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69.少女は新技を開発する

少女は食糧増産のための魔力開発に力を貸します。

ーーー 場面はアリースソン伯爵領主館


 ユリアは自室で自ら目覚めて洗顔し体調を整えた。そのあと、一昨日のワイバーン討伐の反省をしていた。そこに、メイドのナリアが入ってきて挨拶しながらユリアの着替えを手伝った。


 ナリアが言う。


  「ユリア様は、昨晩お帰り早々、ハンター初陣(ういじん)で大変面白いご経験をなされたとだけ話してくださいました。わたくしがそれを話したところ、どのような面白いご経験なのか知りたくて、メイドたちはみんな悶々(もんもん)としておりました。楽しみの少ないメイドたちのため、少し具体的にお話してくださいませんか?」


((あ。やっぱり娯楽や楽しみが少ないんだ。それなら少し遊び心のヒントでも差し上げましょう。))


 ユリアが言う。


  「それは大変申し訳ないことをいたしました。現場にいなかった第三者にとって面白い話って、わたくし自身が面白いと思ったこととは違うかも知れませんが、できるだけ意に添うようにお話ししましょう。」


 ナリアが言う。


  「ご無理なお願いで申し訳ございませんが、よろしくお願いします。」


 ユリアが言う。


  「お話のポイントのひとつ目は、魔物討伐の同伴者を増やすのにわたくしの魔法の荒技や弓矢の技量が決め手になったことです。


 ふたつ目は、初陣でいきなり高位の魔物ワイバーン5体に出会える幸運に恵まれた事です。


 みっつ目は、魔物の森の入口にある宿屋の女将(おかみ)さんが話し好きの情報通で、ワイバーン5体が出た話を教えてくれた事です。


 よっつ目は、ワイバーン5体の討伐会戦条件を満たすために高資格ハンターを宿屋で調達するときに、わたくしが魔法の荒技や弓矢の技量で5体全部撃ち落とすから、他の人は隠れているだけでいいと豪語したことです。


 すると、私の同伴メンバーの3人が口々に、わたくしの弓矢が一発必中かつ百発百中の腕前だとか、槍で触りもしないのに空中の魔物を落としたとか、援護射撃で口説いてくださったのです。


 説得に応じて別パーティーのリーダーが参加してくれたことで、魔物討伐会戦に必要なハンター資格総数を満たし、5人パーティーで討伐に向かったのです。


 結局わたくしは、パーティメンバーになってくださった方々に支えられて、ハンター初陣でいきなり大戦果を挙げる活躍ができたし、あの荒技をお見せしてご恩返しもできたというお話です。


 なお、あの荒技に対する皆様の感想は、荒技というほど荒っぽくなく、むしろ色鮮やかでスマートな技ということでした。具体的な荒技の外観は、細くて黄色い棒状の火焔が槍の穂先から魔物の目に真っ直ぐ延びて目を貫くというものです。


 今後、技の名称を、もっと外観にマッチしたものか、攻撃形態を表すものに変える必要があるかもしれません。」


 ナリアが言う。


  「ユリア様。申し訳ございません。今のお話は、メイドたちにとってはどこが面白いのか分からないだろうと感じました。でも、ユリア様にとっては、ご自分で豪語するほどの弓矢や槍の腕前が、言葉通りであると自分や他人に証明できたことが、面白いという表現で語られたのだと理解いたしました。メイドたちには、わたくしからアレンジして話して聞かせます。ありがとうございました。」


((ナリアさん。ご指摘ありがとうね。でも、私が面白いところは自慢話のところだけじゃないんですよ。))


 ユリアは言う。


  「はい。ナリアさん。話下手で済みません。感情表現の選択を誤りました。面白い経験というより、皆様のご好意に支えられて達成できたと実感した経験と表現すべきものでしょう。メイドさんたちには、そのように言い添えてくださいませ。」


 ナリアが言う。


  「承知いたしました。ところで、本日はどのようなご予定ですか?」


 ユリアが言う。


  「今言ったことで気が付いたのですが、皆さんのご好意に対してお礼となるような新技の開発訓練をいたします。騎士団の訓練場の片隅をお借りしますので、できれば、ユリアさんが騎士団から事前に許可を取ってくださるようお願いいたします。」


