18
ガタッ、ゴトッ、ガサガサッ、ゴトゴト
二人は遅くまで寝つけなかったので、まだ寝ているつもりだった。
だが、隣の部屋で何やら音がしたので目が覚めてしまった。
「どうしたの?」
タケシが寝ぼけ眼で部屋から顔を出す。みると、雄司たちの部屋にリナが入るところだった。
「・・・何かあったのか?」
ケンジも目を覚ました。
「さぁ?」
そう聞かれてもタケシにも分からない。二人が雄司のいる部屋に訪れると、リナがリョウの枕元に座ってタオルを桶で冷やしていた。
そのリョウは真っ青な顔をして寝込んでいた。
「どうしたの?」
リョウをのぞきこみ、様子をうかがいながら尋ねる。
「さあ・・・? それが、私にも分からないの。リョウさんが原因不明の高熱を出しちゃって」
「父さんは?」
「おじいちゃんと下に行ったわ。おかしいわねぇ。こんな症状の毒を持っているモンスターはここら辺にいないはずだし。・・・何が原因かしら?」
ーーえっ? ちょっと待って。
タケシはリナの言葉に引っかかった。
確か、昨日、リョウは『草むらの中に落ちていた、多分・・・何かの刃物で切ったみたいだ』と言っていたはずだ。
「ねえ、リナさん。リョウはモンスターじゃなくて、何かの刃物でケガをしたんだよ。確か」
「えっ? おじいちゃんは『例の化け物』って言ってたけれど」
まぁ、確かにアルタァが言った時に訂正しなかったけど。
「じゃあ、その葉もノン毒が塗ってあったのかしら・・・?」
その時、
「おーい、リナ。原因が分かったぞ」
とアルタァが入ってきた。雄司も一緒だ。
「何と、この少年は化け物にやられたわけではなく・・・」
「それは今聞いたわよ。それで?」
イライラしたようにリナが口をはさんだ。
「おお、そうか。 --やはり、その時毒におかされた様じゃ。書物で調べたのじゃが、この毒の症状は『この毒におかされたものは高熱を出してから2~3日で死に至る』と書いてある」
「それって、ものすげ~危ない毒じゃんか」
ケンジが軽い悲鳴を上げた。
「案ずることはない。この書物には解毒薬についても載っておった。材料は周辺ですぐ手に入る薬草ばかりじゃ」
安心させるようにアルタァが言った。
「なになに・・・ 『まず、採ってきた薬草を1時間ほど煮て、1週間天日で乾燥・・・』 なぬっ? 1週間!?」
アルタァが見ていた書物から顔を上げた。
「ちょっと! それじゃ間に合わないじゃないか」
タケシが大声を上げた。
「う~~む。盲点じゃった」
「盲点じゃない!! それじゃ、他の方法はあるのか?」
「・・・おじいちゃん。 私が神殿まで行って頼んでくるわ。あそこなら解毒の呪文が使える人もいるはずよ」
リナが立ち上がって言った。
「しかし、神殿まで1日はかかるぞ。間に合うか?」
「急げば半日で着くわ。きっと大丈夫よ。それよりリョウさんを頼むわよ」
言い置いて、リナは部屋を出ていく。
「オレも付いて行って良いか?」
ケンジが後を追って尋ねた。
「構いませんが、大丈夫ですか?」
歩いて一日程度の距離だからと言っても、道中でどんなことが起こるか分からない。昨日襲われた化け物に再び出会わないとも限らない。
「でも、じっとしれなくて・・・」
「それなら、おれも行くよ」
タケシも後ろから顔を出す。
「タケシも行くのか?」
「もちろん」とタケシはうなずいた。
「ちょっと待て」聞いていた雄司が二人を止める。
「二人とも行く気なのか?」
「いけない?」
「駄目だ。おとなしく待っていろ」
「ただ待っているなんてヤダ!」
ケンジは言い返した。
「待っていろ!」
「い・や・だ!」
「むむむ・・・」
父子はにらみ合いを続ける。
「・・・分かった。その頑固さは誰に似たんだか」
先に折れたのは雄司の方だった。
「坂本君のためには急がなくてはならないからな。こんなところで言い争ってもしょうがない」
「そう、良かった。んじゃ、そう言う事で」
二人はリナと共に下へ降りようとした。
「ちょっと待て。二人とも」
再度雄司が止めた。
「何だよ。良いんじゃなかったのか?」
「いや、そうじゃない。だが、わたしも行く」
「・・・へっ?」
「『へっ?』じゃない。お前らだけで行かせたら、余計心配だからな。
坂本君のことは任せても大丈夫ですよね?」
後ろを向いて確認する。そこにはアルタァが。
「ああ、ワシひとりで十分じゃ」
アルタァがリョウの世話を請け負った。
「何でも良いわ。早く出発しましょ」
半日とはいえ、用意が必要だ。三人の着ている服が変だというので、服を取り換えさせられた。ケンジらにしたら、この世界の服の方がダサくて変なのだが。
さらに、雄司とケンジは護身用に細身の剣を貸してもらった。タケシも剣を一応渡されたが、使わない(使えない)からと、辞退した。




