呟くように言った。


「これは…… 癒しの広範囲型魔術とでもいうのでしょうか…… こんなの見たことないので完全なオリジナルですよね? しかしこのように使うとは……」


 俺は隣にいるから聞こえてるがルシオには聞こえていないだろう。

 なるほど、これは魔術言語を理解しているからこそできる芸当って事だな。

 俺の場合、詠唱出来る魔術はぶっちゃけ習ったものに限られてしまうから……


 やがて、魔術の発動を最後まで確認し終えたルシオがゆっくりと戻ってきた。


「多分制御も大丈夫だと思います。規模はこれで大丈夫でしょうか?」

「はい、十分です。では香を焚きます。」


 フィア先生詠唱書略で指先に火をともし香を焚いた。


 今俺のいるこの付近には温かい風が優しく吹き、幻想的な光に包まれている。

 疲れ等特にないがそれらが癒されているようなそんな気分にさせられる。

 いうなれば縁側で日向ぼっこをしているようなそんな感覚に近いだろうか?


「ルシオ様らしい、とても優しい魔術ですね」

「僕らしいかはわかりません、ただ僕は皆が幸せになれる魔術は無いか考えていたのです。その時思いついたのがこれでした」

「とても素晴らしい魔術の使い方だと思います」


 ルシオの使った魔術は香が燃え尽きるまでちゃんと保たれた。

 ルシオは試験終了と同時に広範囲癒しの魔術を停止させた。

 一応丸一日放っておいても大丈夫だとは思うとの事だった。


 そしていよいよ俺の番である。

 俺の場合は習った事のある上級魔術を使う事になるのだが、何となくルシオにこんな魔術を見せられてはそれでいいのかと思ってしまう。

 さてどうするか。

 俺には一応考えていた事もあるにはあるのだ。

 俺の完全オリジナル、無詠唱による上級魔術、はっきり言って運用して行けるとは思えないほどコストパフォーマンスは悪いが、弟に負けてしまっては兄の威厳というものにかかわってくる気がする。

 やってみるか……


「次は、エレク様ですね。詠唱を始めてください」

「はい」


 俺は何もないこの場所を見渡す。

 この場所なら問題はない。見渡す周りには人の影どころか動物、魔物の陰すらない。

 俺は自分達のいる範囲二十メートルを外すようにドーナツ型の範囲をイメージしながら次の事を考える。

 広さはそうだな、あの先に見える木のあたりまでいいだろうか。

 俺が見る先にあるここからでも見える大きな木、おおよそここから五百メートル? 正確には解らないけどきっとその位離れているだろう。一応もう一度後方、左右何もない事を確認する。

 範囲は決まった。 半径約五百メートルくらいとする。

 地形を変えるようなそのような魔術はいくらこの場所でも拙いだろう。

 ならば俺もルシオのようにしてみるか?

 でも同じような物だと面白くはないよな。

 やはりここは攻撃的な魔術?

 いや攻撃だけが上級魔術ではないと思う。足止めとかでもいいよな。

 足止めと考えると何がある? 罠? 罠と言っても人工的な物質は魔術で作り出すことはできない。巨石とか小石の加工あたり出来るが、加工された金属のようなものは出来なかった。

 という事は落とし穴とか有名どころで言うなら堀とかか? やはり地形が変わってしまうようなのしかできないな。

 どうしよう? いや地形を変えないでもできるのならあるな…… ただ成功するかどうかがとても怪しい。

 思いついたものは植物だった。

 この周辺は殺風景というのがふさわしい。もし成功して植物など増えてもさほど問題にもならないと思う……

 ならば植物を生やしてみよう。

 魔法で植物を生やす。果たしてできるのか? いや直接生やすのでなければどうにかなる気がする。幸いにもこの場所の荒廃している訳では無い、多少の植物はあるのだ。

 よって行う事は成長促進にプラスして魔改造だ。

 俺は考えた範囲に成長の促進を促す魔力のこもった雨を降らすことにする。

 そして魔改造の内容は足止めを目的とした障害物のようなものになればいいとして、背を高くしたり足を絡めたりするのがいいだろう。

 ただ大きくしすぎてもあれなので大人の身長位でいいだろう。

 ぶっちゃけ成功する気がしなくって来た。

 しかしながらここまでイメージしている間に何故か魔力が消費されているのだ。

 それも相当量……

 多分明確に魔術を使おうとしてイメージしてしまった事が原因かもしれない。

 今更辞めてしまって、習った魔術を使おうにもそれにたる魔力が残っていないかもしれないからこのまま推し進める。

 もう当たって砕けろって感じになってきた。


 よし、発動するぞ。発動させるぞ!!

