76.2国共同体交渉団は交渉を頑張る
2国共同体交渉団は交渉前日の応接間と歓迎晩餐会で腹の探り合いをします。
ーーー 場面はオスムール帝国帝都オストバールの皇帝宮殿
2国共同体交渉団の一行は、全員が広い応接間でくつろいでいた。
室内には、オスムール帝国官僚組織の外交担当次官と内政担当次官が各一人と補佐官が数名いて、一行の話し相手をしている。ほかに6名の接待員がいて、飲み物とお菓子のサービングをして廻っている。
ガスゴーシュは外交担当次官オウステントをつかまえて問う。
「オウステント殿。失礼ですが、貴国の現在の外交方針の基本的な事をお伺いしても宜しいですか?」
オウステントは、少し警戒気味に言う。
「基本的な事ならば構いません。おそらく国境遮断の件が関心事でございましょう。」
ガスゴーシュは言う。
「話が早くて助かります。わたくしどもの推測では、火山噴火による国内の混乱状態を他国に悟せれない情報統制と、流行病の流出を防止する二つの目的だろうと踏んでいます。」
オウステントが言う。
「流石に鋭い推測ですね。それは、現在の内情からのご推測でしょうか?それとも何か情報漏れがありました?」
ガスゴーシュは言う。
「どちらでもありません。ただ、火山噴火については察知したものがおりました。それを伝え聞いたある筋、すなわち、信じるに値する筋が、我々の入国前に貴国の内情と国境遮断の理由を推測していました。」
オウステントが言う。
「なるほど。その察知した者とは、おそらく火山由来の物資を商う旅商人でしょう。噴火前後の国境遮断前に出国したので拘束を免れたのでしょう。半年程前から噴火の兆候がありましたから、そのような商人なら僅かの灰の飛来で噴火を推測出来ます。でも、後半の信じるに値する筋とは何でしょう?」
ガスゴーシュは言う。
「残念ですが、今は明かせません。ただ、蝗害を受けたわが国やシングラーツ王国の民と、火山噴火被害を受けた貴国の民みんなを救うため活動する筋だとだけ申しておきます。」
オウステントが言う。
「そのような筋の存在は我が帝国にとっても心強い限りですが、なぜもっと早く来てくれなかったのですか?我が帝国が国境遮断しているせいなのはわかりますが、これまでの書簡では国境を越える目的が見えなかったのです。」
ガスゴーシュは言う。
「確かにその通りですね。まだ蝗害が発生していない今年前半の時期では、国境を越える特別の目的がありませんでした。今、我々が国境を越えたい第一の目的は蝗害防止の蝗幼虫殲滅作戦のためです。この方針が固まったのがひと月ほど前なのです。そして、貴国の内情の推測が出たのはその半月遅れです。」
オウステントが言う。
「事情はわかりました。声を荒げて申し訳ありません。我が帝国は過度に疑心暗鬼になっていたらしいです。半年程前から噴火の兆候があって、噴火したらすぐに国境遮断できる体制を取っていたのです。それがかえって徒になったのですな。」
ガスゴーシュは言う。
「過去は戻りません。今後の事を大事にしましょう。明日からの交渉で互いに利益となる妥結案を探りますよ。」
ガスゴーシュは、次に内政担当次官イスタラムをつかまえて問う。
「イスタラム殿。失礼ですが、貴国の内情についてお尋ねしても宜しいですか?」
イスタラムは言う。
「はい。あまり詳しくは答えられませんが、それでよろしければどうぞ。」
ガスゴーシュは言う。
「流行病の患者は把握して隔離しておられるのでしょうか?」
イスタラムは言う。
「残念ながら全てではありません。街や国の医療機関に助けを求めて来た者は隔離しています。それは、全体の半分程度と推定しています。ただ、現状では医薬品が不足していて医療行為が出来ず、生きていける程度の食事を与えるだけなのです。難民キャンプの状態は不明です。」
ガスゴーシュは言う。
「こちらが贈ったポーションの処方を受けた方はどうなったのでしょう?」
イスタラムは言う。
「その一人は、わたくしです。難民キャンプで流行病らしい患者に接触されて感染しました。2日後に発症し全身虚脱と高熱が何日も続き、意識が薄れかけていた時にポーションをひと口だけ処方してもらいました。 飲んですぐに体の中心から活力が広がって、手足の先まで力が漲るのが分かるほどでした。1時間後には医師から全快宣言されたのです。」
