第9話 エッチな装備はいけないと思います
ふむ。実家の仕送り(刺客)が止まらない。
数時間おきにやって来ては、高そうな装備の数々をフル装備して俺に襲撃をかけてくる。
ただ王都を目指しているだけで、勝手に資金調達ができてしまうという永久機関の完成である。
「俺たちの記憶を全て改竄して変態に変えてやろう。パンツ以外の服やお前たちが持っていた道具は、俺たちを襲って来た罰としてもらうがな」
「嫌だ! 止めてくれえぇぇ!! 嫌だあぁぁぁ!」
俺の「黑色」魔法は、なかなかえげつなく便利だ。精神操作、物理異動、変幻自在と多種多様な能力を有している。
これで、もっと「黑色」魔法の練度を上げていけば、もっと面白いことができるかもしれないな。
「ウキ? ウキキキキキ!!」
殺し屋自身を自分が「猿」と思い込ませて、俺の実家の屋敷に悪戯するように暗示をかけて解き放つ。
「達者でな~! ふむ。この殺し屋、『幸運の首飾り』など付けているとはな。イリス嬢、首に付けておけ。幸運のステータスが上がるからな」
「はい! リーンさん!」
倒した殺し屋から没収した戦利品を人型に戻ったイリス嬢と物色している。
「……あの最低では」
「うむ? 何がかな? ユリセントさん」
そんな光景を呆れた顔で見ているユリセントさん。どうかしたのだろうか?
「い、いえ。たしかに襲って来る方々を返り討ちにするのはいいんですが。あの殺し屋の方達。今頃、何してるんですか?」
「ふむ。分からんな。なにをやらかしているのだろうな」
◇
〈シュラハン公爵家 本邸〉
「「「ウッキッ!ウッキッ!ウッキッ!ウッキキキッ!」」」
「止めろ!! 貴様等!! 公爵家の屋敷に火を放つなど。前代未聞だぞ!! 止めろおぉぉ!」
「だ、旦那様!! お逃げを!! 屋敷内全体に火が回っております!!」
「くそがああぁぁ!! なぜ、リーンを殺しに行った者達が、なぜ戻って来て屋敷に火を放っているんだあぁあ!!」
「「「ウキキキキキ!!! ウキッウキッ!! ウキッウキッ!! ウキッウキッ!!」」」
◇
「さあな。今頃は大変なことになっているんじゃないか?」
「……悪い顔。相変わらず、性格が悪いですね。リーン様は」
「うむ。俺は悪役貴族の小僧だからだな」
「またわけの分からないこと……リーン様は、もう!」
そんな襲撃が続いていくと、戦利品も増えていく。背中に大量の魔道具や武器をが入ったリュックを背負って、ユリセントさんを両手に抱き抱え、イリス嬢を小猫に戻して走り続けた。
着いた先はトルセント街という、シュラハン領地とシシリアン領地の境目にある街だった。
この街には昔馴染みの俺の悪友が居るため。そいつにこの戦利品を全て売りさばき、ついでに必要な旅の装備も買い揃えようという算段だ。
「………ふぁ~……暇だ……」
ドガアアァンン!!
「ねえぁあぁ!? なんじゃあ? わしの店の扉をぶっ壊す奴は?」
〈リリム魔道具店 支店長マハ〉
「やぁ、マハ。久しぶりだな」
「ここが魔女さんのお店ですか?」
「ニャァ」
「お前。……クソガキリーン!? てめえぇぇ!! よくも店の扉を破壊してくれたなあぁ!! 弁償しろ!!」
魔女の定番な服を着た、紫髪のロリっ子が俺たちを出迎えてくれた。
「はぁ? 「リクシルの尻石」「ヨルムの秘分」「クリテュリスの胆」……お宝ばっかじゃねえか。買い取らせろ。良い値段付けてやる!! これなら壊した扉の修繕費はチャラにしてやる!」
「うむ。全部盗品だがな。……旅に出る。「魔道テント」「魔力馬車」「影絵のマント」が欲しいんのだが。あるだろうか? マハよ」
「あん? そこら辺に転がってるだろう。一番良いのを見繕って持ってけや」
「ふむ。感謝する」
魔女マハ・リリム。『ダーク・イリュージョンエローライフ』のNPCキャラの1人で、とある条件を満たせばあっという間にヒロインへと早変わり。口説けば一日でやれてしまうインスタントヒロインの1人で、この世界では俺の悪友だ。
「リーンさん! 似合う!」
天使のような微笑みで、《《ちゃんとした服装》》をしたイリス嬢(人型)が、俺に話しかけてきた。
「お~! 動きやすそうな、いい服だな。イリス嬢」
「えへへ、ありがとう。リーンさん!」
イリス・ユーフォリア
頭・メルクのフード
服装・シーシャの上着と短パン
武器・エロナの短剣
アクセサリー・幸運の首飾り
イリス嬢はなんと、俺と同じ14才だった。年相応に似合う動きやすい服装をユリセントさんにお願いしたんのだが。
ユリセントさんのセンスが良かったようだ。イリス嬢の旅装備はとても似合っていた。流石は女主人公、外見ビジュアルは最強クラスだな。
「……あの……なんで私はこんな格好《装備》をしないといけないんですか? リーン様……」
「お~! ユリセントさん。……旅立つ前よりもエロい身体に成長してないか?」
「あんまりジロジロ見ないでください! エッチ//// 鬼畜なご主人様////」
ユリセント・カフェテリア
頭・魅了の帽子
服装・踊り子の水着 魅惑の薄いフード
武器・リーンの黑剣
アクセサリー・誘惑のピアス ムッツリーニの腕輪 誘いの指輪
殆んど裸と変わらない露出装備に身を纏ったユリセントさんが、俺を誘うようにそう告げる………このパーティーのセクシー担当になったのだから仕方ないとは、口が裂けても言えないな。