 ナリアが言う。


  「承知いたしました。では、食堂までご一緒して、わたくしはその足で騎士団に向かいます。ユリア様も朝食がお済みの後、直接騎士団の訓練場へおいで下さいませ。」




 ユリアは、朝食を取りながら考えて独り言ちる。


  「皆さんのご好意と言っても、皆さんって誰だろう?騎士団の人?、アリースソン伯爵家の一族?、伯爵領の領民?、王国民?、いま蝗害で苦しんでいる人たち?、オスムール帝国の被災者たち?、どうも焦点が定まらないね。


 別の観点から、誰にでも関係して生存に必要なものと考えると、食糧と医療か。医療についてはポーションで既に貢献しているから除外すると、残るは食糧となるわね。わたしが食糧で皆さんに貢献するとして、何ができる?


 今すぐの要求には、物もないし金もないから応えられないわ。すると、今後の食糧増産に役立つ何かということになる。何かとは、荒れ地の開墾など耕作地の拡張、水を引く灌漑用水路の疎水または開削、肥料製造や害虫対策、労働集約から資本集約たとえば機械化へなどか。


 私にできることで面白そうなのは、今あげたうちの、荒れ地の開墾など耕作地の拡張、水を引く灌漑用水路の疎水または開削、あたりかな。魔法を用いた新しい技を開発して行うとすれば、木や草の除去、木の根の除去、石や岩の除去、地面の平坦化、用水路の開削か。


 今持っている魔法は、収納魔法と、金縛り魔法と、接近戦の秘技と、あの荒技か。これらは、収納魔法を除いてみんな同じ基本原理を使っている。そして、対人、対魔物を問わず戦闘のための魔法だ。


 今、新たに開発したいのは地面や草木を対象にした魔法だから、戦闘のような即応性は必要ないね。つまり、個人個人が臨機応変に動く必要がない訳だ。


 とすれば、複数人が共同してひとつの魔法を発動しても問題ない訳だね。それにより強大な威力を発揮する魔法となるはず。


 例えば、用水路を開削する方法を考えてみよう。2人でひとつの槍を持ち、一人が土魔法の魔力を、他方が風魔法の魔力を同時に放射すれば、地面に溝が掘れるかな。


 そうだ。荒技の応用で、これに更に水魔法の魔力を纏わせたら威力倍増するかも。


 うーん。魔力放射先端の形状も対象に合わせたものがいいんじゃないかな。溝掘りだったら溝形断面、地面削り取りだったら板状断面という具合にね。


 よーし。基本構想は大体まとまったかな。これで基礎練習と実践練習に移れるね。それじゃあ、そろそろ騎士団の訓練場に行きますか。


 これが上手くいったら、次の段階は、農業と土木工事を管轄する部門の協力を得て実地試験と実施計画策定だね。」



 ユリアが食堂の椅子から立ち上がって見ると、傍にソルジエン副団長が立っていた。


 ソルジエンが言う。


  「ユリア殿。おはようございます。今日は騎士団訓練場で新技の開発研究をなさるそうで、お迎えに上がりました。」


 ユリアが言う。


  「あ。ソルジエン副団長さん。おはようございます。今日は騎士団訓練場の片隅で、ちまちまと魔法練習をするつもりです。ただ、戦闘用ではなく農業土木用なので、場所的に妥当なのか分かりません。」


 ソルジエンが言う。


  「そういうことでしたら、建設土木部門の試験場の方が良さそうですね。これから部門長の部屋に行きましょう。」


 ユリアが言う。


  「お手数をおかけして申し訳ございません。よろしくお願いします。」


 ソルジエンが言う。


  「一昨日のワイバーン討伐は、お見事でした。あの荒技を拝見できただけでなく、弓矢の凄腕もつぶさに見られたと騎士団のみんなに自慢出来ました。


 これでユリア殿は、早くもハンター資格1級の受験に必要な経験数を達成しましたよ。現在3級なので、受験させてくれるかはギルド長の匙加減ひとつですね。あ。着きました。どうぞ。お話し合いください。私はここで失礼致します。」


