表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と俺の異世界漫遊記  作者: P・W
第二部 建国と変貌編
124/285

第18話 後始末はマジで面倒くせぇ! (2)

 

 エルドベルグのメインストリートは夜間に関わらず凄まじい数の冒険者で満ちていた。これは、オーク殲滅後に夜間にエルドベルグにいた冒険者の数を遥かに超える数だ。まあ、魔の森中域が一夜にして消し飛んだのだ。その脅威がエルドベルグにも迫っているとすれば、冒険者ギルドが過剰反応するのも無理はない。

 ギルド内に入っても、今回は一瞬視線が向けられたものの、皆、先の魔の森中域上空に出現した神の話に戻っていく。無論デリック達が傍にいないこともあるのだろう。だが、普段ならショウを観察する気持ち悪い視線を感じるものだ。加えて、近くに2mを超える巨躯の黒ずくめの男がいる。フードを深く被っている事も相まって、ショウから見てもアゼルはかなりのインパクトがある。普段なら好奇心という名の視線の的だ。それが今晩は恐ろしいほどない。要はそれどころではないのだろう。冒険者達の顔には例外なく強い悲壮感がただよっていたのだから。

 ショウはギルドの受付で冒険者達の質問攻めになっているネリーに向かって話かける。疲れ切っている様子だ。それでも丁寧な対応を崩さないのはさすがプロという所だろう。


「デリックに合わせな。ショウが会いたいと言えばわかるはずだ」


 ネリーはショウを見るとパッと目を輝かせた。冒険者達の質問という名の尋問から解放されるからだろう。心底ほっとしたような表情をしている。


「デリック支部長から伺っております。ご案内いたします。それでその……そちらの方は?」


 アゼルを連れて行くべきか迷うが連れて行く事にする。デリックには全て正直に打ち明けた方よい。その方があの手の種類の人間には効果的だろう。下手に小細工などをしたり、誤魔化したりしてもすぐに見破られ信頼を失うだけだ。


此奴(こいつ)も連れて行く。早く案内しな! 俺も疲れてんだ!」


 普段のネリーならアゼルのような明らかな怪しい男をデリックに合わせる事を躊躇したのかもしれない。だがネリーも長時間にも及ぶ冒険者達の尋問に限界が来ていたと思われる。下手にごねて、ショウが帰ってしまったら、尋問が再開される。それだけは御免被りたいのだろう。要は早くこの場所からとんずらしたいのだ。目を座らせながら、大きく頷く。


「では、ご案内いたします」


 尋問からの開放感がたまらないのかもしれない。ネリーはスキップするようにウキウキしながら支部長室へ案内してくれた。


               ◆

               ◆

               ◆


 支部長室へ入ると、先客が4名ほどいた。

 ビフレスト王国――エルバート・ミルフォード・ビフレスト、ビフレスト王国第一王女――エレナ・ミルフォード・ビフレスト、ビフレスト王国の貴族――オットー・ミラード、その執事アントンであった。

 ネリーはエルバ―トまでいるとは思わなかったのだろう。額に冷たい汗を流し、血の気の引いた絶望的な表情で一礼して部屋を出て行ってしまった。冒険者からの訊問を受けるのとエルバートと同席する緊張感を考えて、前者を選択したと思われる。

 

 アントン以外のデリックを含めた4人はショウ達を見て安堵の表情を浮かべる。アントンは例のごとく無表情だ。

 デリックには今晩、魔の森中域の怪物と戦闘状態になると伝えてあった。その、ショウが無事に姿を見せたということは事態が収拾した事を意味する。ここまではショウの予想通りの反応だった。そうここまでは――。

 エルバート達を一目見た途端アゼルの頬が引き攣るのが見えたのだ。


「餓鬼、悪い。俺、用事思い出したわ」


 そう小声でいうと踵を返して立ち去ろうとする。勿論こんな面白い状況を放っておくショウではない。全力で後ろの襟首を掴み押さえつける。散々今までからかわれたのだ。少しくらい仕返ししても罰は当たるまい。


