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第9話 噛み合う動き
敵の動きが、見えていた。
視界に入った瞬間、
次の動きが分かる。
振りかぶる軌道。
踏み込みの位置。
予測ではない。
ただ、そうなると理解している。
ネメシは一歩だけ踏み込んだ。
最小限の動き。
それだけで、
攻撃の軌道から外れる。
――遅い。
違和感があった。
敵の動きが、
本来よりも鈍く感じる。
いや、
「……違うな」
小さく呟く。
遅いのは敵じゃない。
自分の反応が、
噛み合いすぎている。
剣を振る。
無駄がない。
当たる位置に、
自然と刃が届く。
考えていない。
だが、
迷いもない。
次の一手も、
既に決まっている。
敵が動く。
その前に、
ネメシは動いていた。
結果として、
攻撃は成立する。
理由は分からない。
だが――
「悪くない」
短く呟く。
身体が軽い。
視界が広い。
何より、
戦闘が、噛み合っている。
これまでと同じはずなのに、
まるで別物のようだった。
ネメシは次の敵へと向き直る。
考える必要はない。
動けばいい。
それだけで――
結果がついてくる。
第9話までお読みいただきありがとうございます。
状況は一段階進み、
これまでとは違う局面に入ります。
ここから先の展開も、
引き続きよろしくお願いします。