 ユリアが言う。


  「ソルジエン副団長さん。ありがとうございました。建設土木部門長様。ユリアでございます。入ってもよろしいでしょうか?」


 部屋内から声がする。


  「おお。ユリア殿。どうぞお入り下され。儂のことはゼルジブと呼んで下されや。」


 ユリアが言う。


  「おはようございます。ゼルジブ様。今日はご相談があって参りました。」


 ゼルジブが言う。


  「おお。おはようですじゃ。ユリア殿。相談とは珍しいですな。オスムール帝国への復興支援の件ですかな?」


 ユリアが言う。


  「あ、いえ。それにも少し関係しますが、先ずは、このアリースソン伯爵領の農業収穫量を増やす農地開墾や用水路開削のための魔法を開発したいのです。その用途に使える試験場の片隅をお借り出来ないでしょうか?」


 ゼルジブが言う。


  「なるほど。当建設土木部門としても、従来より建設業務や土木業務に魔法の適用を研究しておるところですじゃ。じゃが、未だに実用化に至ってないのが現実でしてなぁ。ユリア殿が研究されるなら当部門として願ってもない事ですぞよ。当部門の研究員をひとり付けるよって、部下として自由に使って下されや。」


 ユリアが言う。


  「まあ。ご親切にありがとうございます。研究員の方に、これまでの研究記録を見せていただいてよろしいでしょうか?」


 ゼルジブが言う。


  「おう。構いませんとも。何でもご覧になって下され。おっ。ちょうど来たな。ビルメルク、こちらのユリア殿の助手をやってくれんかの。工事魔法の開発をなさるそうじゃ。」


 ビルメルクが言う。


  「おはようございます。ユリア殿。喜んでお手伝いさせていただきます。さっそく研究室にご案内します。私の事はビルメルクとお呼び下さい。呼び捨てで結構です。」


 ユリアが言う。


  「おはようございます。ユリアです。それでは、ビルメルク、よろしくお願いしますね。」


 ビルメルクが隣の部屋に案内して言う。


  「これまでの研究記録ですね。こちらの書架に全て並べてあります。自由に手に取ってご覧下さい。」


 ユリアが言う。


  「ありがとう。見させて貰いますね。ふむふむ。ここ20年来ご研究されてますね。主に土魔法の使い手の訓練方法の開発ですか。掘削、擁壁、平坦化の土移動、根切りなどありますね。実用化はどこまで進展しているのですか?」


 ビルメルクが言う。


  「残念ながら、現在まで完全に実用化されたものはないのです。実用化まであとひと息なのが溝掘り作業です。幅2m深さ1mの溝を掘り、残土(ざんど)で両側に擁壁(ようへき)形成する工事を5m進むと魔法の使い手が魔力切れとなります。魔力回復ポーションなしでは一人1日で5m進むのがやっとの状況なのです。」


 ユリアが言う。


  「なるほど。これは前途多難ですね。わたくしは、土木工事を甘く見ていたようです。でも、何もしないで引き下がるわけにもいきません。試験場に行って試してみましょう。ビルメルクの魔力適性を伺ってもよろしいですか?」


  「はい。土と風です。」


 ユリアが、ビルメルクの後を付いて試験場へ行きながら言う。


  「いいですね。掘削実践のとき魔法発動に何か杖かワンドのようなものを使いますか?」


 ビルメルクが言う。


  「いいえ。何も使わず手指から放射します。」


 ユリアが試験場に着いて言う。


  「それでは、先ずは手から放射するいつものやり方で、土魔法を使ってそこの地面に幅50cm深さ50cm長さ2mの溝を掘り、残土で溝の両側に堤防を形成してみてください。」


 ビルメルクが言う。


  「はい。やってみます。うむ。断面が小さい分、少し楽ですがいつも通りの感触でした。」


 ユリアが言う。


  「それでは、次にわたくしの槍を使って魔力放射しましょう。この槍を両手で持ち土魔法を使って先ほどと同じことをしてみてください。」


 ビルメルクが言う。


  「はい。やってみます。おおっ。槍を使うと魔力の放射と実体変換が格段に効率よく進みますね。はい。もう終わりました。先ほどの5分の1の時間しか掛かっていません。しかも、魔力消費もかなり少なくて済んでいます。これは画期的な発見ですよ。」


