第12話 とりあえず王都に向かおうか。
【【【オゲエエエ……オエエエエェェ…………オゲゲゲゲオオオオ……オゲゲゲゲゴオゴオオオオェエエエエエエ!!!!!】】】
快晴の朝だった。
ゲヒンドリーの美しいハーモニクスで素晴らしい雄叫びが響き渡った。快晴の朝、少し気だるい。
「………リーンしゃま……♡」
同じベッドの上には、俺とユリセントさんが一緒に眠っていた。そして、彼女は俺の身体に抱きつき顔を擦り付けてくる。じつに愛くるしいユリセントさんだ。
「……失念していた。そうだ。この世界はなんでもありのエロゲー世界だったな。警戒心が薄れていた。繋がっている?……抜かねば」
「………んぁ♡……抜いちゃ駄目ですぅ」
恍惚な笑みを浮かべながら、ユリセントさんがイヤイヤと、俺の二の腕を甘噛みしながらか弱く抵抗してくる。なんだ? この可愛い生き物は……
「いや、抜かしてもらおう。……そして、済まなかった。ユリセントさん。責任はちゃんと取る」
「はい♡……また今夜も、リーン様を襲っちゃいます」
「……いや、王都に向かうから遠慮してくれ」
「やれす♡ むふぅ……リーンしゃま」
「蕩けた顔をして……よしよし」
「〜♪」
……十八禁ゲー『ダーク・イリュージョンエローライフ』には「発情期」という設定があるのを忘れていた。
愛らしいヒロイン達を挑発し、性的なストレスを与えすぎると、犬や猫のような「発情期」をヒロイン達は迎え。魅力的でエロスなステータス値が高い男の子を襲うエロインへと変貌する。
そして、ユリセントさんもその例に漏れず。マハの店に来る間、俺はユリセントさんにエッチ体験をさせて喜んでいた。その報いが昨日の夜。発情期を迎えたユリセントさんに俺はなす術もなく頂かれてしまったのだ。
「…………んんんぁ♡」
「止めどなく溢れてくるな。綺麗にしにいこう。ユリセントさん」
「はい。旦那しゃま」
蕩けきった顔をしおって、だらしないユリセントさんだな。こんな顔をされたら昨夜、美味しく頂かれたことも許してしまいそうになるな。
……昨日までのツンデレ幼馴染みエロメイドはもう居ない、俺の隣に居るのはエロ可愛いユリセントさんだった。
◇◇◇
俺たちは汚れた身体を綺麗に流した後、先に朝食を取っていたイリス嬢とマハの元へと向かった。
「おぉ、おはようじゃ。リーン、ユリセント。昨日の夜はハッスルしてたのう」
「ハッスル? ハッスルッ!」
ニヤニヤ笑うマハに、無邪気にハッスルと言い続けるイリス嬢。朝から騒がしい奴らだ。
「発情した猫同士ではないのだ。朝からあんなに求められても、供給できるわけないだろう。ユリセントさん」
「できます。……リーン様ならできます!」
ユリセントさんは、そう言うと俺の右手に指を絡ませて恋人繋ぎをしてきた。そして、何か物欲しそうに俺の顔を情熱的に見つめている。
そして、俺もなんだか恥ずかしい気持ちになる。落ち着け俺よ。俺は、悪役を放棄したモブ、ユリセントさんはこのエロゲー世界のメインヒロインなんだぞ。
しかし、昨日のユリセントさんでは考えられない行動だな。これではまるで初夜後の恋人同士の行動だ。
「お、落ち着け。ユリセントさん。今は、朝日が昇り始めた健全な朝だぞ。二人も見てるこういうことは2人きりの時にしてくれ」
「それじゃあ、2人きりの時は沢山リーン様に甘えてもいいんです? リーン様」
彼女は小悪魔のように笑うと、俺の身体に自身の身体を預けてしなだれてきた。
「……あぁ、許可する」
「本当ですか! やった〜! ありがとうございます。リーン様」
「いきなり抱きつかないでくれ、ユリセントさん。2人が見てるだろう!」
「……リーン様。なんだか、いつもと違って余裕ありませんね。疲れちゃってますか?」
「ユリセントさんのせいでな。今日から王都に向かうんだ。油断しないでくれ」
「は〜い♡」
……まずい。昨日の夜はユリセントさんにされるがままだった。
俺はこれからもユリセントさんにいいようにされるがままだろう。
そして、彼女自身は知らないだろうが、彼女は……ユリセントさんはイーアナール王族の血筋を引く由緒正しき王族の末裔でもある。
(……そして、これからも向かうのは、イーアナール王都。なにも起きなければいいのだがな)
「リーン様〜♡ これからはずっと一緒ですからね」




