『雷光のケモノ』 其の五
ドゴォォォォォォォォン!!
私が全力で放った『閃熱爆炎』は完全に『鵺』をとらえ、大爆発を起こし、巨大な火柱を上げる。
「殺った!」
(いや、殺ったら駄目だろう・・・)
(・・・まあ、その心配は必要ないようだがな。)
「え?」
ザァァァァァァァァァァァ
降りしきる豪雨は、やがて火柱を押さえ込み、大量の湯気が立ちこめていた。
その中に気配が一つ。
・・・鵺は健在。
ゆらり・・・
湯気が揺らめく。
次の瞬間、私の目の前に鵺、ヒョーっと薄気味の悪い鳴き声をあげる。
「あ?ああああ・・・・」
殺される。
私の全力ではなった魔術にかすり傷一つ負わず、鵺の攻撃は私にとっては全てが致命傷となる。
勝てない。
でも・・・私の後ろには、私が守らなくちゃいけない人達がいる。
引けない、引くわけにはいかない。
私は覚悟を決め、キッっと鵺を睨み付ける。同時に次の魔術の詠唱にも入る。
先程は私が最も得意とする火属性だったけど、今度は鵺が苦手であろう土属性だ。
正直、土属性は得意では無いんだけどね。
其れより問題は・・・鵺が今まさに爪を振り下ろそうとしている。
私は目をそらさない。間に合う見込みは無い魔術の詠唱を続ける。奇跡は最後の瞬間まで起こりうる可能性はあるんだ。
ピタリ。
私に振り下ろされるだろう爪が寸前で止まる。
ヒョーヒョー
バッと距離を取る鵺。
(お前の大切な人達を守ろうとする覚悟、確かに認めた。・・・香奈、合格だそうだ。)
「え?合格・・・??」
「え?え??」
きょとんとする私に、かのんさんは続ける。
(お前達にならば、我が息子を頼んでも良いだろう。息子を頼むぞ、可能性を秘めた娘よ。)
「あ、あれ??」
(お互い殺気を放っていたからか・・・香奈、忘れていたかも知れんがコレは試練であり、殺し合いでは無いぞ。)
あ・・・そうか、雷獣の子が一緒に居たいって言って、ならば試してやろう。って・・・
ふぅ・・・
私は深く息を吐く。
詠唱していた魔術をキャンセルし、戦闘状態だった気持ちを切り替える。
すとんっ・・・ぺたん。
「あは・・・あはは、腰が抜けちゃった。」
ヒョーヒョー
ピシャァァァァァァァーーーーーーーーンッッッ!!!
バリバリバリバリッッッ!!!
鵺の居た場所に雷光が閃く。
私は地面に座り込んだまま目をそらす。
・・・
・・・
・・・
目が慣れた頃、其処に鵺の姿は無かった。
キュィーー
「香奈さ〜んっ・・・大丈夫ですか?」
離れていた依子ちゃん達が駆け寄る。
「あはは・・・あんまり大丈夫じゃ無いかも・・・」
「でも、これで依子ちゃんと雷獣の子は一緒に居られるわけだけど・・・」
「はいっ本当は私もこの子と居たかったんですっ」
「ありがとうございます。香奈さん。」
「・・・訳だけどぉ・・・寮、ペット禁止だからね?」
「え??」
「この流れって、一緒に居て良いよって流れじゃぁ・・・」
「本来ならね。でもぉ・・・まぁ・・・」
「・・・私を店まで連れってってくれたら考えてあげるよ。」
「・・・立てないのよね。」
「あはっ締まりませんねぇ♪」
(本当にそうだな。)
キュイーー
こうして・・・依子ちゃんに・・・そして私達にも、新しい友達が出来た。
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次回更新はこの章のエピローグになりますが・・・年末多忙?の為12月30日の14時30分頃の予定です。