 ユリアが言う。


  「この槍は、わたくしが魔力を放射するために日ごろ使っていますから、普通の棒より魔力の通りがいいのです。もちろん、普通の棒でも素手の数倍は良く通りますよ。まず、このような棒を使うことが、第一の改善点ですね。」


 ビルメルクが言う。


  「はいっ。ユリア殿のご指導で研究が一気に進みそうな気がしてきました。」


 ユリアが言う。


  「明日はこの改良版として、試行錯誤的な研究をやってみます。放射先端の形状を溝の断面と相似形(そうじけい)にしたものを、明日の朝までに準備して下さい。それでは今作った溝と堤防を平坦に均して下さい。」


 ビルメルクが言う。


  「分かりました。この作業もこの槍をお借りします。おお。やはり魔力消費が少なく作業時間も短いですね。」


 ユリアが言う。


  「次は、この槍に、わたくしが生活魔法レベルの魔力を両手で通しますので、ビルメルクは片手で握って同じく生活魔法レベルの土魔法の魔力を通してください。その魔力経路で先ほどと同じサイズの溝と堤防を作ります。」


 ビルメルクが言う。


  「えっ。生活魔法レベルに制御は出来ますが、たぶん弱すぎて満足に掘れませんよ。いいんですか?」


 ユリアが言う。


  「いいんです。これが本日のメインイベントです。ただし、わたくしも上手くいくかどうか分かりません。挑戦する心を持つことが大事ですよ、ビルメルク。」


 ビルメルクが言う。


  「分かりました。では、右手で槍の柄を握って土魔法の魔力を実体化するように放射します。それっ。」


 ビルメルクが言う。


  「えっ。なんだこりゃあ。土魔法の魔力が回転しながら飛んでいった気がしたぞ。あっ。もう2m掘り終わったぁ。すっげー。生活魔法レベルだから魔力消費もごく僅かで済んでいる。一体どうしたらこんな凄いことになるんだ?ユリア殿。」


 ユリアが言う。


  「残念ですが今はまだ詳細を明かせません。明日は、わたくしの槍ではなくて、先ほどの溝断面型先端をもつただの棒材に魔力を通してやってみます。作っておいてくださいね。


 それと、補助者の追加の要求です。済みませんが互いに異なる魔法適性の補助者をあと2名頼んでもらえませんか?例えば、ひとりが水魔法なら別のひとりは氷魔法と言うように。ただし、二人とも魔力を魔力のままで放射出来ることが必要です。よろしくお願いしますね。」


 ビルメルクが言う。


  「分かりました。ユリア殿。今日のこの結果は、これまでの研究停滞を打破するものでした。研究日報を書くのが楽しみです。」


 ユリアが言う。


  「わたくしも、今日の結果を見て勢いが付きました。出来るだけ早期に研究結果を皆さんに移管します。皆さんで新技術を用いて十分広い新耕作地を開墾して、来年の作付けに間に合わせてください。開墾の実行計画の立案も早く考えて上部に提案するのを忘れないでね。」


((えっ。無責任過ぎるって?いいえ。これがごく普通の当たり前なんです。わたくしは何の力もない幼児ですから。))



 ユリアは、食糧増産向けの新魔法開発の今日の予定を午前中だけで終えた。


 ユリアは独り言ちる。


  「用水路掘削用魔法の成否は明日が本番ね。基本的要件や動作を今ここで固める必要はないかもね。できるとわかれば自分たちで研究して最適解を見つけるでしょ。でも、掘削要員の魔法使いを3人揃えること、そのうちふたりで魔力放射棒を持って基本の金縛り魔法の魔力を放射すること、残るひとりが片手で棒を握り土魔法の魔力を実体化するように纏わせること、くらいは守ってほしいかな。


 これで、どの程度の威力と効率化になるか楽しみだ。従来は1日ひとりで5m、3人では15mだった。実用化できるレベルだったら、この3人一組の魔法掘削のやり方の基本原則を明かす必要があるわね。デイビードお父さんに相談マターかな。」



