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コンヒュージョン  作者: スズキ
第2章 50年後
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16/19

京極道中記

─1年前─


パンデミック後、自動制御で発電所や工場、物流が昨日しているものの、物資は乏しい状態だった。

「小舟で川下りなんて、ハックルベリーフィンの冒険みたいね。」

不知火燎里は遠足気分だ。

「人気も避けられるし、歩くより速いしね。」

深麓は現実的だ。

ガソリンは手に入らず、電気自動車も買えない。主要な公共交通機関は生きているが、その先の交通手段はなし。地元の方の小舟を借りて移動している。

「岐阜って、川が多くて京都に近いから、戦国時代の主舞台なったと考えるとロマンがある。」

深麓はやや歴史マニアだ。

「ダイダラボッチが琵琶湖のあたりの土を掘って、富士山を盛り土したって伝承だっけ?ダイダラボッチは日本を広く移動していて、今は琵琶湖周辺に向かっていると。」

鳴神鵺は到着前に確認した。


川で下っている間、各々弓矢を自作している。

矢に高密度のオドを乗せて発射すれば、身体能力で劣る巨人に対抗できるからだ。


「燎里がこの世界に転移して1年かぁ。そういえば、どうしてそうなったんだっけ?」

鳴神鵺が尋ねると、

「下校途中で死神に追われて、偶然こっちの世界の裂け目が見えて逃げ込んだの。」

「ふーん。コンヒュージョンホールからきた訳ではないんだ。あれから死神は現れてないね。」

(死神ってのは、蝶花が放った式神ね。時空系だから狙われたか?)

鵺は直感する。

「こっちにきてすぐ感染して、その時介抱してくれた黒猫の女の子が、私の存在を書き換えて見つからなくしたって言ってたわ。」

鳴神に緊張が走る。

(伊吹御影!?姿を変える能力は聞いたことがあるけど、存在を書き換えるなんてできるの!?)


罹患時、燎里の最高血圧は200、脈は120、血中酸素濃度は80%。頑張って呼吸をしているが酸素が取り込めない状況で、肺炎を起こしていた。

伊吹御影は、燎里の肺炎の患部を書き換えて治療した。


ダイダラボッチは人間に有効的だった。

しかし、人間と競う性格で、結局一戦交えた。弓矢で距離を取った闘いが功を奏し、両者互角て幕を閉じる。


往路では、滋賀県で鉄鼠(石の身体と鉄の牙を持つ)と対峙したが、帰路でも、琵琶湖にゴミを捨てた深麓がだくらい様(猿の顔、狸の胴体、虎の手足、尾は蛇。身長70mで天狗に似ている。羽団扇で火災を起こす)に襲われたり、三上山に絡み付いたとされるオオムカデ(1億od)と遭遇した際は、国際親善部全員がバラバラになり、1週間ほど野山をさまよった。


「無人島物の気分。鳥を捕まえたり、洞穴を探したり(河内の風穴?)、のろしを立てたり、春だからマルベリーや山菜が採れたわ。」

都会に住んでいた不知火燎里にとって、新鮮だった様だ。


───現在


「琵琶湖遠征で燎里の過去を聞いたんだったね。」

京都から戻った鵺は、燎里に向かって語りかける。

「成功の可能性はゼロに近いんだよね?それに、私じゃ蝶花って人の相手にならないよ?」

燎里は四次元装置使用に反対する。

「蝶花に対抗するには、土御門和奏と天音瑠流を救出する必要がある。そのためには、時空系能力者が必要なんだ。蝶花を倒さないと全員犠牲になる。」


不知火燎里は伊吹御影の厚意を思い出す。

「あの女の子も。」

迷いつつ、

「私やる!」

燎里は決心する。

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