後日譚9 逃げる、逃げる、逃げる
「あっ、こっちにいたぞ!」
そう一人が言うと、それにつられて大勢の人間が追いかけてきた
・・・一体どれくらの人間が私のことを嫌いなんだ、と言いたい
いえね、もうラノベを書きたくないから逃げ出してんだよ
私が書きたいのは純文学なのだ
ハードカバーの本を一冊だすことが当面の目標だ
ところが活字離れが起こって久しいのか全然書く機会がなかった
・・・デビューもしていない作家未満のくせにおこがましいという苦情は受け付けません
かわりに少女と少女が愛し合うというラノベを編集者から無理矢理欠かされている
「もう書けない!」
と言っても書かせる鬼畜っぷり
とうとう切れて逃げ出しという訳だ
・・・ネタを得るため ~本当はパクるため~ に小説を読んでいたら漫画家が二階の窓から庭の木に飛び移って逃げていたんだよ
これだね!、って気が付いた
いつ真似るの?
今でしょう!
そうい訳で後のことはなんも考えずに逃亡した
責任感?
人に仕事をさせるときに使われる卑怯な言葉だよね@悪魔の辞典を参照してください
何かも捨てて身軽になったからだは気持ちがよかった
久しぶりに風を感じた
・・・これがかあさまが言っていた寂しいってことなのか、などというマニアしかわからないネタをつぶやいたことからも解放感がわかるというものだ
適当に散歩をして、疲れたら門前町の入り口にあるス〇バに入り、なんの呪文だよ!とツッコミをいれたくなる激アマの飲み物を飲む
飲み終わったので、散歩を続けようと店を出た
太陽の光を全身に受けて、ああ幸せだな、と思っていたら
「見つけた!」
と叫んで私に向かってくる編集者を見た
「やべえ!」
もちろん逃げ出した
悪いことをしている自覚があるからである
・・・だったら仕事しろよ、という意見は聞かない
覚王山は上り坂と下り坂には事欠かない上に路地というものがそこかしこにある
逃げるにはもってこいの場所だと言える
地の利を生かして逃げ切ったと思ったら知らない人間が大勢追いかけてきた
何事?!
一瞬大逃走かよ!って思ったね
おってきたのは黒服ではなくて普通のおじさんおばさんだった
知らない人間なのが不気味だ
おまけせ血走った眼をしながら髪を振り乱して追いかけてくるのだ
もう恐怖しかない
ジェイソンやエイリアンに追いかけれる主人公の気持ちがわかった気がした
後で知ったのだが
娘が同姓の恋人に走った原因を作った作者を殺し隊
息子が同姓同士が一緒に住むための偽装結婚の相手になった原因である作者を殴り隊
だそうだ
・・・絶対に冤罪である
なぜ追いかけらえなければならなかったかというと本日はエロ先生などというふざけた名前のラノベ小説家に苦情を言う日だったそうだ
・・・聞いてないぞ?と思ったら担当さんが忘れていたそうだ
でもちょうど作者、つまり私が失踪した時だったから皆さまは逃げたと判断したそうだ
この行き場のない怒りはどこに行けばよい
ふざけた名前の作者を探して殴ればよい
なぜだか一丸となったそうだ
・・・同性に走るのは昨今の風潮としてありよりのありなのではないかと言いたい
あと好きな人がほかの人が好きで失恋したけど、法律上相手が結婚できないから偽装結婚して一緒に住もうとするという方向に走ったのは読んでたラノベの小説家のせいではないと声を大にしていいたい
まあそれは後の話である
今はにげるのが先だ
ついうっかり延々と続く長い坂とか、長い階段とかから突き落とされるかもしれないのだ
・・・ついうっかり死んでしまいそうな池田屋どころの騒ぎでない階段が外にゴロゴロしているこの町はどこかおかしいと言いたい




