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僕と俺の異世界漫遊記  作者: P・W
第二部 建国と変貌編
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第10話 自分専用の武器を作ろう(1)

 昼食後、『七つの世界(セブンラビリンス)』のゲートのマーカーをフィオンに渡し、一時の別れを告げ、エルドベルグの武器・防具屋――カヴァデール店に行く。

 店の中に入り、翔太がディヴの視界に入るやいなや、満面の笑みで駆けよって来る。


「ショウタさん。昨日作ってくれた【希少級(レア)】と【特質級(ユニーク)】の武器、売れるに売れてる! ロングソードとショートソードが比較的人気かな。この調子でドンドンお願いするよ」


「わかりました。今日は防具にも挑戦してみますね」


 ディヴは喜びを額に湛え目を輝かす。


「防具も!? ありがとう。いや~、今日の1日ですでに4か月分の利益が出ているんだよ。なんせ、材料が使い物にならない鉄屑だからね。このままいけば、将来、他の都市や町に支店を持つことも夢じゃあないかも――」


「ははは。それじゃあ、今日のミーティングをはじめましょう!」


 ミーティングと聞いても、ディヴは満悦の表情を隠せないらしい。真剣な表情を作ろうとして見事に失敗していた。

 苦笑しながらも、ディヴと今日の感嘆なミーティングを行う。現在時刻は午後14時。デリックの命令により、早く眠る事が今日は強制されている。眠る時間など個人の自由だ。守る必要性までは本来ないが、あのデリックの異常なまでの必死な形相を思い出すと、今日のところは大人しく従う事にしたのだ。とすれば、鍛刀(たんとう)ができるのは5時間くらいだろう。それ以上をすれば、デリックの命令に反することになる。

 翔太専用の武器を作る時間が3時間程必要だ。とすれば、昨日と同じ2時間がカヴァデール店の利益に捧げる時間ということになる。 

 2時間のうち、1時間で昨日と同じ武器をつくり、残り1時間で防具を作る。防具を作るのは初めてだ。今日は慣らしでよいであろう。


 昨日と同様、旧ガルト工房へ行き、工房のランプに火をともし、炉に炎を灯す。加工台を軽く布でふき埃を落とす。時間も押している。始めるとしよう。


 1時間はひたすら特に人気が高いロングソードとショートソードを作成した。

結果、10本の【特質級(ユニーク)】のレベル2、10本の【特質級(ユニーク)】のレベル1、15本の【希少級(レア)】のレベル4が完成した。

 

 残りの時間で防具を作る。防具の作成方法は武器とは全く異なる。だが【深淵級】まで上がった《鍛冶》スキルのおかげで作成方法は詳細な部分まで十分に把握できている。

 

 今回作成するのは、鎧、盾である。

 まず鎧だ。プレートメイル――身体の一部を覆う板金鎧のパーツを革紐で連結するなどして着込む形態の鎧を作成しようと思う。これは急所などの身体の一部を覆うに過ぎないため、全身を覆うフルプレートアーマーと比べて動きやすく、平均的なサイズを作っておけば多くの者が装備できるからである。だが、本来鎧はオーダーメードが基本だ。あまり多くは作らなくてもよいと思われる。

 次が盾だが、これは中肉中背の者にあったサイズを作っておけばほとんど者が使えるだろう。女性用に少し小さ目のサイズを作るのも良いかもしれない。

 

 さっそく作成に取り掛かる。

 まずはプレートメイルからだ。男性用と女性用の2種類を作る。

 作成過程は屑鉄を特殊加工し、一定の強度を持たせる。その上で、身体の重要部分を覆うように各パーツの形を作る。最後に、歪な形を整え、装飾を加えて仕上げを行う。これはあくまで売り物だ。この装飾が思いのほか重要となるだろう。だが、それは翔太がゲーム培った知識から格好が良いデザインは十分すぎる程思い描ける。とんでもなく格好良い鎧を作り、ディヴを驚かせてやろう。

 盾も作成過程は鎧とほぼ同じだ。

 翔太は火と槌を自在に操り、鎧と盾の作成に集中してゆく。そして……。


 以下の防具が完成した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【プレートメイル】

■クラス:特質級(ユニーク)

