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第6話 欠損主人公(♀)との邂逅

 十八禁ゲー『ダーク・イリュージョンエローライフ』の主人公は2人いる。


 冴えない普通の優しいだけが取り柄の男の子キャラと……悲しき過去を背負った心に傷を負った女の子キャラだ。


 前者を選ぶとハーレムエロゲールートとなり、ニャンニャンする。後者を選ぶと濃厚レズな百合エロゲールートとなる面白いゲームシナリオだ。


 そして、女の子キャラにはデフォルト名がたしか。……イリス・ユーフォリアだったか。



くれないあおのオッドアイに右目下には泣き黒子ほくろ。……ふむ。仮面男よ。もう一度聞くぞ。貴様、その娘をどこで手に入れて何故欠損させた?」


「………フゥー……フゥー……ゥゥゥ」


 涙を流しながら俺に助けを求める目をしている。無理やり連れ回されているようだな。


「質問が多いですね。奴隷市場で買ったと……言ってるでしょうがああぁ!! 〈氷槍アイス・ランス〉」


 仮面男が杖を地面へと叩きつけると、たちまち地面は凍りつき俺めがけて氷の柱が這うように延びていく。


「いきなりだな。なにをそんなに焦っているんだ? 〈黑ノ子刀(ブラック・ダガー)〉」


 しょせんは小物か。どういう経緯いきさつで《《欠損奴隷なんぞに落ちるはずもない》》女主人公を手に入れたのかは、深く興味があるが。……今は救い出してやるのが最優先事項。


 俺は「黑色」魔法で短刀を作りだし右手で振りかざし、一気に下へと払った。すると俺へと向かってきた氷の柱は軌道を不自然に変えて仮面男の元へと帰っていく。


「は? 魔法の障壁ですか? なぜ、私の方へと戻って……」

「ふむ。氷に気を取られて、自身の周囲への警戒が疎かになっているぞ。〈黑射執刀ブラック・カッティング〉」


スパンッ!


「……おや? 私の左腕から大量の血飛沫ちしぶきが……ギャアアアア!?」


「…………ぅぅぅ!?」

「ふむ。主人公である君に死なれると、この世界に何が起こるか分からないのでね。悪いが回収させてもらうぞ」

「……ヘァ?……ぁぁぅぁぃ……!」


 氷が仮面男に返って来るよりも早く、仮面男へと近づいた俺は、なんの躊躇ためらいもなく仮面男の左腕を切断し細切れにした。


 そして、仮面男に捕まり身動きが取れなくなっていた女主人公イリス・ユーフォリアを抱きかかえて仮面男から急いで離れた。


「いだい……私の左腕があぁぁ!! いだいいいいい!!」


 自身の左腕が突然失くなったことに興奮し、とてつもない痛みに襲われているのか。仮面男は地面を転がって回っている。


「おいおい。いいのか? そんなに余裕そうなパフォーマンスなどして。……来ているぞ。お前が俺を殺そうとして放った氷の柱がな」

「へぎゃああああ!! いだい……いだい!! この悪ガキが!! やはりシュラハン公爵家のガキは噂通りの悪童……あ? なんで、氷の柱が私の前にぃぃ!? ギャアアイアアア!!」


 ふむ。俺を悪ガキと思って油断し過ぎだな。氷の柱に身体中を貫かれて大怪我を負うとは。あれでは暫く動けず、いずれは森のモンスターに襲われて終わりか。


「………猿ぐつわとは。悪趣味な。服もボロ布のような物でほとんど裸同然だな」

「……ンンンァァ!!」

「あぁ、今外してやろう……よっと」


 女主人公イリス・ユーフォリアの口元に付けられていた猿ぐつわを外してやる。よく見ればこの猿ぐつわ、SMプレイ用に使用する物に似ているな。……あの仮面男。変態趣味だったのか。