ガスゴーシュは言う。
「そうだったのですね。業務熱心な余り感染されて、つらい思いをされましたね。ポーションが間に合って何よりでした。」
イスタラムは言う。
「貴重なポーションをありがとうございました。医師が言うには、あれは伝説のエリクサーに間違いないそうです。それを一度に10本も、しかも、あんな簡易包装の書簡便で送達するなんて、あり得ないと言っていました。」
ガスゴーシュは言う。
「貴国の火山噴火被害の推測は出来ていましたので、入国させて頂くお礼の意味で、いま一番喜ばれるものを贈ったのです。あれは外傷の患者さんにも処方されたのですか?」
イスタラムは言う。
「わたくしの後に処方されたので見ることが出来ました。噴火被災地の復興作業で転落して頭蓋骨骨折した意識不明の重体患者に処方されました。骨折部を整復した骨の継ぎ目に直接滴下していったのです。すると傷口の線を覆うように小さい白い泡つぶが多数発生していき、しばらくして、泡つぶが消えた後には傷口が跡形なく消えて意識も戻ったのです。わたくしは、感極まって神に感謝を捧げました。」
ガスゴーシュは言う。
「分かります。かつて、わたくしも部下の切り傷が消えてなくなって綺麗に元通りになったのを目の当たりにしたのです。そんなポーションに出会えた奇跡を神に感謝しました。」
イスタラムは言う。
「ガスゴーシュ卿。あんな凄いエリクサーとも言えるポーションを10本もどうやって入手されたのですか?」
ガスゴーシュは言う。
「わたくしの伯父が娘の嫁ぎ先から貰ったものだそうです。わたくしの今回の使命の達成に役立てるようにと送ってくれたのです。」
イスタラムは言う。
「なんと。フランソワール帝国では、そんな貴重なポーションがポンポンと作れて、ホイホイと人にあげたりするのが普通のことなのですか?」
ガスゴーシュは言う。
「イスタラム殿がおっしゃるような状況になったのは、ごく最近のことなのです。ほんのひと月ほど前まで、あんなポーションを調合出来る人は我が帝国にも一人しかいませんでした。その人でさえ原料入手不可能で作れず、実質あんなポーションは存在していなかったのです。
それが、このひと月間で事情が激変したようなのです。普通の薬師でも短時間の講習受講で調合出来るようになるそうですよ。この調合技術は、開発者の意向で全世界に公開されたそうです。国境遮断を継続されると、技術導入が遅れるかもしれませんね。」
イスタラムは言う。
「我が帝国もそのような恩恵をタイムリーに受けるには、国境遮断政策のあり方を考える必要があるかも知れません。」
そのとき、部屋のドアの近くにいた補佐官に外から来たメイドが何か耳打ちした。すると、その補佐官が両手を上げて注目を引くように大きな声で言う。
「2国共同体交渉団の皆さま。歓迎の晩餐会の準備が整ったようでございます。これから、晩餐会場にご案内いたしますのでどうぞこちらへ。」
一行はその補佐官について晩餐会場に入った。立食パーティ形式の比較的簡素な雰囲気で、食糧事情を反映したもののようにも見える。全員が揃ったところで、帝国宰相のレルムンド・ド・ヨグメリアが開会を宣言した。初めに皇帝代行スベラトス・ド・オスムールを紹介し、歓迎の言葉を促した。
皇帝代行スベラトスは挨拶する。
「フランソワール帝国とシングラーツ王国の2国共同体交渉団の方々、遠いところを良く参られた。皇帝代行として歓迎するものである。なお、ここに到着する過程で当方の不手際で遅れを生じさせたことをここに謝罪する。
この晩餐会は、明日からの交渉の前哨戦でもあると心得て、互いを知り合う場としてほしい。念頭に置くべき議題は、2国共同体または3国共同体による蝗幼虫殲滅作戦の詳細行程の詰めと、我が帝国の火山噴火被害復興に対する2国からの支援条件の詰めの2点である。以上、歓迎のあいさつとする。」
皇帝代行の挨拶に対して出席者全員が拍手をした。皇帝代行はそのまま挨拶をしただけで退出した。
そのあとは、2国共同体交渉団の面々がオスムール帝国側の出席者の間に混じっていった。各自、皿に料理を取って食べたり、飲み物のカップを取って飲みながら近くの出席者たちと自己紹介をしたり世間話を始めた。
