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その晩、タケシとケンジ、雄司とリョウに分かれて眠ることになった。
タケシとケンジはベットに入ってもすぐには眠れなかった。眠れない理由はそれぞれ違ったが。
タケシはわくわくして、ケンジは不安で眠れなかった。
「なぁ、ケンジ。起きてるか?」
「あぁ~」
ぼんやり考え事をしていたケンジは返事をした。
「お前の父ちゃんて、結構強かったんだな」
「まぁ、警察で剣道師範しているくらいだからな。それより、この世界ってどうやってきたんだろうな?」
訊きながらケンジはごろりと寝返りを打った。タケシの方を見ると、天井に目を向けていた。
「やっぱり、あの妙な空気の渦の所為じゃないの?」
「そうだろうけど・・・、あ~あ~、こんなマンガみたいなことが実際に起こるなんて・・・」
「まぁな。異世界移動なんて、物理的には絶対不可能なはずだからな。だけど、面白そうだな、この世界」
「面白い? 元の世界に戻れないかも知れないってのに?」
「ケンジだって、ファンタジーとか好きだろ」
「そりゃ~、好きだけど。・・・だけど、ずっとこの世界にいるのはなぁ~。・・・タケシは元の世界に戻りたいと思わないのか?」
「あんまり必死になってまで戻りたいとは思わないなぁ。だって、夏休みが終わったら、またつまんない学校が始まるだけだろ」
「へー、タケシは勉強ができるのに・・・、学校好きじゃないのか?」
「『勉強ができる=勉強が好き』とは限らないよ。ケンジは一度でも、こんなことがあったら良いなぁ、とか妄想したことなかったか?」
「そりゃ、一度も考えたことないと言ったら、ウソになるけど。それに、アルタァさんの話を聞いているときは、ちょっと面白いと思ったし」
「だろっ!?」
タケシは嬉しそうに相づちを返した。
「だからといって、冷静になって考えてみるとすっげ~不安じゃないか」
「そうか? おれはすごく楽しみだけど」
「はぁ~~。タケシは気楽で良いなぁ。・・・明日からどうなるんだろ」
「何とかなるって。あんまり悩むと、将来ハゲるぜ」
そう言って、タケシは頭から布団をかぶった。




