9.少女は詰問攻撃に耐えてなんとか狩人のパートナーとなる
説明に納得してもらえたと思って油断してたら尋問攻撃が再開しました。
デイビートと邂逅した日、ユリアは攻められっぱなしで冷や汗だくだくの話し合いに疲れたが、一応、デイビードに認められたと安堵し、自分の身の回りの整理と食事の支度を中心に作業を始めた。
ユリア用のベッドは、デイビードが木箱や板切れなどで簡素なものを作ってくれた。ユリアはベッドの板の上に草を敷き、その上に持ってきたシーツを敷き薄い毛布をかぶせた。
飲料水は、ユリアが持っていた水筒のわずかの水と、デイビードが保管しておいた水甕内の5リットルほどがあったが、毎日の補給を忘れないようにしようと肝に銘じた。
((生活魔法で水を出すのですよね。))
ユリアは言った。
「食事の支度は私に任せてくださいませんか。ところで、この辺りは煙が立つのを見られて困ることはないですか?」
デイビードは、ちょっと考えて答えた。
「この近辺に人家はなく、分け入る人もほとんどいないので問題ない。」
食材としては、ユリアが道中の森で捕獲して生活魔法で冷凍にしたウサギの肉と採取した葉物主体の可食植物を提供し、デイビードが今日持ち帰った獲物の鹿肉の一部を提供した。
ユリアは、薪ストーブの灰溜めから灰を掻き出して灰壺に入れた後、そばにあった新しい薪と枯草を燃焼室の火格子上に投入し、生活魔法で着火した。そして、手近にあった箱を踏み台にして台上に上がり、ストーブ天面の鉄板の上に植物油を引いた。そのあと、一口サイズに切り刻んだ肉を載せて鉄板に油をなじませ、ちぎった葉っぱを混ぜて肉炒めらしい調理を始めた。
デイビードは、ユリアの一連の作業の様子を観察して、慣れた手つきや順序だてた手際の良さとユリアの見かけの幼さとの間の大きなギャップに、いまさらながらあっけにとられて呆けた顔で問うた。
「ユリアといったか。君はいったいどこでだれに調理を習ったのだ?家族や件の神父ではあるまい?」
ユリアは調理用鉄板の方を向いたまま澄まし顔で端的に答えた。
「サンガルス村の教会の子供教室で、昼食を作ってくれていた近所のおばさんから習いました。」
デイビードは、不信感いっぱいにさらに詰問するような口ぶりで言った。
「君のような幼い子供に危ない火や食材を扱わせる大人がいるとは思えないのだが?」
ユリアは、あっと、デイビードにごまかしは効かないと観念したように、デイビードに向き直り神妙な顔をして白状した。
「はい。確かにその通りでございました。お手伝いさせてくれるように頼みましたが固く断られました。仕方がないので、おばさんの一連の調理作業の様子をつぶさに観察して手順などを覚え、一人で森に行って山菜取りの道から外れた森の中で練習しました。」
デイビードは、それを聞いてわざと怖い顔を作って詰問した。
「君はそんな危ないことを平気でする人間だったのか。家族の受けが良くないのもわかるような気がする。」
ユリアは、必死に釈明するように言った。
「す、すみません。反省しています。しかし、家族の受けが良くないのはこの行動とは関係ありません。」
デイビードは、いたずらが成功したことに満足して言った。
「わかっている。すまない、少し言い過ぎたようだ。」
ユリアは慌てて重ねて釈明するように言った。
「と、とんでもございません。おっしゃる通り、私の行動は年齢を考えると行き過ぎたものでした。でも、村から出奔せざるを得ない状況となることは予測の範囲でしたので、生きていく術を早急に習得する必要があったのです。」
デイビードは、椅子から立ち上がって握手を求めながら言った。
「一応わかったことにする。この話はこれでしまいだ。ユリア、改めて当面のパートナーとしてよろしく頼む。これからは私のことをデイビードと呼べ。」
ユリアは、安心したようにほころんだ顔で握手をしながら言った。
「デイビード様。こちらこそよろしくお願いいたします。足手まといにならないように頑張って働きます。」
その後、二人は肉野菜料理を楽しんで、明日の準備をした後眠りについた。
((えっ、パートナー?飯炊きの?いやいや、狩りの助手だよね。))
男の尋問攻撃は一難去ってまた一難でしたね。でも、少女は、何とか攻撃に耐えて有力者のパートナーとなりましたね。パートナーで何をするんでしょう。狩りをするに決まっています。どうなるか楽しみですね。それではまたお会いしましょう。