「だから餓鬼じゃねえ。ショウだって言ってんだろ! つうか、ここまで来て逃げんじゃねねぇよ」


 ショウの顔が悪鬼のごとく歪む。その顔を見てアゼルは心の底からうんざりしたような、泣きそうな顔となった。その顔を見てショウの心は癒される。アゼルに対する初めての勝利だ。少々情けないが勝利は勝利である。その美酒に酔っておくこととする。


「餓鬼……覚えてろよ!」


 吐き捨てるようなアゼルの顔を見てニンマリと心からの笑顔を振りまくショウ。

 しかし、最初の異変はエルバートだった。アゼルをみて目を皿のようにして驚いている。短い付き合いではあるが、どう考えても普段からこのような表情を浮かべるような人物ではあるまい。ショウの威圧をまともに受けても眉の一つも動かさなかったのだから。


「お前……アゼルか?」


「…………」


 アゼルが無言でブンブンと首を左右に振る。此奴(こいつ)は阿呆だ。そのような態度をとれば肯定しているようなものではないか。普段、クールぶっているアゼルをとっちめるのは殊の外楽しい。だから、事態にガソリンのたっぷり入ったタンクを投げつけることにしよう。


「アゼル君。嘘はいけないよ。俺にさっき自己紹介したじゃないか?」


 爽やかな笑顔をアゼルに向けながら、親指を立てる。勿論死んで来いというジェスチャーだ。


「餓鬼! お前――!」


 アゼルは怨めしそうにショウを睨む。このショウの行為は予想以上の効き目をもたらした。


「「兄上!!」」


 エレナとオットーの二人が勢いよく立ち上がる。エレナがアゼルに抱き付き声を上げて泣き出した。エルバートですら、薄らと目じりに光るものがあった。アゼルのあの焦り様から多少の予想はしていたから、エルバートとエレナの反応は予想できた。

 だが、オットーの「兄上」という言葉と目から流れる涙に驚きを隠せない。  オットーは翔太に『オットー・ミラード』と名乗っていた。前にエルバートと一緒にいたことと周囲の反応から王族の関係者だとは思っていたが、親戚か何かだと思っていたのだ。まさか王族だとは夢にも思わなかった。翔太の王族ホイホイは目下発動中らしい。

 デリックも口を半開きにしたまま硬直していた。この様子だとデリックもアゼルと深い関係がありそうだ。

 これに対し、アントンのみが冷めた目でアゼルを見つめている。なぜか、アントンのアゼルに向ける視線は、ショウに対する視線よりも冷たい感じがする。

……いや、馬鹿馬鹿しい。アントンはビフレスト王国に仕える者だ。どこの馬の骨ともわからないショウより、仕える王族に対し冷たい態度をとるはずもないだろう。ショウの気のせいだと思われる。


「どういうことだ? ショウ。説明してくれ!」


 さすがはデリックだ。いち早く、覚醒しショウに説明を求めた。


「ああ、その前に座っていいか? 疲れてんだよ。俺」


 目覚めて初めてともいえる強者との戦闘は、ショウを想像以上に疲弊させていた。主に精神的な面ではあるが……。

 デリックが席に着くように進めてくるのでドンと腰をソファーに下ろす。アゼルから離れないエレナは放っておいて、話を進めることにする。アゼルは生贄にでもなってもらおう。

 アゼルからの強烈な非難の視線をスルーし話し始める。


「魔の森中域の怪物はもう中域には出ない」


「そうか。だが中域の怪物もそうだが、中域上空に出現した2柱(ふたり)の神はどうなった? ショウが無事だったということはもう戦いは収まったのか?」


 デリックは中域の怪物自体にはもはや興味がない様子だ。魔の森中域上空に出現したと噂される神の事で頭が一杯らしい。


「いや、神なんて端からいねぇよ。あの中域上空に見えたのは俺と中域の怪物の具現化した覇気だ」


「な、な……に?」


 アゼルに抱き付いて泣き続けているエレナと相変わらず無表情のアントン以外、皆、顔がこわばるほどの驚きを示した。オットーなど驚愕のため喘ぐような呼吸になっていたくらいだ。 