ガスゴーシュは早速、共同代表のフリンゲルと補佐役のアルベルドを連れて、帝国宰相レルムンド・ド・ヨグメリアと外交担当長官コルネイ・ド・フォルケスと内政担当長官ライアン・ド・エフレインほかがいるエリアに入って行った。ここには、応接間で話したオウステントとイスタラムもいた。
自己紹介は既に済んでいるので、帝国宰相が話を切り出した。
「フリンゲル卿。蝗害はそちらシングラーツ王国にまで及んでいるのですかな?」
フリンゲルが言う。
「さようでございます。わが国では特に北西部に位置する穀倉地帯の2領地が収穫間際の小麦に壊滅的被害を受けました。願いを受け入れて、その2領には税の減免を許可しました。中でも最西部のヴィルダー辺境伯領では蝗害を受けたすぐ後で現地調査をして、村や町に税の全面免除と食糧支援を約束したようです。」
帝国宰相が言う。
「ほう。その2領地の被害程度は、フランソワール帝国内の最大被害領地の被害程度に匹敵するようですな。それで、来年の蝗害の再来を防止するための動きが速かったのですか。その辺の経緯はどうなのですか?ヴィルダー辺境伯家のアルベルド殿、詳しい話を聞かせて頂けませんかな。」
アルベルドが言う。
「はい。我が領では信じるに値する筋からの情報で、蝗害は一度発生したら数年間連続して発生する可能性があるとの警告を出典根拠付きで受けました。」
そこまで聞いた帝国宰相が遮るように言う。
「ほう。信じるに値する筋ですか。なぜか表現が微妙ですが、どんな組織なのでしょう?」
アルベルドが少し気まずそうに言う。
「ガスゴーシュ卿が言ったと思いますが、いまのところは、蝗害を受けた2国の民と、火山噴火被害を受けた貴国の民を救うために活動する筋というのが、内容を適切に表しています。
今言えることはそこまでなので、話を続けましょう。
蝗害対策は発生源を絶つのが最も効果的です。ところが、発生源は貴国の東部乾燥地帯のどこかなのです。我が領単独で実行できるものではありません。そこで辺境伯家として作戦を立てました。
すなわち、辺境伯家はロンバルス領主家と共同でシングラーツ王国機関を動かすこと、王国機関は隣国フランソワール帝国に働きかけて、帝国側を主、王国側を副とする2国共同体を立ち上げること、2国共同体は貴国に働きかけて蝗害対策の蝗幼虫殲滅作戦の詳細を交渉すること、という作戦です。
現在は、今言った作戦の最後の行程の入り口にいるわけです。
ガスゴーシュ卿は、辺境伯家が隣国に放った情報収集員に接見して事情をお知りになったのです。隣国側代表として我が領地に来訪され、オブザーバとして実動段階の初めから同行してくださいました。
辺境伯家では、蝗幼虫殲滅作戦の具体的手段まで準備済みでした。明日、交渉開始前に皆様の前でそのひとつ、火魔法使いが放つ蝗幼虫焼き払い手段をご覧頂く予定でございます。」
帝国宰相は言う。
「アルベルド殿。今回の交渉に至る経緯について、大変詳しく分かり易い説明を頂けました。ここには帝国側の主要交渉参加者の全員が揃っている。明日の交渉では、ここに至る経緯の説明は省略出来ますぞ。」
ガスゴーシュは言う。
「宰相殿。流石、お手並み鮮やかですな。これで交渉もスムーズに進むと思われます。
念のため、我々は、蝗害が数年連続して発生する可能性について記載された文献の原本を持参しています。今回入国した目的に二心なきことの傍証とするためです。
でも、我々は、帝国側の皆様には、その点に対して既にご理解いただけたものと確信しています。」
ここで帝国宰相は話を一旦止めるように言う。
「さようですな。蝗害の発生傾向については、その文献を見ずとも理解しております。我が帝国の古い言い伝えにありましたから。
かつては、あの東部乾燥地域にも農民が小麦を耕作していた時期があったのです。ところが、約30年周期で3年連続して発生する蝗害に農民が疲弊して、100年ほど前にはすべての耕作地が放棄されたのです。
2国共同体側に二心なき点についても、先程の傍証と現在の世界情勢に鑑みると信用していいでしょう。」
ガスゴーシュは言う。
「宰相殿。大変有り難いお言葉を頂戴致しました。この信頼の前提が有れば、蝗害対策の蝗幼虫殲滅作戦の詳細についての交渉は、さほどもめる要素はないものと予想します。
