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とある郎人、斯く語りき。
「天も地もなく、昼も夜もなく、光も闇もなく、時間さえなかったところ、明るい虚ろが満ちた闇だけがあった。
虚闇はただ在り続け、いつしか偏りが生まれた。偏りは筋となり、同じ側へ流れた。流れた筋が時間になった。
流れた筋には重さが積もった。積もった重さはいくつもの塊に分かれ、それぞれすべてがものとなった。
あるものは輝き、いのちとなった。あるものは煌めき、こころとなった。あるものは透き通り、たましいとなった。
ほとんどのものは、かたちをもたないことばになった。分けるもののないかたちとなった。
いつしか黄金のいのちはこころを満たし、たましいの寝床となった。生きたものになった。
いのちは燃え盛り、黄金のヴェニアスを生じた。こころは静かに光り、白銀のセージを生じた。たましいは冷たく透き通り、無色のデミアルゴスを生じた。
外側のものものは纏わりつき、紺灰のディルミルを燻らせた。遥かな高みから降るものは深く突き通し、朱赫のスカッドラウスを焼き付けた。
いのちは尽きて灰と煙になり、こころは眠り白き慈雨を降らせ、たましいは沈みいのちが巡るのを待ち続ける。
魔性は神性とひと続きとなり、虚闇の向こうへと流れていく。
巡り廻って、それらはすべて世界となった。これら回るものものが、われわれの始まりだった。
すべては全き虚闇の中から生まれ出で、充ちた光の天蓋へ還っていくのだ。昼と夜の繰り返しが、続いていくのだ。」




