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コンヒュージョン  作者: スズキ
第2章 50年後
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異常

教師は、伊吹白羽の名前を聞いて驚く。

「お前たちには伝えていなかったが、今回の依頼主は戸籍がない。名前は伊吹白羽。裏社会では名の通った人物だ。そこの娘と同性同名だな。メッセージでのやりとりのみで、顔も声も見たことがない。」

伊吹白羽は、密かに教師の端末に侵入し、メッセージから依頼主の身元を特定し駆け出す。

「おい、どこへ行くんだよ!」

神々廻が声をかけたが、白羽の足が速すぎて見失ってしまう。



白羽は見つからない様に、通信回線から、依頼主の元に侵入する。

そこには金目銀目で白髪の老婆が、揺れ椅子《ロッキングチェア》に揺られて悠然と読書をしている。

「おばあちゃん。知らない人が入って来たよ?」

10歳ほどの女の子が、老婆にしがみついている。

「待っていたわ。私が一番よく知る人だから安心して。」

女の子は白羽を見つめる。

「私は何者なの?」

白羽は老婆に問いかける。

「あなたは私。世界を救うにはあなたの能力が必要なの。私にはもうできない。」

白羽は動揺する。

「ミシェルに頼んで、あなたが生まれたの。宇宙にいる仲間達は今、それぞれ役職に付いて、地球の事にかかずらわれない。」

「地球には、不老不死の天音瑠流や土御門和奏、羽曳野喋花がいるはず。」

白羽の問いに、老婆は表情を曇らせる。

「羽曳野喋花。彼女が全ての元凶だった。」

「蝶花は封印後も目覚めていたの。」


羽曳野喋花は、人々の恐怖から逃れるように、封印されたふりをし、精神体で誰かに憑依し続けた。

奈良時代のヤマタノオロチ、平安時代の酒呑童子や鵺、室町時代のオオムカデの討伐には蝶花が関わっていた。その度に、蝶花は世間から妖女と恐れられた。年を重ねる毎に蝶花のオドは強くなり、はるか昔に次元の壁をも超えていた。


羽曳野喋花を代々封印してきた一族は時の経過で廃れ、飛鳥時代には蝶花は封印から出ていた。

土御門和奏が訪れた時は、自らを封印し偽装した。

天音瑠流が討伐された事は誰も知らない。皆には急に姿を消した様に見えた。

蝶花の歴史改変能力は、和奏と瑠流の目も欺いた。


そして、蝶花は人類を恨み、殺人ウイルスをまいた。陰陽師が虫や蛙を使役する様に。


白羽には信じられなかった。

「あの優しかった蝶花が。」

しかし、気を取り直す。

「土御門和奏なら時間を巻き戻して、全てをやり直せる。」

老婆は白羽を見据える。

「彼女50年前から行方不明なの。」



土御門和奏と天音瑠流は、時代を転々としたが、都度蝶花の式神に追われていた。

そこで、それぞれ蝶花の目が届かない人間のいない太古の時代に身を隠していた。

正確には身動きが取れなかった。

蝶花にとって唯一の敵は2人。

長らく精神体だった蝶花のオドは、人間をはるかに超え800兆odあったが、力を隠し続けていた。

そのため、吸血鬼や獣人は目こぼしされていたのだ。


通信回線からしれっと傭兵校に戻った白羽。

「どこに行ってたんだよ。」

と、聞く神々廻に対し、

「トイレ。」

(蝶花の事を話しても信じないし、周りが動揺するだけね。)

と答え、神々廻は動揺する。

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