「それで魔の森の中域に今後怪物がでないということは其方が怪物を討伐したということか?」


 当然の疑問だ。ショウも身内の前でアゼルの事を話して良いか迷った。だが、アゼルにはそこまで気を使う必要はないだろう。短い付き合いだがショウにはそう思えるのだ。


「いや、討伐しちゃいねぇ」


「なに? ではなぜもう出ないと言い切れる? 怪物と話し合いでもしたのか?」


「まあ、そんなところだ」


 デリックが安堵の溜息を吐く。一先ずエルドベルグに迫る危機は去ったと考えたからだろう。


「怪物がショウとの話し合いに従わない場合はあり得るのか? そうなら、ショウにはエルドベルグを離れてもらっては困る。この街を壊滅させるわけにはいかんのだ」


 ショウは肩を竦めて、アゼルに視線向ける。アゼルは顔を引き攣らせながら、ブルンブルン首を振る。その様子をみて、ショウはニタリと悪魔のごとき嫌らしい笑みを浮かべる。


「だそうだ。中域の怪物、テメエ、中域で再び暴れるのか?」


 アゼルに全員の視線が向けられる。アゼルは大きなため息をつきながら答える。


「餓鬼。お前。相変わらず壮絶に性格歪んでやがんな。心配すんな。もう暴れねぇよ」


 最初、ショウとアゼルの会話の内容が飲み込めないのか、エルバート、デリック、オットーは呆然としていたが、デリックが弾かれたようにショウにつめ寄った。


「おい、おい、おい、おい、ちょって待てぇ~~~!! アゼル様が中域の怪物だったのか?」


「そうだ此奴(こいつ)が中域の魔物を狩りまくってたんだ。あの中域の惨状は俺とアゼルの戦闘跡というわけさ。わかったか? もう心配いらねぇよ」


「……悪い。少し、頭を整理する時間をくれ」


 デリックは頭を抱えながらブツブツとエルドベルグギルド職員特有の独り言を呟き始めた。


(嘘だろう? 上空に漆黒の翼をもつ巨人と、三つ頭の龍が浮かび、あの糞広い中域の至る所が破壊されたんだ。なんせ、このエルドベルグからでも上空に舞う割れた地面が見えたくらいだ。あんな非常識なことはお伽話に出てくる神にしかできん。それを二人がやった? しかも一方はビフレスト国の第一王子? 駄目だ。もう流石に頭がおかしくなりそうだ)


 独り言の内容を聞く限り今日デリックと話しても話が進展しそうもない。本当は配下となったアドルフ、チェス、アゼルと翔太との今後の関係をどうするかを話し会いたかったのだが……。

 ショウ達の敵はベルゼブブだ。翔太の状態でベルゼブブとエンカウントすれば確実に死亡する。それはショウの死も意味する。それは絶対に避けたい。ラシェルを守るという目的を達成するまでは死ぬわけにはいかないからだ。今日戦った感覚からして、アゼルはベルゼブブとほぼ同格。翔太の護衛にはもってこいなのだ。ただ唯一の誤算はアゼルがビフレスト王国の王族だという点だろう。アゼルがショウの配下になる事を、ビフレスト王国は、決して許しはしない。つまり、話が流れたということだ。

 ん……? なぜショウはこれほどアゼルを信用しているのだろうか。アゼルとショウは少し前まで命の取り合いをしていたのだ。貧弱翔太の護衛をさせるなどよく考えれば自殺行為に等しい。しかし……。

 どの道今日はもう話す事はない。ケダモノ達にも契約が完了したことを知らせにいかなければならない。

 席を立ちあがる。


「悪いが俺も忙しい。デリック、また話そう。それまでに頭を整理しておけ」


「悪いな。ショウ」

 

