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第7話 なぜ懐かれているのです? ピキッピキッ!!なんですけど!

 side:ユリセント


 私の名前はユリセント・カフェテリア。


 公私ともに、大切なご主人リーン様に御使いする専属メイドです。


「リーンさん! リーンさん!」


「おー、よしよし。お手だな。イリス嬢」


「ニャン♪」


「うむ。それは猫だな」


「うん♪ リーンさん! リーンさん!」


 目の前には、ピンク色髪の凄く可愛い女の子。リーン様とジャレ合っているんですけど。


「貴女。フードを被っているだけで服は着てないじゃないですか! ハレンチです! リーン様から離れなさい!! それにリーン様。これは私への浮気ですよね? 浮気は許しませんよ! リーン様!!」


「ニャア?」

「な、何を怒っているんだ。ユリセントさん。俺はただ、欠損少女を助けただけなんだ」


「お黙って下さいっ!」


 全く。人が少し目を離すと、すぐに可愛い女の子をナンパするなんて。家を追い出されて切羽詰まっている状況ですか。リーン様!



「イリス・ユーフォリアさん……ですか? 私の名前は、ユリセント・カフェテリア。リーン様の専属メイドをしております。以後、お見知りおきを」


 社交辞令です。メイド服の両裾を優雅に上げて、ちゃんとした挨拶を行う。だいたい人は挨拶でその品格のレベルが分かるのですが、この方はどの位のレベルなんでしょうかね……


「あぁ、変態仮面から助けたら。懐かれた」

「よろしく……ユリセント」


「は、はい。よろしくお願いします。イリスさん……もう呼び捨てですか。」


 手を軽く上げて目も合わせないなんて、それに身体をこちらへと向けもしない……しゅくじょの教養をあまりされてこなかったのでしょうか?


「………多分、人攫いにあったのだろう。そこで長年飼われ育てられている。精神的にダメージを受けたせいで軽い幼児退行まで起こしているのだよ」

「リーンさん! リーンさん!」


「幼児退行…ですか。なるほど」


 リーン様が悲しそうな顔で、イリスさんの事情を私に教えてくれました。


 なるほど。この娘がまったくリーン様から離れようとしないのも、それが理由でしょうか?


「……その娘をどうなさるのですか?」


「どうなさるか。……一緒に連れていくしかあるまい。帰る家もないと、先ほどイリス嬢に聞いたら即答されたしな」

「ない!」


「それは。……そんな弱りきった女の子を連れての逃避行などリスクがありすぎませんか? 王都にまで着けば、教会の孤児院に保護してもらえるでしょうが」


「"王都の孤児院“か。……却下だな」


「え?」


 リーン様は、苦虫を噛み潰したような顔で私にそう告げました。懐いて甘えるイリスさんの頭を撫でながら。


「この娘は、普通に暮らせるようになるまで、俺が面倒をみよう」


「面倒を見るってっ! そんなっ! 使い魔みたいな小動物じゃないんですよ。不自由な身体の人を一緒に旅に連れていくなんて……リスクが多すぎます」


「ふむ。それならばイリス嬢を使い魔にして、連れて行こうか」


「……はい?」


「丁度、隠し財宝の中に『獣化魔法』の魔道書があったのでな。字は読めるか? イリス嬢」

「字、読める」


「…………いや、ちょっと。なにをやらせてるんですか。リーン様」


「ふむ。では、読んで小動物になるんだ」

「うん。……ニャンニャンニャン♪」


 『獣化魔法』の魔道書を読んだイリスさんは光だして……


「ニャン♪」


「……可愛い子猫になっちゃいました」

「ふむ。これで肩に乗せて移動もスムーズだな。ハハハ!!」


 なんという事でしょう。旅の仲間が1人いきなり増えてしまいました。




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