詳細に詰めるべき事項が、入国人員構成と人数、所持武器および蝗幼虫殲滅手段、進行ルートと兵站計画などと、貴国が参加可能か否かくらいですから。
ちなみに、かつて耕作地だった場所をご教示下されば、蝗幼虫の大発生場所を特定する目安となるでしょう。
そして、まだ正式ではないですが、あの信じるに値する筋が蝗幼虫殲滅跡地を耕作地にしたい意向を示す可能性が有ります。実現すれば、貴国に大きな利益が齎されるでしょう。」
帝国宰相は少し喰い気味に言う。
「ガスゴーシュ卿。それは確かな情報でしょうか?我が帝国は旧来より耕作地の不足に悩まされてきたのです。東部乾燥地域を除けば開墾可能な土地がほとんどなくて、慢性的な食糧不足の有様なのです。」
ガスゴーシュは言う。
「あくまで現在では可能性の段階です。しかし、かの筋が、この帝国で慢性的に食糧が不足している事実を知ったらどういう行動にでるか予想はつきます。少なくとも蝗が食する雑草が生えるような蝗大発生地の荒れ地を、見渡す限りの小麦畑かジャガイモ畑に変えてしまうくらいのことはするでしょう。」
帝国宰相は言う。
「おおぅ。ガスゴーシュ卿は人に期待を持たせるのがお上手ですな。オスムール帝国の民にとっては、わくわくするような長く待ちわびていた景色ですからな。その信じるに値する筋が来訪されるのが楽しみでなりません。」
ガスゴーシュは言う。
「かの筋からは、近く何らかの反応が返ってくるでしょう。火山灰を受けた耕作地の土壌改良について問い合わせしているところですから。
さて、そろそろ明日の交渉の本題の前哨戦と行きますか。
貴国にとって最重要の交渉事項は、火山噴火被害からの復興支援の方でしょう。食糧、医薬品、街の片付けや再建、農地の土壌改良などですね。
ただ、支援する方の2国共同体側も、蝗害で疲弊した状態であるということを考慮して頂きたいのです。
特に、食糧支援は厳しいです。街の再建作業人員も食糧との関連で数を揃えるのが難しいでしょう。一方、医薬品はある程度は何とか出来ます。そして、耕作地の土壌改良については、先ほど言ったように現在本国に問い合わせ中で返答待ちです。」
帝国宰相は言う。
「時期的にはガスゴーシュ卿のおっしゃる通りですな。いまは3国みんなが疲弊しているという、まさに最悪の時期と言わざるを得ません。そんな中で医薬品だけは余裕があるというのは、どのようなからくりでしょうか?」
ガスゴーシュは言う。
「先ほど応接間では申し上げたのですが、超特級ポーションはじめ高級ポーションの調合技術が開発されて、無償で全世界に公開されたのです。
我々2国内では、薬師に対して調合技術講習会を無償とする代わりに、今回の貴国支援向けにポーション一定量の供出義務を制度化したのです。」
帝国宰相は言う。
「なんとおっしゃる。そのような技術を無償で公開する人がいるとは信じられません。秘匿すれば世界一の大金持ちになれるところを。どこのどなたですかな、神様か聖人聖女様にも匹敵するその御仁は?」
ガスゴーシュは言う。
「先ほどから話に出てくる、信じるに値する筋、すなわち、蝗害を受けた2国の民と、火山噴火被害を受けた貴国の民を救うために活動する筋です。実に幅広く活動される筋ですが、神様や聖人聖女様とは違い宗教や信仰心の縛りを受けません。」
帝国宰相は言う。
「つまり、金銭でも動かず祀っても祈っても無駄ということですな。そのような筋が、既に我が帝国の民にまで恩恵をもたらすように動いて下さっているのは天の配剤というべきです。」
内政担当長官ライアン・ド・エフレインが言う。
「たしかに、技術を無償で公開して頂けるのは有り難いお話しです。しかしながら、その技術を使って実際に作業するには多数の人員が必要です。ポーション調合に多数の薬師が動員されるように、街の再建作業や耕作地の土壌改良作業にも多数の専門性の高い作業員の動員が必要でしょう。その人員数には食糧問題も関係するという先ほどのお話でしたね。」
外交担当長官コルネイ・ド・フォルケスが言う。
「なるほど。つまり、そこが交渉の重要ポイントということですか。つまり、支援側の2国共同体にしても食糧支援できるほどの余裕がない。当帝国側が金銭や鉱物などの有価物資で代償を支払うとしても、もともと無い袖は振れないということですな。