 あっ、この魔術の名前どうしよう?

 一応植物を成長促進させ魔改造する雨が主となる。

 ならば雨をイメージした名前の方が格好がつくはず。

 よし決めた!!


「カスタムレイン・デモニックエディション!!」


 ぶっちゃけて言おう。単なる思い付きである。

 俺が言葉を発した瞬間、俺の中の魔力が急激に抜けていくをの感じた。

 ちょっとやっちまったって感じもしないでもないが、やってしまったことにうだうだいうのはやめておこう。


「エレク様いったいなにを?」


 ルークが俺に尋ねる。

 あっ、そいやルークとかには俺が無詠唱で魔術を使える事とか詳しく話してはいないんだよな。

 この事をちゃんと知ってるのはフィア先生くらいだったのを忘れてた。

 どうするか?

 俺はルークに向き直りとりあえず言葉を発した。


「んと、何となく兄の威厳を見せるために本気を出してみた感じ?」

「本気を出したと言っても…… いったい何を…… ふぁっ?」


 ルークが素っ頓狂な声を上げる。

 あの冷静沈着なルークが珍しい。


 俺はルークの視線の先にかを向けた・


「はっ? なんじゃこりゃーーーーーーっ!!」


 俺の目に映ったのは怪しい色の雨と、その雨粒が落ちたところから瞬時に成長を始めだす植物たちだった。

 俺のイメージでは雨の色とかは考えていなかった。

 そこまで流石に頭は回らないって…… 流石にあの雨で濡れたくはないな。

 うん、足止めの魔法としては良いかもしれない。

 いやいや、そうじゃないだろう? 堅実から目を背けちゃだめだ。

 雨よりも、拙いのは植物の方だ。

 雨を受け急成長を遂げる植物。

 ここまではいいだろう。そうここまでは俺の予想したイメージ通りなのだから。


 ただ、その先を予想できなかった俺がいけないのだ。

 多分、そう多分だが魔改造というイメージがいけなかった。

 植物が魔物っぽく変化しているのだ。

 こんなこと予想できないよね?

 幸いにも植物の魔物なのでその場を動く事は無いが・・・ それが俺のイメージした範囲にわらわらと…… 

 ええ、数千、いや数万かな……?

 やばい、やっちゃった系だよなこれ――


―――――


 俺の上級魔術の試験は打ち切られた。

 そりゃそうであろう。だって魔物の大量発生なのだ、打ち切られて当然である。

 急いで魔術停止の命令をした。

 俺の降らせた怪しい色の雨はすぐさま止んだ。まあ俺が作った魔術の雨だ、術者の俺が止めようと思えばすぐ止まるのは至極当然の事。

 一応先程のルシオの時の香の時間約三十分位だったので一時間程度を意識していたのだが。

 発動させてすぐだったので魔力を余計に消費した気がする。

 まあ無理やり魔力で抑え込んでいるのだ仕方がない。

 おかげで俺の魔力は何気にかなりかつかつ。

 かなりの倦怠感を感じている。

 まあ魔術は止まった。

 しかしだ……


 おかしい、魔物が植物に戻らない。

俺達の居る二十メートルくらいの円形の範囲の周りには近づいてこないが、キャッキャ、ギャーギャー騒ぐ植物の魔物が蠢いている。

 どうしましょう?


「あの…… フィア先生…… 魔術の発動止めたのですが…… そのですね、何と言いましょうか…… あの魔物たちが植物に戻りません」

「はい? えっと魔術をとめたんですよね? そして魔物が元に戻らないと、そういうことですね?」


 なんで同じこと聞き返すのさ……


「はい……」


 フィア先生はこめかみ抑えつつ大きなため息をついた。

 俺もため息をつきたい気分だけど、この状況を作ってしまったのは俺なのでそんな事は間違ってもしてはいけないと流石にわかる。

 取り合えず皆を見るもアンは俺から目をそらすし、メアリは最初から目を合わせようとしてくれない。

 ルークに視線を送るも俺と視線が合うと目を閉じ首を横に振る。

 最後の頼みの綱であるルシオはというと。

 魂が抜けているかのように、ポカーンとしていた。

 俺は泣きそうになりながら先生に視線をもどした。


「帰ったらお話があります…… ですがこの状況をまずは打開しなければなりませんね。

 植物系の魔物のようなので動いてこないのが救いでしょうか…… でも流石にこの私達のいる安全である範囲ではちょっと狭いですね…… 少し間引かないと状況の打開も出来そうもないです」