「……ヒァ……ぅぁぅ……ありぁとぅ……ありぁとぅ。たしゅけてくれてぃたりあとぅ」


 猿ぐつわを外して喋れるようになると。彼女は大粒の涙を流して感謝し始めた。


「ふむ。歯もボロボロで抜き取られているのか。それでは上手く喋れないのも当然だな。先ほど手に入れた秘薬だ。ゆっくりと少しずつ飲むのだぞ」

「……しゃぃ……んくぅ……んくぅ」


 傷だらけの彼女に、ちびちびと秘薬を少量ずつ飲ませていく。


「ひ、秘薬があるのか? わ、私にもそれを飲ませろ!! お前のせいで身体中に穴が空いたんだぞ。責任を取れ!! シュラハンの悪童。私の身体を元に戻せえぇ!!」

「おや? まだ生きていたのか。さっさと死……いや、殺すのは不味いかユリセントさんも居るしな。気絶していろ。変態仮面。〈黑妖蝶ダーク・リフレイン〉」」

「なんだこれは?……黒い蝶?……止めろ。私になにをする気だ? 来るな!! 私に触るな止めろおぉぉ!!」


 変態仮面の頭へと〈黑妖蝶ダーク・リフレイン〉放つ。これで奴のこれまでの記憶の順番を可笑しくして、俺たちの記憶の一切を忘れさせよう。


「!……ぁぁぁぁ……身体熱い!! 身体熱いのおぉぉ!!」

「おぉぉ!! 欠損した部位からニョキニョキと新たな身体が再生していく。流石は秘薬だな」

「熱い! 熱いよおぉぉ! 助けてえぇ! 君誰?」

「ふむ? おぉ、俺の名前はリーン。ただのリーンだ。よろしく頼む。イリス・ユーフォリアさん」

「イリス・ユーフォリアアァァァ? それがボクの名前なのぉぉ!? ハァハァハァ」

「うむ。そうだが……ふむ?」


 欠損少女の身体が元に戻っていき。息を切らせながら恍惚の表情をしている。


 そういえば。彼女に飲ませた秘薬には、媚薬効果もあり。傷が再生する際には気持ちよくなるとか攻略サイトには載っていたが。


「流石はエロゲーの世界。細かい所でエロいイベントを用意しているな」

「リーン。熱い。ボクの身体が熱いよおぉぉ! それに気持ち良いのおぉ!! どうしよう? リーンさん!リーンさん! 助けてくれてありがとう。リーンさん!リーンさん!リーンさん!」


 俺の身体へと抱きつきすり寄って来るな。それ程までに“欠損からの再生"とは気持ちが良いものなのだろうか?


「う~む……治っているが。イリス嬢。秘薬の副作用で、軽くトリップしてないか?」

「リーンさん!リーンさん!」


 軽イキというやつだろうか? イリスの身体の欠損は治ったのだが。発情している……俺に。


「お、落ち着け。俺は、いずれ君の障壁になる男。こんな危険な男と仲良くなるのはよろしくないぞ」

「よろしくなくないよ。助けてくれてありがとう。ハァハァ……これからボクが一生掛けて恩返しするからね。リーンさん」

「……え~?」


 なんというとんでもない展開。どうしてそうなる。そして、そのタイミングで〈黑盧結界(ブラック・ボックス)〉の持続時間が切れ、閉じ込めていたユリセントさんが解放された。


〖ちょっと! いい加減にここから出して下さい。リーンさ……ま?〗


 俺とイリスが抱き合っているのを目撃し直視するユリセントさん。


「……やぁ、ユリセントさん。おしっ●は楽し……ぶごお!?」

「リーンさん!リーンさん!」


 ユリセントさんに胸ぐらを容赦なく捕まれた。なぜだ?


「誰ですか? この美少女。こんな短時間の間に、どこで引っけてきたんですか? ちゃんと説明して下さいね」

「……いや、引っ掻けてはいない。助けただけなのだが」

「問答無用!! ちゃんと説明しなさい! 浮気者!!」


 その後、俺はユリセントさんに怒られながら尋問され、大変だった。

 



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