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僕と俺の異世界漫遊記  作者: P・W
第一部 覚醒編
54/285

第50話 自分で武器をつくってみよう(2)

 次に宿屋キャメロンに向かう。レイナは目下狙われ中であり冒険は中止して宿屋で大人しくしているはずだ。

 案の定、レイナとフィオンは宿屋の一室にいた。

 レイナは退屈らしくすこぶる機嫌が悪い。挨拶をしても妙に素っ気ない。

 フィオンとレイナに事情やこれから数日の計画を話す。

 フィオンは理解を示してくれたが、レイナの機嫌がそこで最低最悪となった。ツンとそっぽを向いている。もっとも耳がピクピクと動いていることから、気になっているのがまるわかりだ。

 話があるから部屋の外で待つとフィオンに耳打ちする。それを内緒話と判断したレイナはふて腐れて自身のベッドで毛布を頭から被ってしまった。

 部屋を出る際に『絶対にフィオンのいう事を聞くんだよ!』と言うとレイナはムクッとベッドから起き上がり、枕を翔太の顔面にぶつけて来た。

 フィオンはすぐに部屋の外の扉の前に出てきてくれたので、これからの事をフィオンと話し合う。勿論レイナの安全に関する事だ。悪巧み事を話そうかと思ったが、後で脅かせようと思いそれは黙っておくことにした。


               ◆

               ◆

               ◆


 武器・防具店――カヴァデール店内へ入る。ここからは悪巧みの時間だ。

明日の午後には『日本刀工房』が完成するらしい。

 工事に来ている親方達は目に大きなクマを作っていた。数日間ずっと徹夜で作業を行っているからだろう。

 翔太としてはもっとゆっくり作業しても良いと思う。親方たちはガルトの熱意に負けたようだ。眠そうにも子供のような笑顔を浮かべながら作業をしていた。

 

 ガルトは今日もテンションが異常に高い。最初の無愛想さが嘘のようである。

翔太により新しくもたらされた技術により腕が急劇に向上しているからだろう。終始無邪気な笑顔を絶やさない。

 ディヴもホクホク顔で翔太の手を握って来た。

 『日本刀モドキ』の性能が口込でこの短期間にエルドベルグ中に広まり、飛ぶように売れているらしい。想定の数倍の値段で売れており、もっと作るように頼まれた。勿論、了承し工房へ入る。

 徐々に鍛刀(たんとう)も慣れてきている。3時間程度で30本の『日本刀モドキ』を作成した。今日は特に良く売れているらしい大太刀、小太刀、脇差を中心に作成した。30本中、希少級(レア)が3本、特質級(ユニーク)が27本という内訳だった。

 時間的にあと二本は作れるだろう。最後という事で翔太は鍛刀(たんとう)に集中していく。今までで一番丁寧に時間をかけて二振りの刀を完成させる。

 完成した2本の『日本刀モドキ』は今までのものとは全てが異なっていた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――

【日本刀 大太刀】

■クラス:伝説級(レジェンド)

■説明:異世界の刀。

■性能:切断、突きの両方に極めて優れている。

    力+20、体力+20の特殊効果を持つ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――――――――――――――

【日本刀 小太刀】

■クラス:伝説級(レジェンド)

■説明:異世界の刀。

■性能:切断、突きの両方に極めて優れている。

    力+10、体力+10 反射神経+20の特殊効果を持つ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(ステータスが大幅に上昇する? このチート武器何? 出鱈目じゃん。引くわ~)


「……ば、ば、馬鹿な」


 ガルトは小刻みに震える手で、伝説級(レジェンド)の【日本刀モドキ】を手に取ると、一心不乱に隅々まで眺め見る。

 その顔は青白く発汗機能が壊れているのではないかというくらい全身から多量の汗を流している。

 暫らくして、青白かった顔に色が戻ると反対に顔が火の出るように上気し始めた。


「ガルトさん?」


 翔太は戸惑いながらも話しかける。


「ぐはっぐははっははははは! ここに鍛冶の一つの完成型があるぞ! 材料も何の変哲もない鉄と鋼。設備も不完全。不完全なものから伝説の武器を作り出す。それこそが鍛冶の極地、理想の形! 儂はこの場に立ち会えて本当に良かった」


 ガルトは目尻に大粒の涙を溜めていた。ディヴは完成した【日本刀モドキ】が伝説級(レジェンド)だと知り泡を吹いて卒倒してしまう。二人の大袈裟な反応に翔太自身は逆に冷静になってしまった。