 ユリアは午後半日フリーになったので、自室で横笛やバイオリンの練習をして過ごした。



 ユリアは、翌日、朝食後に直接ビルメルクの研究室に行き、試験実施内容の事前確認を行った。追加の補助要員2名もすぐに合流したので4人で連れ立って試験場へ行った。


 試験場には、既に溝断面型先端をもつ魔力放射用棒材が準備してあった。


 ユリアが言う。


  「本日合流されたお二人さま。ユリアと申します。よろしくお願いいたします。念のためにお二人の魔法適性をお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか?」


 補助要員Aが言う。


  「ユリア殿。私は光魔法に適性があります。」


 補助要員Bが言う。


  「私は火魔法に適性があります。」


 ユリアが言う。


  「はい。ありがとうございました。非常にいい組み合わせですね。最高の結果が期待できます。実際お二人は仲良しでいらっしゃいますね。今日の試験では、今申告された魔法の魔力を、この棒に流して魔力のままで実体化せずに先端の溝形部から放射していただくのですが、できますよね。」


 補助要員AとBがともに頷いて言う。


  「もちろん。魔力を実体化せずに魔力のままで放射することは、仕事で日常的にやってますから。」


 ユリアが言う。


  「はい。頼もしいですね。今日は、実寸大断面の溝、すなわち、幅2m、深さ1m、長さ15mの溝の掘削と、残土による幅方向両側の擁壁または堤防の造成試験を行っていただきます。


 それでは、お二人は棒を各自両手で持って魔力を放射する準備をしてください。ビルメルクは昨日と同じく片手で棒を握り、お二人の放射開始後2秒後に土魔法を実体化するように通してください。三名様とも、魔力の強さは最大強度の半分程度でお願いします。


 それでは、始めてください。」


 ビルメルクが言う。


  「行くぞ。おおっ。何という威力だ。何という掘削速度だ。僅か10秒ほどで15mまで掘削できたぞ。しかも、溝の底面も側面も滑らかで荒れがほとんどない。両側の擁壁も同じくしっかり固まって昇って踏みつけても凹みもしないぞ。こんな結果になるなんて、期待した予想をはるかに超えているじゃないか。どうだ君たち?」


 補助要員AとBがともに唖然としながらも頷いて言う。


  「まったく、驚きを通り越して開いた口が塞がらないです。今までの試験では魔力切れで疲れるだけで達成感もないほど遅い掘削速度だったのに比べると、夢を見ているようです。」


 ビルメルクが言う。


  「そうだろう、そうだろう。これなら、あの遠い山裾の湖から水を引いてくる用水路をすぐにでも着工可能な気がする。」


 ユリアが言う。


  「皆さん。おめでとうございます。工事実施に当たっては当然しかるべき手続きを踏まれるでしょう。当方としても、この魔力技術のマニュアルを含めた完全公開には一応の手続きが必要です。と言っても、わたくしが、デイビードお父さんを説得して公開の許可をもらうつもりです。


 皆さんは、開墾作業に関係する木材伐採や切り株除去および平坦地化などに、この魔法技術を応用する研究を進めてください。わたくしの直接指導はここまでです。それでは、お先に失礼いたします。」


 ビルメルクと補助要員二人が言う。


  「ユリア殿。停滞していた魔力適用土木工事の研究開発が一気に実用段階まで進みました。ご指導ご協力感謝申し上げます。」




((ふう。予想通りうまくいって良かったよ。あの威力は一人で発動するあの荒技を遥かに超えるね。何しろ3人で魔力放射するから。あれに火魔法の魔力を実体化させるように纏わせたらどうなるんだろう。ドラゴンも一撃で撃ち落とせるんじゃない?恐ろしいからもう考えない。))


少女の研究指導により用水路掘削や開墾作業などが魔法で省力促進されて食糧増産に繋がりそうですね。それにしてもワイバーン5体の討伐で一挙にハンター資格1級の受験資格を得たようですが2度の飛び級はあるんですかね。それではまたお会いしましょう。


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