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IN THE PALM OF DRAGN  作者: 堀江ヒロ
異世界へ
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 ガタッ、ゴトッ、ガサガサッ、ゴトゴト

 二人は遅くまで寝つけなかったので、まだ寝ているつもりだった。

 だが、隣の部屋で何やら音がしたので目が覚めてしまった。

「どうしたの?」

 タケシが寝ぼけ眼で部屋から顔を出す。みると、雄司たちの部屋にリナが入るところだった。

「・・・何かあったのか?」

 ケンジも目を覚ました。

「さぁ?」

 そう聞かれてもタケシにも分からない。二人が雄司のいる部屋に訪れると、リナがリョウの枕元に座ってタオルを桶で冷やしていた。


 そのリョウは真っ青な顔をして寝込んでいた。

「どうしたの?」

 リョウをのぞきこみ、様子をうかがいながら尋ねる。

「さあ・・・? それが、私にも分からないの。リョウさんが原因不明の高熱を出しちゃって」

「父さんは?」

「おじいちゃんと下に行ったわ。おかしいわねぇ。こんな症状の毒を持っているモンスターはここら辺にいないはずだし。・・・何が原因かしら?」


 ーーえっ? ちょっと待って。

 タケシはリナの言葉に引っかかった。

 確か、昨日、リョウは『草むらの中に落ちていた、多分・・・何かの刃物で切ったみたいだ』と言っていたはずだ。


「ねえ、リナさん。リョウはモンスターじゃなくて、何かの刃物でケガをしたんだよ。確か」

「えっ? おじいちゃんは『例の化け物』って言ってたけれど」

 まぁ、確かにアルタァが言った時に訂正しなかったけど。

「じゃあ、その葉もノン毒が塗ってあったのかしら・・・?」


 その時、

「おーい、リナ。原因が分かったぞ」

 とアルタァが入ってきた。雄司も一緒だ。

「何と、この少年は化け物にやられたわけではなく・・・」

「それは今聞いたわよ。それで?」

 イライラしたようにリナが口をはさんだ。

「おお、そうか。 --やはり、その時毒におかされた様じゃ。書物で調べたのじゃが、この毒の症状は『この毒におかされたものは高熱を出してから2~3日で死に至る』と書いてある」

「それって、ものすげ~危ない毒じゃんか」

 ケンジが軽い悲鳴を上げた。

「案ずることはない。この書物には解毒薬についても載っておった。材料は周辺ですぐ手に入る薬草ばかりじゃ」

 安心させるようにアルタァが言った。


「なになに・・・ 『まず、採ってきた薬草を1時間ほど煮て、1週間天日で乾燥・・・』 なぬっ? 1週間!?」

 アルタァが見ていた書物から顔を上げた。

「ちょっと! それじゃ間に合わないじゃないか」

 タケシが大声を上げた。

「う~~む。盲点じゃった」

「盲点じゃない!! それじゃ、他の方法はあるのか?」

「・・・おじいちゃん。 私が神殿まで行って頼んでくるわ。あそこなら解毒の呪文が使える人もいるはずよ」

 リナが立ち上がって言った。

「しかし、神殿まで1日はかかるぞ。間に合うか?」

「急げば半日で着くわ。きっと大丈夫よ。それよりリョウさんを頼むわよ」

 言い置いて、リナは部屋を出ていく。


「オレも付いて行って良いか?」

 ケンジが後を追って尋ねた。

「構いませんが、大丈夫ですか?」

 歩いて一日程度の距離だからと言っても、道中でどんなことが起こるか分からない。昨日襲われた化け物に再び出会わないとも限らない。

「でも、じっとしれなくて・・・」

「それなら、おれも行くよ」

 タケシも後ろから顔を出す。

「タケシも行くのか?」

「もちろん」とタケシはうなずいた。

「ちょっと待て」聞いていた雄司が二人を止める。

「二人とも行く気なのか?」

「いけない?」

「駄目だ。おとなしく待っていろ」

「ただ待っているなんてヤダ!」

 ケンジは言い返した。

「待っていろ!」

「い・や・だ!」

「むむむ・・・」

 父子はにらみ合いを続ける。


「・・・分かった。その頑固さは誰に似たんだか」

 先に折れたのは雄司の方だった。

「坂本君のためには急がなくてはならないからな。こんなところで言い争ってもしょうがない」

「そう、良かった。んじゃ、そう言う事で」

 二人はリナと共に下へ降りようとした。

「ちょっと待て。二人とも」

 再度雄司が止めた。

「何だよ。良いんじゃなかったのか?」

「いや、そうじゃない。だが、わたしも行く」

「・・・へっ?」

「『へっ?』じゃない。お前らだけで行かせたら、余計心配だからな。

 坂本君のことは任せても大丈夫ですよね?」

 後ろを向いて確認する。そこにはアルタァが。

「ああ、ワシひとりで十分じゃ」

 アルタァがリョウの世話を請け負った。

「何でも良いわ。早く出発しましょ」

 半日とはいえ、用意が必要だ。三人の着ている服が変だというので、服を取り換えさせられた。ケンジらにしたら、この世界の服の方がダサくて変なのだが。

 さらに、雄司とケンジは護身用に細身の剣を貸してもらった。タケシも剣を一応渡されたが、使わない(使えない)からと、辞退した。



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