デリックはすまなそうに頷く。


「いいさ。じゃあな」


 手を振り、アゼルに視線を向ける。何も言わなければついてきそうだからだ。今日、これ以上の面倒は御免だ。自分のケツくらい自分で拭いてもらおう。


「アゼル、テメエ、俺の配下になるなら身辺整理くらい自分でしな!」


 アゼルは神妙な顔をして少し考え込んでいたが、いつもの皮肉を含んだ笑いを浮かべ軽口を叩く。


「言うようになったじゃねぇか。餓鬼。わかったよ。俺の方は俺でなんとかすらぁ」


(まただ。此奴、昔から俺を知っているような言い方をしやがる。此奴(こいつ)と俺は以前知り会いだった? ……馬鹿馬鹿しい。異世界人の俺がこの世界の王族と知り合いのわけねぇだろう。それにしても――)


 ショウはアントンに視線を向ける。ショウとアゼルの会話を聞いていたアントンが途轍もない殺気を発していたからだ。当初、王族を配下に加えようとしたことからの行為かと思った。だが、殺気の先はアゼルに向けられていた。もっともそれをわかったのはショウとアゼルだけのようだったが。

 デリックが悲鳴を飲み込み、オットーがガタガタ震える。芯が強そうなエルバートでさえも冷や汗を滝のように流していた。唯一、エレナだけがアゼルの後ろにいて無事だった。

 アントンは自らが殺気を出している事の自覚がなかったと見える。直ぐに殺気を抑え、いつもの空気の様な存在へと戻っていた。やはり、アントンは良く分からない存在だ。今後とも警戒は必要であろう。


 兎も角、もう、この部屋に用はない。ショウは支部長室を後にした。


               ◆

               ◆

               ◆



 ギルドハウスの1階はハワードとメリリースがいた。ショウとアゼルがギルドハウスに入って来たときには話に夢中で気が付かなかったのかもしれない。


「ショウ殿! いらっしゃってたんですね」


 メリリースがショウに気が付くと駆け寄って来た。翔太とショウの周囲にいる女と違い暴力に訴えるわけでもなく、フローラのような煩わしさもない。疲れに疲れているが、メリリースには通常の対応をするとしよう。


「よう。メリリース。ご苦労さん。エレナならもう少しで出て来るぜ。彼奴(あいつ)、今シリアスな話をするどころじゃねぇだろうからな」


「……そうですか……」


 そのショウの言葉を聞いて、メリリースは頬を紅色に染めていた顔を僅かに歪ませた。怪訝に思いつつも、ハワードも遅れてショウの元にやってきたので、二人に説明することにする。


「いま、エレナは感動の再会というやつで餓鬼みたいに泣いている。精々、からかってやんな」


 ハワードもメリリースも目を丸くする。


「か、感動の再会? ショ、ショウ殿、エレナ様と再会している御方はまさか――」


「アゼルの阿呆だ」


 ハワードはショウの言葉を聞くと、ガッツポーズをとり歓声を張り上げる。ギルドハウスの冒険者が一斉にハワードの大声に視線を向ける。普段冷静なハワードがこのような奇行をみせること自体ショウからみても意外だった。当然といえるかもしれない。

 メリリースは良く分からないようでキョトンとしている。仕方なく、メリリースに事情を説明してやることする。だが、周囲が注目している。あまり人に聞かせる話でもないだろう。お互いの鼻先が付きそうなくらいまで顔を近づける。メリリースは何を勘違いしたのか、髪の毛の根元まで顔を赤らめてしまった。


「メリリース」


「はひっ」


 メリリースの顔は真っ赤なリンゴのようになって固まってしまう。この様子と仕草が、ショウの悪戯心を刺激するが、メリリースは蒼髪の女のようなウザい存在ではない。自重することにしよう。


「アゼルはエレナの兄だ」


「お、お、お兄様ですか。お、教えてくださりありがとうございましゅ」


 果たして内容を理解しているのか不明なほど狼狽えているメリリース。というか、呂律が回っていない。そんなメリリースの頭に左手を軽く乗せ、ハワードにも右手を挙げ軽く挨拶をして二人と離れる。そして、ギルドハウスの出口に向かった。


