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すれ違いの中でも、ボクはキミを見つけに行く〜自分の為に嘘をつく詐欺師達は〜  作者: 華御羅


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26 初恋と失恋と恋愛は

最近少しずつ秋を感じますね!まだまだ暑いですけど!

 ……近い。カナちゃん先生は本当に距離感が近い。

 遠くにいるだけで可愛いのに、近くにいたら逆にどうしたらいいのかわからない。

 診察が終わって、呆然と椅子に座りっぱなしだった。

 話を聞くと、結構ヤバい状態だったらしい。

 だけど、僕はそんなことより、カナちゃん先生から目が離せない。

 体中が熱でも出したみたいに熱くなる。

 顔なんか絶対真っ赤だ。


「愛くん?」

「……ふぁっ!? は、はいっ!」

「どうしたの? ぼ〜っとして」

「な、なんでもないですよっ!」


 カナちゃん先生の顔が目の前にっ……。か、可愛すぎるっ、破壊力がっ……。

 こ、恋だよね?この気持ち。ま、まぁ。



 叶わないけど。



 モヤモヤとドキドキが重ね合わさった。

 だって、カナちゃん先生の机の上には、ある写真が置かれているんだもん。

 僕たちとそこまで変わらない年齢の男の子に見える。


「……ねぇ。カナちゃん先生。あの人、誰なんですか?」

「あ〜。この子っ? 私のねぇ〜初恋の人なんだ〜」


 わざわざ予想できることを聞いて、その答えが予想通り。逆に笑っちゃうや。

 ちょっとだけ顔を赤くしてるカナちゃん先生。その言葉と、その表情が本当だと語っている。


「この子、病気で高校生3年の春の日に、亡くなっちゃったんだ。雷の日だったなぁ」

「……え?」


 そう言った先生の表情は、誇らしげだった。

 初恋の人が死んじゃったのに、なんでそんなに誇らしげでいられるの?一瞬、理解ができなかったよ……。

 ……『亡くなっちゃった』この言葉でもっと僕の想いは届かないんだなぁと自覚してしまう。


「『お前は俺の代わりに生きろ。生きていたら何でもできる。カナの幸せを見つけないと、俺、成仏せずに悪霊になるぞ』って、お墓参りに行ったときに、幽霊になって出てきたんだ。この子」


 大事そうに写真を手に持って、僕に見せてくる。

 写真の中の男の子は、どこからどう見ても卒業アルバムに使われる真面目な表情。

 …………『生きていたら何でもできる』カナちゃん先生の言葉と言い、この子の言葉と言い、どれもこれも胸に刺さる言葉ばっかり。

 『病気で亡くなった』か。僕もすぐに会えるのかな。この子に。


「なんでこれ、卒業アルバムとかで見そうな表情してるの?」

「私が会ったときにはね〜、もう『写真には写らない状態』だったからかな〜」

「写らない???」

「うん。私、方向音痴なんだけどね、この子、剣くんが助けてくれてさ、同じ高校だって知って仲良くなろうと思って、1年間ずっと話しかけてたんだ。それでね――」




 カナちゃん先生の話だと、席替えで同じ席になれて仲良くなろうとしたけど、ずっと冷たい態度を取られていたらしい。夏休みも冬休みも遊ばないかと誘ったけど、全部断られて、卒業式に近づいた春の日に、カナちゃん先生は剣さんに告白をした。

 けど、剣さんは『好きだけど、今はもう好きになれない』とだけ言って、泣き始めてしまった。そのあといろんな会話をすると、突然『明日の天気は何だと思う?』

 そう聞いてきたらしい。

 先生は適当に『晴れ』と答えたけど、剣さんは『雷がいいなぁ』と呟き、『俺のこと、忘れんなよ』笑顔でそのまま、急に消えてしまった。

 数日後、剣さんの親から剣さんが『病気で亡くなった』ことを知る。ずっと、病室で昏睡状態だったらしい。

 なのに、先生の目の前には剣さんが現れた。カナちゃん先生は、『きっと剣くんは私と仲良くなりたかったんだろうね』そう、窓に見える青空に向かって、呟く。


「だから、私、決めたんだ。剣くんみたいな人の命を、ちょっとでも多く救おうって」


 …………。そっか。僕、なに馬鹿なことしようとしてたんだろう。剣さんは、きっとまだ生きたかったんだ。

 なのに僕は、まだ生きれるかもしれない自分の命を、自ら絶とうとしてた。そんなの、馬鹿のお手本じゃん。

 自分の恋どうこうの前に、自分のことも考えれないなんて。


「だから愛くんのことは、私が絶対助けるからっ!」

「…………お、お願いします……」


 キラキラしたカナちゃん先生の笑顔を見ちゃうと、それ以上の言葉が出てこない。

 でも……僕の意思だってすぐに変えれるようなものじゃない。


「僕、そろそろ戻るね〜♡ 双にも謝らないといけないしっ♡」


 作り笑いを浮かべて、そそくさと診察室の扉の取ってを握る。

 剣さんと、立場を代えられたらよかったのになぁ。そうしたら、まだ生きれたのに。

 僕の病気が悪化したら無理だけどねぇ♡


「そうだっ。愛くん!」

「へっ? ど、どうしたのっ?」


 扉を開きかけたとき、カナちゃん先生に手を掴まれた。

 目を見開いて、掴まれた手とカナちゃん先生を交互に見つめる。


「1人で抱え込んじゃ、ダメだからね?」

「…………大丈夫です。それじゃあ、今度こそ失礼します……」


 先生の手振り払い、奥歯を噛み締めて、扉を開けた。なんとなく、扉がいつもより重い気がした。

 そこまで古い病院じゃないのに、歩くたびにギシギシと音が鳴る。僕が太ったとかじゃない。むしろ病気のせいで痩せてしまっていた。

 きっと、僕の頭の中で勝手に鳴っているだけだろう。思い込みというものは、ここまで恐ろしいんだ。

 いつもの場所が、全然違うところにいる気がしてしまう。

 ……やっぱり、僕、剣さんみたいになれないんだろうな。

 僕の視界には、病院の廊下と、剣さんが見えた気がした。

 悲しそうな表情。でも、これもきっと思い込み。

 無視して自分の病室までに行かないと。


「自分が歩みたい、道に行けばいい」


 少しだけ儚いでも、芯がしっかり通った声が聞こえた。

 バッと振り向いてみるも、そこには誰もいない。なんだろう……今の……。


「……剣……さん……?」


 剣さんの声は聞いたことないけど、少しだけ確信してしまう。

 …………カナちゃん先生にもだし、僕の周りにいる人たちって、みんな心に響く言葉を考えれるなぁ。

 『自分が歩みたい、道に行けばいい』か。言う通りだね。

 僕は……生きたい……けど、死にたい……。

 矛盾も矛盾でいいところだ。頭がこんがらがってるよ。


「強いねぇ。剣さん……」


 だけど、一つだけわかったことがある。

 ちょっとだけ、モヤモヤが楽になった気がした。

 僕が今、いきたい道は……どこだろうな。

いろいろ久しぶりなのでちょっと下手になってるかもです……(今ここで言うか???)

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― 新着の感想 ―
作中に出てきたカナちゃん先生と剣さんって華御羅さんが制作してくださった「雷の日、私はまたあの教室で君との日々を思い出す」の春日野カナと、雷道剣じゃないですか!? 今回の話は、春日野カナが医者になったと…
2026/09/24 18:54 誰でしょう!
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