「えっと、あいつらを倒す感じでしょうか?」

「ええ、私が上級魔術、いえここは戦略級魔術でしょうかね…… それで掃討します。ただ最低でもこれの三倍くらいの広さの安全圏が欲しいのでそれを確保してください」

「はい、解りました」

「私も手伝いましょう」

「あの、私もお手伝いします」

「僕も手伝うよ」

「私も微力ながらお手伝い致します」


 みなが手伝ってくれるようだ、嬉しくて涙が出そうだ。

 いや、嬉しいのもあるが何よりも自分のしでかしたことがつらくてそっちの涙の方がこぼれそう。


「みんな、ありがとう……」


 そして俺は重たい身体に鞭を入れ魔物の群れへと向かっていった。


 魔物は俺が近づいても襲ってくる事は無かった。

 ルシオやルーク、アンにメアリにも襲う事は無かった。

 はっきり言って足止めをイメージした魔法なのに役立たずだ。

 あっ、もしかしたら俺の魔法だから無意識にでも仲間とかには被害が出ないようになっているのかもしれない。

 それからも他の魔物に武器を構え近づいて行くとキャッキャと機嫌良さそうに俺に顔っぽいものを寄せてくる。ちょいと、いやかなり不気味だけど害意は感じられなかった。

 他の者達の方を見るも皆同じような反応をされているようだ。


 俺は短剣を鞘に戻し、一度フィア先生の元へと戻り、大声で皆を呼び戻した。


「皆、一回戻って!!」


 俺の声に皆が戻ってくる・


「どうやら、あいつらは俺達に害意は無いような感じなのだけどどうしたものか? てか、ぶっちゃけて言っちゃうと害意むき出しに襲って来てくれた方がやりやすいんだけど……」

「あの、私あの魔物に果実を貰いました……」

「不気味ですけど、確かに害意は感じませんでしたので私もどうしていいのか……」

「確かに少しやりにくいですな、この私も何やら種を頂きました」

「僕、あの子たちを倒す事したくないよ、よく見ると何気に可愛いし」

「えっ? それは有りませんよルシオ様」


 アンとルークはどうやら植物の魔物にものを貰ったらしい。

 なんで生みの親である俺にはなにもくれないんだろうか?


 そしてみんなしてフィア先生に視線を送る。


「えっと、なんでみんなして私を見るのでしょうか? 私にそんな顔されても何もできませんよ? 私にどうしろというのですか?」


 フィア先生がとたんに慌てだす。

 俺達の話を聞いたフィア先生もどうしていいのか分からなくなってしまったようだ。

 うん、本当如何したものか……


 半径五百メートルくらいの範囲に沢山生まれてしまった魔物の群れ。

 恐らくその全部が俺達に対して害意を持たない。

 中には友好的に果実をくれたりする。

 俺にはこいつらを倒すことは正直できなくなっていた。


 よし、それならここは父の力を借りるしかないじゃないか。

 家は丁度領主の家だ、ここも一応領地という事になるのだ。

 領地の事は父に任せればいいじゃないか。


「よし、それじゃみんな帰ろう!! 後は父上にすべて任せるとしようじゃないか!!」

「えっ、それってちょっといいんですか?」

「僕はそれに賛成かな……」

「私はエレク様の意見に従います」

「私もルシオ様がそれでいいというなら」

「ふむ、ルード様の胃が心配ですな」


 どうやら皆も賛成の様だ、うん、みんな賛成だよねこれは。

 約一人あわあわしてる人がいるけど気にしない。気にしたら負けだ。


 俺達は現実から視線を背け、馬車に乗り込み街へと戻った。


 街に戻った俺達が一番最初に思った事は騒がしいという事だった。

 途中道行く人に声を掛け何故騒がしいのか聞いてみた。

 問題は俺の魔術だった。

 どうやら街の住人達は魔物の大量発生に慌てていたようだ。

 なんというか本当にごめんなさい。

 俺は心の中で何度も何度も謝った。

 そして屋敷に戻る前に冒険者協会に立ち寄り、粗方の説明をする。

 まあ多少ぼかしたのは仕方のない事だ。

 あの魔物たちはこの付近を守るために作られた魔物というような事にしておいた。

 恐らくだが、この街の住人は襲われる事が無いだろう。きっと、多分……

 知らない人とかもたくさんいるからこれが本当かは俺も知らない。

 でもきっと魔術の不思議パワーでどうにかなってるはずである。

 こんな時は不思議パワーに丸投げである。


 そして冒険者協会から緊急放送が街に発令された。


『緊急放送です。これよりフォールダイン家のエレク様よりご説明があります。これはこれの街にとって重大な事ですので、聞いていない家族の者がいた場合は後で伝えておいてください。ではエレク様お願いします』