■レベル:4

■性能:身体の一部を覆う鎧。俊敏性に優れている。

    体力+10 反射神経+5の特殊効果を持つ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【鉄の円盾】

■クラス:特質級ユニーク

■レベル:4

■性能: 鉄製の円盾。防御能力に優れている。

    体力+10の特殊効果を持つ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(あ~~、これも売れないね。ステータスの上昇がやばすぎる。

 それに装飾する時間がかかる分、武器よりも時間がかかり生産効率も悪い。防具は毎日少しずつ作成するか、完全、オーダーメイドにするのも良いかもしれない。ディヴさんと相談しよう)



 その後、【特質級(ユニーク)】のレベル2の【プレートメイル】4個、【特質級(ユニーク)】のレベル2の【鉄の盾】が10個完成したところで時間が来た。

 ちなみに、【プレートメイル】も、【鉄の盾】もいろいろな形を作成したから、今後より売れた形のみを作れば良いと思われる。


 受付で対応していたディヴに今日の武具が完成したことを伝えると、まぶしいような深い喜びに身を震わせながら、すぐに旧ガルト工房へ飛んで行ってしまった。

 

「…………」


 ディヴは呆然と無言で【プレートメイル】と【鉄の盾】に暫らく視線を向けていた。

 ディヴは今回の作品が気に入らなかったのかもしれない。確かに、翔太がゲームで見たようなデザインの鎧や盾をしている人はこのエルドベルグの冒険者にはいなかった。もっとシンプルだったと記憶している。ここは異世界だ。そもそも翔太とは感覚が違うのかもしれない。


「ディヴさん。今回はあくまで試作品なので、僕のセンスで作ってしまいました。次からは、お店にあるデザインを参考にしますね」


 ディヴは鎧と盾を次々に手に取ると、色々な角度から眺め回す。徐々に無表情な顔に法悦の笑みを浮か始めた。


「……凄い……これ凄く良いですよ。こんな鎧と盾など今まで見たこともありません。それにこの完成度、間違いなく【特質級(ユニーク)】クラス。もしこれが売りに出されれば……アースガルズ大陸の防具の歴史が変わるかもしれない。これもっと作れませんか?」


 ディヴは血走った目で翔太の両肩を掴みガクンガクンと揺らす。あまりの形相に戸惑いがちにも翔太は答える。


「はい。できるにはできます……でも、防具は時間がかかり、一度に作れる量も限られていますし、僕的には武器を作った方が効率が良いかと――」


 翔太が最後まで言い終わらない内に、さらにディヴが翔太の肩を激しく揺らす。


「何言っているんですか? こんな素晴らしいデザインなど見たこともないです。これは売れますよ! 絶対売れます! 

 今まで防具はどちらかというと身を守るという機能面にのみ注目されてきました。それが見ても楽しめるものに変わる。これは売れるぞ~~~~!!」


 ディヴのテンションについて行く事が出来ず、頬を引き攣らせる翔太。ディヴにあり得ない程の迫力で迫られ、毎日少しずつ鎧と盾も作成することを約束させられた。


 その後、ディヴに自分専用の【超越級(トランセンデンス)】を作成すると伝える。

 翔太が作成した武具が飛ぶように売れ、店の前には大陸中から当該武器を買い求める人々の行列ができている。今以前のように店を閉めれば、暴動が起きかねない。【超越級(トランセンデンス)レベル2】の武器の作成は翔太一人で行うことになった。新たな【超越級(トランセンデンス)レベル2】の武器の作成が見られなくて、ディヴは心底残念そうであった。


 今日の閉店時間になり次第、新しい従業員を探すらしい。確かに、ディヴのような有能な人物は経営と鍛刀(たんとう)に専念すべきであろう。《鍛冶》スキルの等級も、翔太やガルトなどの等級が高い者と為すと上がりやすい事がわかっている。新米の翔太だけが自由に鍛刀(たんとう)するのは申し訳がない。ディヴの《鍛冶》スキルの等級もできる限り早く最上級まで上げるべきかもしれない。



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