第19話 終わりの始まりの日々。ハーレム展開なんて聞いてない
王城からスラム街へと戻って来た。その後は、俺は久しぶりに会えたユリセントさんを抱きかかえて、とある一室へと連れ込んだ。
「あっ! 教会を借り受けたんですか? リーン様。そこは……♡」
「あぁ、ブース・ジュクージョとその一族の討伐する約束でな。痛くないか? ユリセントさん」
「はい……リーン様となら、なんでも我慢できます♡」
暗い一室で汗をかいているユリセントさんを優しく可愛がっている。ユリセントさんは本当に可愛いな。
「シュラハン家を廃嫡された俺に、スラム街の管理でもさせる気なのだろう。王都の一部に住まわせる代わりにな!」
「はうっ!……はぁにゃ……いっぅ……今の王政に力はありませんから……はぁ……はぁ……リーン様を抱きかかえて……おきたいんじゃないです?」
「……今のように? ユリセントさん」
「……リーン様。……おバカさん……はぁ……はぁ……言わせないで……下さい……恥ずかしいぃですぅ……」
「あぁ、すまない……」
「……ん♡」
素直なユリセントさんは可愛い。俺の大切な人だ。なので、丹念に可愛いがった。
◇
3時間後。肌が艶々になったユリセントさんの隣で、げっそりとしている俺がいた。
「炊き出しはイリス嬢やマハがやってくれていたのか」
「はい。なにせ小さい女の子や貴族のご令嬢、数百人はいるので、ずっと料理を作っていないと間に合わないみたいです」
「……間に合わない? マハに限ってそんなことあり得るか。アイツも分身魔法が……」
などと考えていると真っ正面からイリス嬢が俺へとダイブしてきた。
「フニャラアア!!(やっと見つけたあぁ!!)」
「ごほっ! イリス嬢!?」「イリスさん!?」
「フニャアアアアアフニャアアアアア!!!!(揉みくちゃにされたあぁあ!! 女の子怖い!!)」
……猫語でなにか言っているが。女の子たちと良い関係でも作れたようだな。良かったな。イリス嬢よ。
「ウニャアア!!」
「この反応……なにかトラウマでもできたんじゃないですか? イリスさん」
「ふむ。逆じゃないか? 良いフラグが作れたんだろう」
「フラグ?……またよく分からないことを言いますね。リーン様は」
ふむ。いつもの会話にいつもの光景だな。王都での拠点も手に入ったことだし。数日後に資金集めの冒険にでも行く……
「あああぁ!! 見つけたわよ! リーン!! アンタ! いきなり居なくなってんじゃないわよ」
「貴様! 勝手に居なくなるなと散々言ってあっただろう。」
…ドレス姿のミラ・ルミナと、シスターロリが帰還してきたぞ。
「お待ちなさい。黒猫ちゃ……リーン!! どこに言ってたんですの! 探したんですよ!」
「豚汁! 新しくできてる!」
「腹ペコだ。いや、それよりも黒猫をもふらせてくれ!」
……王城から追い出された貴族の令嬢たちまで集まってきたぞ。……まだ居たのか。この娘たちは。
「……ふむ。なんとも騒がしいエロゲーの美少女たちだな。イリス嬢。選り取り見取りの環境は整えてやった。さぁ、誰を攻略するのだ?」
「ニャア?(ボンッ!と人型に戻る)……リーンさん一択なんだよ!」
「イリス嬢は面白い冗談が言えるようになったんだな。」
………ハハハ。女主人公のイリス嬢がなにか言っている。成長したものだ。
俺は悪役を止めたこの世界のモブ。今後はユリセントさんと楽しくエロゲー世界をさ迷った楽しませてもらうのだよ。
「これから楽しい異世界エロゲーライフになりそうだな。ユリセントさん。これからも昼夜とはずよろしく頼む」
俺はそう告げて、大切なユリセントさんを抱き寄せる。
「リ、リーン様。も、もう♡ 皆さんが見てますのに……はい♡ リーン様は私の大切な旦那様ですか……ん♡」
ユリセントさんの笑顔が可愛すぎて、彼女が台詞を言い終える前に口を塞いだ。
良いだろう。ユリセントさんは俺のユリセントさんなのだからな。
「……この世界を生き残ろう。大切なユリセントさんと共……ぶるぁあ!?」
「なにをわたしを無視して! イチャついてるのよ?」
「おい! 誰がロリロリだ? おい! ショタが。おい!」
「元婚約者の前でなにを見せつけてますの? さっさと復縁しますわよ!」
「子猫ちゃんを抱かさせて下さい〜!」
「貴様! 姫様から離れろ! 悪童!!」
「お、落ち着け君たち。俺は悪役じゃないモブなんだ」
「リ、リーン様! しっかりして下さい〜!」
エロゲーのヒロインたちに揉みくちゃにされている。
なぜだ? 俺はただのモブキャラにジョブチェンジしたはずなのに。
「お、俺がなんで、エロゲーのメインヒロインたちに囲まれているんだ。くそおぉぉ!! ありえんだろう!」
俺は、ただエロゲー世界を自由気ままに旅したいだけなのに……俺の人生は今後、どうなっていくんだろうか?
(第一章 黒色使いの旅立ち 終わり)