始めてつかう声を付近に拡散する魔道具に緊張しつつもそれを冒険者協会の職員から受け取り俺は言葉を紡いだ。


『コホンっ、えー、今紹介を受けたエレク・フォールダインだ。フィファイスの街に暮らす皆にはお騒がせしてしまい申し訳ないと思っている。最初は実験と思い事前に連絡を入れていなかったことをここに謝罪させてもらう。今回の騒動は私の魔術の実験であり、この辺りを守る為のものだ。一応成功したとは思うのだが、これより数日のうちに冒険者たちによる確認を行うのでそれまではあの魔物の群れには近づかないようにお願いしたい。そしてこの確認を行ってくれる冒険者も募集したいと考える。後日私の名で依頼を出すので確認してほしい。以上でこの緊急放送を終える』


 俺は、今日の出来事の失敗部分を抜かして多少誇張してしまったがそれを街の住人に伝えた。

 嘘は言っていないんだ、嘘は……

 一応あの魔物たちは敵を足止めするための魔法のなれの果て。この街を守るという意味でも間違ってはいない。魔物になってしまったは失敗であるのだが、別にそこは言う必要もない。

 実験というのもある意味初めての魔術なので実験である。なので嘘は言っていない。

 あとは父を説得して俺の名前で冒険者に依頼を出せば今の放送が全て事実ということになるのだ。

 そう俺は何も悪い事はしていない……


 この後家に戻り皆にしこたま叱られたのは言うまでもないであろう。


 後日俺が放送で言ったように確認するための依頼をだし確認作業を行った。

 その確認作業にはもちろん俺も同行することになった。

 結果を言えば冒険者たちは魔物による妨害を受けることになった。

 不思議パワーは万能ではなかった……

 それを確認した俺は、この植物の魔物達にさらなる魔改造を施すことになる。


 これはあのと家に戻ってから皆と話し合ってこういう状況に備えていたからできた事である。

 今回施した魔改造はとある微弱な魔力を発する道具を持っている物には襲い掛からないようにするという事である。

 前回同様怪しい色の雨が植物の魔物達へと降り注ぐ。

 暫くして魔術を止め、道具を持っている冒険者に近づいてもらう。

 すると、植物の魔物達はその人物を敵とはみなさず、果実を与えたりするようになった。

 逆に持たない者にはやはり妨害をする。

 完璧だ。ちゃんと俺の思った通りの動きをしてくれた。


 さらに後日、街の者に道具が配布される。

 最初は冒険者達、その後徐々に街の住人にいきわたらせていった。

 この道具、製作者は俺だ。

 毎日毎日魔力が尽きるまで俺が土魔術により小石程度の大きさの石を作り出し、それに魔力を込めた。

 形は勾玉型で紐などを通せるようにちゃんと穴も開いている。

 色は普通の石っぽい色だがつるつるぴかぴかに仕上げているので何気に美しい。

 自分で言うのもなんだがかなりいい出来だと思う。


 こうして時間は掛かったもの、街の住人全てにも俺の作った襲われないようにする勾玉を配布し終えた。


 因みに何故かあの場所はこの街の住人達から気に入られるようになった。

 勾玉さえ持っていれば襲われる事は無く、さらには運がいいと果実や種などを貰えるうえに魔物を排除してくれるので何気に安全という事でデートスポットなどにもなっている。

 果実は結構おいしい物等も多いようだ。

 時折とてもレアで貴重な果実ももらえるとなればなおさらだろう。

 こうしてフィファイスに新たな名所が生まれた。


 そうそう、上級魔術は一応俺も合格という事になった。

 まあやれるだけの実力は示せたということだろう。

 ルシオは文句なしの合格のは言うまでも無い事だ。

もうすぐ2000PVに届きそうです。

皆さまに読んで頂けていると思うとうれしくおもいます。


次回の更新は月曜日以降になると思います。


ご意見、ご感想お待ちしております。

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