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第18話 王都ショタコンパンデミックNo.5 この性悪に天誅を

 深夜。

 イーア・ナール城内に潜入した俺は、ミラ・ルミナとシスター・ローリエと共に王城へと侵入し、ブース・ジュクージョの元へとやって来た。


「フヒヒヒ!! 王都中、暴動でお祭り騒ぎねぇ。ねぇ? あたくしの若くて可愛い夫たち」

「ううぅ……お家に帰して」

「……おばさんのお世話なんて、もう嫌だよ」

「パパ……ママ……」


 宰相の部屋では、醜く太った熟女と、両手両足を鎖で繋がれた美少年たちが王都を眺めていた。


「王女に毒を盛って、昏睡状態にしたまではよかったけど。なんで、あたくしが一番欲しかったリーン・シュラハンが行方不明なのよ。せっかく廃嫡まで追い詰めて、出奔させて、あたくしの旦那にする計画が台無しじゃない」


 ……勘弁してもらいたいものだ。


 ふむ。

 それにしても俺が家を追い出されたのには、あの熟女が関わっていたのか。それは知らなかったな。


「……ブースの奴。あんな若い男の子たちに鎖なんて……許せない」

「落ち着け、ミラ。騒げば見つかり、近衛兵を呼ばれるぞ」

「そ、そんなの分かってるわよ、ローリエ。でもこのままじゃあお母様が……」

「誰がロリだ」

「言ってないわよ!」


 などと言い合っているが、なんとミラ・ルミナの方がイーア・ナール王国の王女で、シスター・ローリエは元宰相というのが本当の正体だ。


 これは俺の憶測なのだが。俺が女主人公《イリス嬢》と行動を共にしていたため、今回起きている「王都ショタコンパンデミック」に俺も巻き込まれたのではないかと予測している。


「まぁ、元凶がすぐ近くに居るのならば、さっさと倒してしまうのが吉だろう。――『黑色』魔法・〈黒刀ブラック・カトラリー〉」


「は? アンタ……じゃなくて、リーン! 何しようとしてんのよ!」

「これが……『選ばれしシュラハン』の黒の太刀……」


 まどろっこしいのはもういい。さっさと終わらせよう。


「女王様も城の衛兵たちも、ブース・ジュクージョとその一族の催眠魔法にかかっているだけなのだろう? ならば、一夜でこんな騒動など終わらせられる。……〈黒の霧切きりせつ〉」


 粒子化させた「黑色」魔法をブースの部屋の中へと放ち、ブース宰相の体内へと侵入させる。それと同時に、捕らえられている美少年たちの鎖と、ブースの魔力回路、そしてあらゆる神経系を容赦なく切り裂いていく。


スパンッ! ズドドドド!!!


「がはぁ!?」

「「「え?」」」


 捕らえられていた美少年を自由に。ブースからは神経系と魔法の力をすべて奪い、身動きできないようにした。


「これは、アンタの仕業なの? リーン」

「手慣れているな。お前、相当実験しただろう」


 盗賊相手に無双はしたが……この国の元宰相に話す気はない。


「……ジュクージョ一族の身動きは俺が止めていく。ブース宰相を縛り上げたら、美少年たちと一緒に地下に捕らえられている貴族たちを解放してやってくれ、シスター・ローリエ」

「……理解した。そして、お前は後で制裁してやる」

「ちょっと! 待ちなさいよ。一人であの一族を相手にするなんて無茶よ! あいつらは洗脳魔法が得意で、目が合っただけで洗脳されるのよ!」

「ミラ……王女殿下。いいか、こいつは色々と分かっている。逆に我らが一緒に行動している方が足手まといになるからな」

「……そんな」


 反応はしないぞ。

 王女とのフラグなど立ててたまるか。俺はただのモブ。その役目はイリス嬢のものだからな。


「お前たち。解放したばかりで悪いが手伝ってくれ。捕らえられた者たちを解放して、政権を取り戻すぞ!」

「ローリエ様! 怖かったよぉ!」

「ロリロリ! どこに行ってたんですか!」

「助けに来てくれてありがとう、ローリエ」

「お、おい! こんな時に抱きつくな、お前たち!」


 ローリエが美少年たちに囲まれて照れている。なんだ、あのロリロリ。美少年に大人気なのか。そこは原作と違うんだな。


 まぁ、この世界はナイスバディよりもロリ体型の方が男にモテるから仕方ないな。可哀想なのは、ミラ王女殿下だが。


「……アンタ。なんで、わたしに同情してるような目を向けてくるわけ?」

「……いや、なんでもない。それよりも終わらせるぞ、この簡単なショタコンイベントをな。〈黒粒洗〉」

「ミラ王女殿下。女王様を救いに行くぞ!」

「あっ! ちょっと待ってよ、ローリエ! まだリーンとお話が……」


 黒色の霧が王城内を包み込む。この技は「黑色」を霧散状態でばらまき、指定した魔力回路を感知すると魔法が活性化して、ブースの時と同じように体内の神経系と魔力回路を切り刻む。


『オギャアアアア!?』『ギャああああ!!』『がああああ!!』


 王城に居るジュクージョ一族の断末魔だろうか。城中から聞こえてくるが、気にもならないな。


「これも全ては、イリス嬢のためだ。王女とのフラグもできたようだし、万々歳だな。良かったな、イリス嬢」

「リーン様。遅くなりました」

「しゃ、しゃ、しゃ、もう終わったか? 悪友」

「ユリセントさん、マハ……あぁ、簡単に終わった。後のことはローリエ殿に任せて、スラム街に帰るとしよう。英雄扱いされたくないのでな」


 王城を支配していたジュクージョ一族も無力化した。王都は明日にでも正常化していくだろう。

 

 そして、悪役でもないモブの俺は、騒がしい王城から静かに去ったのだった。

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