04
気が付くと、4人は見渡す限りの大海原の上にいた。
ーー空気の渦に飲み込まれてから、既に一日が過ぎ去った。エンジンの燃料は昨日一日でかなり使ってしまい、あまり残っていない。
方位磁石や地図などはあるのだが、いかんせん、現在地が分からないので如何しようもない。GPSは積んでいないし、携帯は圏外だ。
最も心配なのは水だった。
食料は魚を釣れば何とかなるのだが、真水はどう節約してもあと一日分くらいしかない。
もともと、日帰りの予定だったのだから仕方ない。
タケシとケンジは先ほどの意味のない怒鳴り合いで疲れていたし、雄司は手持ちの地図と睨めっこして唸っていた。
リョウ一人が陸地を探そうと辺りを見回していた。
ぼ~っと水平線の彼方を視界に入れる。精も魂も枯れ果てて、見るのも嫌になった頃、はるか遠くにぼやけたものが目に入った。リョウはさらに目を凝らしてよく見た。
「あれって、もしかして・・・・・」
見間違いではなさそうだ。後ろを急ぎ振り向いて、叫ぶ。
「陸が見えるぞ~!」
「何ぃぃぃ~!?」
「ホントか!!」
「何処に?」
三人は口々に驚きの声を上げ、リョウの下に集まった。
「どれどれ?」「どこだ?」
「・・・・ほら」
海の向こう側をリョウが指すが、タケシの目には良く見えなかった。
「どこ? 分かんないぞ」
「・・・まさか、蜃気楼じゃないだろうな」
・・・それは蜃気楼だった
タケシたちはついに陸地を見つけることができずに餓死してしまったのだった。
ーー 完 ーー
ーーという風になっていしまっては、物語が終わってしまうので、陸地は本当にあった。
ヨットは陸地にだんだん近づいてきて、タケシたちの目にも見えるようになってきた。
広い砂浜が広がっている。
「やった! 陸地だ!」
「おお、さすがリョウ。よくぞ見つけられたな。さすが、視力5.0(勿論ウソ)」
「・・・何言ってんだ」
「しかし、あそこはどこだろう? そんなに流されていないと思うが・・・」
手に持っている地図をみながら雄司はつぶやいた。
とにかく、あれがどこだろうと行くしかない。このまま船でさまよっていては、本当に餓死してしまう。
丁度よく潮の流れに乗り、陸地に近づいていく。後は残りの燃料でエンジンをふかし、備え付けのオールで岸へ寄せる。イカリをおろし、4人は二日ぶりに足を陸へ降ろす。
「ふぃ~、やっぱり地面に立てる方が良いなぁ~」
両手をいっぱいに広げ、背伸びをしたケンジがしみじみ言う。
「ホント、ホント」
タケシらも同意し、辺りに目をやった。左右には見渡す限りの砂浜だ。前方、砂浜の奥には胸ほどまである茂み。そして、その50mほど先には林が続いている。
「どこかに民家はないか」
雄司が林の奥を見通そうとするが、それらしい建物を見つけることはできなかった。無人島の可能性もある。
「・・それより、ここが外国だったらパスポート持ってねぇ」
タケシが思い出したように言う。
「そんなこと言ってる場合か!?」
例によって、ケンジがツッコミを入れる。二人のいつも通りの楽しげなやり取りを見て、雄司はため息をついた。
飲み水はもうほとんど残っていないし、燃料はここに寄せるために使い切ってしまった。エンジンが動かないのでヨットで移動することは難しい。
決して良い状況とは言いかねる。
「でも、これだけ大きな島なら人くらい住んでるでしょ。そこで分けてもらえば良いんじゃないの?」
あくまで、楽観的にタケシは言う。
「ともかく、ここが無人島か、それとも人が住んでいるのか確かめよう」
「そうだね。ここにいてもしょうがないしな」




