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とある郎人、斯く語りき。
「われわれひとのかたちは完全ではなかった。われわれひとのかたちは不安定だった。石の如き悠久からは見放されたものだった。
もの織りなすは三種の力、黄金と白銀と無色が重なって、生きたものになっていた。
石には黄金が欠けていた。白銀と無色の重ね合わせでは、悠久であっても生きてはいなかった。
木には白銀が欠けていた。黄金と無色の重ね合わせでは、森厳であっても悠久ではいなかった。
ひとではないものは紺灰が多かった。黄金と白銀と無色と紺灰では、生きたものには戻れなかった。
遥かなものは朱赫も多かった。黄金と白銀と無色と紺灰と朱赫では、どこにいることもできなかった。
われわれひとのかたちは不完全だった。けれど、不完全なわれわれが、大地を満たして地を均した。
きっと他より劣っていた。けれどわれわれは、黄金のいのちと、白銀のこころと、透明なたましいを持っていた。
いのちは明日を、こころは昨日を、たましいは今日を待っていた。だからこそわれわれは、大地を満たせた。地を均せた。
きっと何かが多くとも、何かが少なくとも、われわれは生きたもの足りえなかった。不完全なわれわれは、不完全なまま生きるべきなのだ。」