               ◆

               ◆

               ◆


 ギルドハウスの出口の前で、蒼髪の女とすれ違った。舐めまわすような視線がなくなった以上、蒼髪女には興味を失っていたし、加えて今日はアゼルの阿呆との戦いで疲れ切っている。メリリースやハワードのような対応をとる必要もあるまい。一瞥もせずに通り過ぎる。

 通り過ぎたはいいが、また背後からあの気持ち悪い視線を向けられる。舌打ちをしながらも、ギルドハウスを出た。

 暫らくはメインストリートを歩いていたが背後から視線を感じる。【憤怒(サタン)】の索敵能力で索敵すると、青髪の女に後を付けられているらしい。このまま炎鬼のところまでついて来られても面倒だ。裏路地に入り、スキル《隠密》を発動させる。蒼髪の女は急にショウの気配が消えた事に面食らった様子で、暫らく当たりを探していたが、諦めて帰ろうとしたが逃がすはずもない。これ以上、周囲を嗅ぎまわられては不都合なのだ。

 女の胸倉を掴み持ち上げ、ナイフのような鋭い視線を投げかける。


「女ぁ、俺になんの用だぁ? 後をこそこそ嗅ぎまわりやがって」


「…………」


 蒼髪の女は何も答えない。胸倉を掴まれ空中に高く持ち上げられて苦しそうに顔を歪めている。この女はデリックの部下もしくは仲間だ。だから、実際にこれ以上手荒な真似をするつもりはない。多少脅しをかけてみただけだ。

 だが、ショウの行為に全く根を上げているようにも見えないし、実際に目から強い光は消えていない。デリックとの関係からこれ以上、蒼髪の女に危害を加えることはできない。どうやら、ここまでのようだ。ドッサと地面に蒼髪の女の身体を乱暴に落として、立ち去ろうとする。


「ま、待て!」


 苦しそうに咳き込みながらも、蒼髪の女はショウを呼び止める。


「ああ?」


「い、今からどこに行くつもりだ?」


「テメエになぜそれを言う必要がある? 二度と俺に(つら)ぁみせるな? 見せればデリックの仲間であっても、容赦はせん」


「…………」


 答えない蒼髪の女を無視して歩き出す。フローラといい、蒼髪の女といい、ショウの周りにいる女は煩わしい女が多い。これなら翔太の方が幾分ましだろう。


               ◆

               ◆

               ◆



 再び、城門へ向かうが、アルが欠伸をしながら門衛の仕事に勤しんでいた。


「アル、こんな時間までこき使われてんのか? 残業代はちゃんと請求しとけよ!」


 アルはそのショウの言葉には答えず、顔を顰める。


「ショウタ、お前また魔の森へ行く気か? 止めとけって! 一流の冒険者が例の神様達の戦いで全滅したって噂もあるくらいだ。今行くのは自殺行為だ」


「魔の森まで行くんじゃねぇよ。エルドベルグのギルドの支部長に駐屯地の指揮官に届け物を頼まれてんだ」


「そ、そうか。それなら仕方ないか……だが、十分気を付けろ」


「そうするよ。サンキューな」


 心配そうにするアルに軽く挨拶をして、城門を通りエルドベルグを後にする。

アルのように引き留められるのも面倒である。《隠密》スキルを発動させて、駐屯地を素通りすることにする。

 駐屯地は喧騒に満ちていたが、恐ろしく統率されていた。その理由はすぐに判明する。アドルフ、チェス、フィオンが指揮を執っていた。チェスとフィオンはともかくテューポと力上昇の相談しているはずのアドルフまでいるのには少々驚いた。邪魔をしても悪い。声をかけずに通り過ぎる。


お読みいただきありがとうございます。

  おっぱなさん、北海ひぐまさん、レビューを書いていただきありがとうございます。

 これがからも気合を入れて書いていきたいと思いますので宜しくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