そうすると、食糧の不足分を今から作付けて早期に収穫できる穀物、イモ類、野菜類などで補えるように自助努力が必要ですな。その上で2国共同体から送ってもらえるぎりぎりの作業人員数を見出す必要がありますな。」
そんな、宴もたけなわならぬ議論たけなわで食事が進まない状況の重要人物たちの輪に、ひとりの補佐官が入って来てガスゴーシュに手紙を渡した。
ガスゴーシュは手紙を開き、手を上げて注意喚起してから言う。
「皆さん、お静かに願います。いま、本国からの手紙と、あの信じるに値する筋からの手紙が届きました。本国からの手紙はわたくしに対する指示事項ですので割愛します。ここで、あの信じるに値する筋からの手紙の内容を掻い摘んでご紹介したいと思います。よろしいですね。」
((この国では、会議の前に手紙が届くんですね。いい傾向です。))
ガスゴーシュが続けて言う。
「大部分は、こちらから依頼した火山灰を被った畑作地の土壌改良の手段についての回答で、あと少し追加事項があるようです。
まず、土壌改良手段です。このためにはオスムール帝国側の責任で、石灰石を子供が握れる程度の小石大に砕き、大量に集めて土壌改良したい耕作地区画ごとに集積しておくこと、後日、2国共同体側から作業部隊40名+3名を送るから受け入れ態勢を準備しておくこと、その際、食糧は40名+3名の15日分持参で行くから準備不要、作業員は3名+1名の4名ひと組の10組、作業内容は集積された石灰石を火魔法で焼き上げて粉状の消石灰にする、消石灰を耕作地の表土全面にばら撒く、消石灰がばら撒かれた耕作地を浅く耕起する、これで土壌改良完了。
なお、10組のうち1組と1名の計5名については、来たる蝗幼虫殲滅作戦の行動経路の事前調査のため御国東部乾燥地帯への立ち入りを許可願いたい。
次に、日程条件です。この土壌改良作業は、次年の作付けの10日前には終わらせるから、石灰石は次年の作付けの20日前には集積が終わっていること、本作業に関係するオスムール帝国側から2国共同体側への謝礼金品の類は一切不要である、
以上です。
そして、追加事項1です。この土壌改良作業員40名は蝗幼虫殲滅作戦にも同行するから今次交渉で人員に含めてもらうこと、同行の目的は焼き払った跡地を耕作地に作り変えること、できた耕作地には火山噴火被災者から入植希望者を入植させること、不足する分は貧農の希望者を募ること、農業指導員を3国から人選して数名準備すること、作付け内容は小麦、じゃが芋、人参、大根などとし、種苗は無償提供または貸付を受ける、貸し付けの場合返済期限は2年後とする、なお、この追加事項1が貴国には不要である場合、少なくとも、毎年所定数の人員の入国と東部乾燥地帯での蝗大発生の予兆調査することを許可してほしい。
以上です。
最後に、追加事項2です。土壌改良作業員40名+3名は、火山噴火で被災した街の復興再建作業の建設土木関連工事にも投入可能、食糧は15日分持参、15日以上の支援は双方の合意によるものとし、合意した場合は食糧配給をもらえること、
以上です。
いま、説明したように、あの信じるに値する筋が我々の依頼に応じてくれたようです。時期的には、追加事項2が最初ですかね。これで、先の議論の作業人員数の問題は半分解決しましたね。汎用技能を持つ人たちが40名食糧持参で来てくれるわけですから。」
こうして、事前の歓迎晩餐会の場で、あらかたの案件の片が付いてしまった。
本交渉では、蝗害防止対策の蝗幼虫殲滅作戦については、オスムール帝国側は不参加、他はほぼ2国共同体交渉団側の原案通りで交渉妥結した。
火山噴火被害の復興支援については、食糧支援は特になしとすること、特級ポーションと超特級ポーションは、合わせて1000本を無償提供すること、復興作業の人員派遣と土壌改良作業は、かの筋の提案通りそれぞれ40名+3名の15日分の食糧持参で、それぞれ交渉決着した。
((オスムール帝国のお偉い様たちも話の分かる人で助かりました。結局、本国の出血大サービスはポーション1000本、復興人員派遣が40名+3名を2回で済みました。食糧支援がなくて良かったです。+3名は誰でしょうね。))
蝗幼虫殲滅作戦の交渉が妥結しました。後は実行段階ですね。何か波乱の予感もしますが少女は大丈夫でしょうか。それではまたお会いしましょう。