起きたディヴが聞いてもいないのに、翔太に説明しくれる。


 翔太が作成した2本は伝説級(レジェンド)

 伝説級(レジェンド)はビフレスト王国にも数本しかなく全てが魔剣や聖剣という伝説上の武器ばかりだ。

 鍛冶師が伝説級(レジェンド)クラスを作り出した事は鍛冶王国であるドワーフ王国――ドヴェルグ王国でもほんの数回らしい。それも伝説級の金属を出し惜しみしないで用いた場合であり、ただの鉄と鋼から伝説級(レジェンド)の武器ができた事は未だかつてないらしい。

 二人はそれぞれの世界に旅立ってしまい中々現実に帰還してもらえなかった。悪巧みの相談がまだ終わっていないし、ヴァージルを迎えに行く時間だ。二人の肩を数分間、揺すり続けてやっと現実に帰ってきてもらう。


「僕が次に作りたい武器の材料にオリハルコン、マズカレイト、ミスリルが必要なのですが、入手することできます?」


「ああ、全て入手可能だぞ。ミスリルは我が祖国ドヴェルグ王国で多量に産出されるので所持しておる。

マズカレイトはどの鉱山からでもそれなりに取れる金属だ。このエルドベルグの市場に行けばすぐにでも入手可能だ。

オリハルコンは我が祖国でもそれなりに貴重な金属ではある。だがあくまで貴重なだけで手に入れられんわけではない。輸出が制限されているに過ぎないのだ。儂が入手しようと思えば数千万Gあれば、数トンは手に入れることが可能だろう。儂も数トンなら持っておるしのう」


「本当ですか? ぜひ使わせてください! 僕今1億G近く持っているので払う事が出来ます。勿論今日完成した【日本刀モドキ】も全部売り払って構いません。お願いします」


「「…………」」


 翔太は終始興奮気味だった。伝説上の半ば入手を諦めていた金属が手に入るのだ。それは興奮もする。

だが翔太とは対照的にガルトもディヴも無言で頬をヒクヒクと引き攣らせている。二人の様子に興奮が熱湯に多量の氷水を入れたかのように急速に冷めて来る。


「貴重な金属ですし、やっぱり無理ですよね……そうですよね。色気を出すのを止めて鋼を限界まで鍛える事に集中します」


 翔太が勝手に納得し、悪巧みパート1から悪巧みパート2へ脳内で移行していると、大絶叫が武具の店カヴァデール店に響き渡った。


「「違あ――――う!」」


「ひへ?」


「お前、ふざけてんのか? 特質級(ユニーク)が27本に、伝説級(レジェンド)が2本だぞ。いくらで売れるとおもってる?」


「う~ん。一応伝説級(レジェンド)が2本ありますし、特質級(ユニーク)も結構あるので、7000万Gくらいですか?」


 翔太は伝説級(レジェンド)が一本1000万G、特質級(ユニーク)が1本200G万くらいだと予想した。


「全然違うわ! ドアホ! 特質級(ユニーク)一本1000万Gはする。伝説級(レジェンド)に関しては国宝級だ。値段はつけられんが、すくなくとも数億Gはするだろう」


「……いやいや。ありえないでしょ。たかが(・・・)、【日本刀モドキ】がそんな高額で売れるわけが――」


「そうか、ショウタからすれば、伝説級(レジェンド)も『たかが』になるわけか……くくく……」


ガルトは遂に砂漠の様に乾いた声色になる。


「僕はもう驚くのに飽きました。なんでも好きにしてください」


 完璧に投げやりのディヴ。凄まじい疎外感を味わいつつ、恐る恐る尋ねる。


「もしかして金属使ってもいいんですか?」


「「当り前だ(です)」」


 妙に息がぴったりのガルト、ディヴと悪巧みについて話し合う。翔太のする説明は全て初めての知識だったらしく熱心に聞き入っていた。

 数日後に生まれるであろう前代未聞の武器に思いを馳せて奇声を上げる二人。テンションがマックスに上がり飛び跳ね回っている二人を尻目に翔太は武器屋カヴァデールを後にした。

ちなみにスキル《鍛冶(第6――神級)》必要使用回数は40/64であった。


              



 個人的にはこのガルトのやり取りが書いてて滅茶苦茶楽しいです。ここから異常な武器がごろごろと開発していきます。

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