第17話 王都ショタコンパンデミックNo.4 シスターローリエ
「豚汁が食べたい者はどんどん食べてくれ。まだまだあるのでな」
「「「は〜い!」」」
「ねぇ、アンタ。貴族なんでしょう? なのに孤児の子達とも普通に話してるなんて。身分とか気にしないのね」
ミラ・ルミナが豚汁を食べながら俺の隣へとやって来た。
「俺は、悪役貴族役を放棄している。今はただの炊き出し小僧だ。せっせと働かねばな。ハハハ!!」
「……言っている意味が分からないわよ」
「ふむ。まぁ、そんなことよりも質問なのだが」
「な、何よ? い、言っとくけど、ワタシは今、フリーよ。大特価よ」
……俺は、彼女になんの話をされているんだろうか?
「スラム街の子達はこれで全部だろうか?」
「え? ええ、そうね。貴族の女の子たちも含めて皆居るわ」
「そうか。もしかして、ここに居る貴族の女の子たちを王都の住民から匿っているのか?」
「……アンタ。見かけによらず勘が鋭いわね。その通りよ。シスター・ローリエが許可してくださったの」
「いや、見れば分かると思うのだが。シスター・ローリエか……」
シスター・ローリエ。王都のNPCキャラの1人だったな。
「ミラよ。そのシスター・ロリに会わせてくれないだろうか? 色々と質問したいのでな」
「いいけど。アンタ、シスター・ローリエに『シスター・ロリ』なんて言ったら殺されるわよ。あの人、体型を凄く気にしてるんだから」
「ああ、そんなこと言われなくても知っている」
「?」
エロゲーでも、大きいお友達(ロリコン達)から大人気だったからな。ゲーム内でも、シスター・ローリエの目の前で『ロリ』と言うとぶち切れていたものだ。
とりあえず、大量の美少女たちに囲まれながら絶賛モフられ中のイリス嬢に炊き出しを任せて、俺はミラと共にシスター・ローリエの所へと向かうことにした。
「イリス嬢。フラグ建築、頑張るのだぞ」
「可愛いですわ、モフモフですわ!」「癒されますぅ」「わ、わたしにも抱かせてくれ〜!」
「フニャアアアアア!!(リーンさん、置いてかないでええ!!)」
ふむ。炊き出しをやって良かった。さっきまでの殺伐とした空気が消えて、和やかなムードになっている。これでイリス嬢もヒロイン攻略に精を出せるだろう。
「ニャアアアアア!!(待って! リーンさ〜ん!)」
◇
《セレント教会》
「おお! 本当にロリロリ体型だ……ごはぁ!?」
ドガアアアアアンン!!
「天誅……誰がナイスバディだ」
「リーン!! ちょっと、シスター! 初対面の人に何するのよ!」
「我はナイスバディの18歳だ。覚えとけ小僧」
「りょ、了解した。ナイスバディなシスター・ローリエ」
「分かれば宜しい。それと、我の前でその名前
(ロリ)を口にしたらぶち殺す」
……エロゲー同様に殺意が高いロリシスターだな。
教会に辿り着き、扉を開けて「ロリロリ体型」と言っただけで腹部をおもいっきり蹴られると
は。
「お前。シュラハン公爵家から廃嫡されたクソガキだな」
「うむ……」
「それなら今、王都で起きている圧政のことは深く理解しているな。手伝え。そうすれば、このスラム街と教会をお前に貸し出してやろう」
「……了解した。シスター・ローリエ……ごはぁ!?」
「誰がロリロリ体型だ。我はナイスバディだ!」
……このスラム街のキャラたち、皆キャラ立ちし過ぎではないだろうか?
そして、このロリっ子。俺の正体に何か気がついているな。流石は王都の案内役《NPC》だ。
◇◇◇
《一方その頃 ユリセント一行》
ユリセントです。リーン様とははぐれてしまっていますが、王都中で暴動というイベントが始まったらしく、身動きが取れません。
そのため、王都でも人気のカフェにやって来ました。その土地の情報収集といえばカフェだとリーン様が仰っていましたので、店員さんに聞き込み中です。
「新宰相による圧政ですか」
「そうなのよ〜! 噂だと女王様を監禁して、王都に住んでいる若くて可愛い男の子たちを独り占めにして、仕事もしないで遊び呆けているらしいのよ。だから王都は荒れ放題」
「あの性悪ババアならやりかねんな。若い貴族の娘たちも追放したんじゃろう? やりたい放題じゃな」
「……治安の悪いスラム街に追いやってね。王政はブース・ジュクージョ新宰相の……ジュクージョ一族が牛耳っているらしいわ」
店員さんの顔が暗くなります。王都の現状はかなりまずいようですね。
「………あら? これは……リーン様の黑蝶?」
リーン様の「黑色魔法」で作り出された魔法の蝶が、私の肩に乗った瞬間に手紙に変わりました。読んでみましょう。
「ん? どうした、ユリセント」
「は、はい。リーン様から連絡があって……今夜、王城に忍び込んでブース・ジュクージョを討伐するそうです」
私はそう言って、マハさんにリーン様の手紙を見せたのでした。




