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『霧島華音』 ~不思議の依頼お受け致します。~  作者: hermina
第3章 『ヒトを喰うオニ』
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『ヒトを喰うオニ』 其の十二

「えいっ!やぁあ?」


儂は、チカラを発現しようとする。巫女が持つ『巫術』。代々続くその家系に属していながら、儂にその才能は芽吹かなかった。


「楓、貴女には巫女の素質は無いようです。」


母様にもキッパリと言われた。新城の名は妹の方に継がせるともハッキリと、儂が五つの時の事じゃ。

だからといって、愛情無く育てられた訳でも無い。

それ以外の所では、両親ともに優しかった。

だから儂は、其れ以外の事で両親を・・・妹の手助けをしようと思った。

そんな中で事件が起こった。

父様が物の怪退治で大怪我を負って帰ってきたのだ。

箱入り娘として育てられた儂は、それまで”血”をまともに見たことが無かったのじゃ。

血を見た瞬間、儂の中に何かが生まれるのを感じた。


「血・・・吸いたい。」


「楓!?何を言っているのです!?」


儂は母様の前で父様の首筋に噛み付くと、血を吸った。

凄く美味しい。そして何とも言えぬ快楽が儂の体を駆け抜けた。


「はぁ・・・」


儂は口から血を滴らせながら、己の欲望を口にする。


「母様の血も吸わせてください。」


儂に異常性を感じた母様は儂を突き飛ばす。


どんっ


と数メートル先の壁にしたたか打ち付けられる。結構な勢いで打ち付けられた筈なのに全然痛みを感じない。


「母様・・・酷いです。私に手を上げた事なんて無かったじゃ無いですか。」


「貴女は何者です!?」


「え?・・・私は楓ですよ?母様??」

「・・・ねえ、父様。」


がぁぁぁぁぁぁっ


言葉にもならない声を発し、父様が起き上がる。先程まで負っていた怪我はすっかり治っている。


「あなた様?」


父様の目は虚ろで、光を宿していない。


「怪我が・・・治っている?でも、様子が・・・この禍禍しきチカラは?」


グォォォォォォッ


父様は母様に襲いかかる。


「え?」


「父様お止めください。ソレは母様ですよ?」

「そうだ、父様。村に出て血を吸いに参りましょう。きっと美味しいですよ?」


儂と父様は母様を残し、村に出ると村中のヒトの血を吸った。

儂は『吸血種』の『始祖』として目覚め、『吸血衝動』に呑まれるままに村一つを吸血種の村に変えた。


暫くすると、儂の村に100人ほどの兵が派遣された。

どうやら、儂を物の怪として退治するつもりらしい。

儂はその全てを返り討ちにし、血を吸った。

なんて気持ちの良い。儂は此所で血を吸い暮らせば良いと思った。


さらに時が経つ。

儂の村に母様がやってきた。

母様はやってくるなり、チカラを使い、次々と吸血種達を打ち倒していった。

新城は巫女の家系。母様の方が父様より数段強い。

そうして、父様も母様に敗れ、儂と母様が対峙する。


「母様は楓も殺すのですか?父様を殺したように。」


「楓、父様を殺したのは貴女です。貴女が父様をヒトでは無くしたのですよ?」

「周りを見てご覧なさい。そして自分自身を見てご覧なさい。」


母様は儂に鏡を手渡す。

鏡に映った儂は・・・血だらけで・・・そして、ヒトと呼べるモノでは無かった。


「・・・それが真実です。」

「貴女は物の怪に成り果てたのです。そして・・・やってはいけない事をしてしまいました。」


「ああぁぁぁぁ・・・」


儂は声にならない声を漏らす。

儂は既にヒトでは無く物の怪だったとこの時に気づいた。そして、儂が取り返しのつかない事をしていたのだと。

その時に儂の闇が晴れた気がした。少しだがヒトの感性が戻ったような気もした。


「・・・母様。私を殺してください。」


母様は首を横に振る。


「・・・其れは出来ません。其処までのチカラは私にはありません。」

「楓・・・貴女を封印します。」


こうして儂はこの地に封印石で封印され、後に新城が守り継ぐ『鎮森神社』が建立された。




−−−−−−−−−−




基本的に1週間に1回の更新になります。

次回更新は11月13日の14時30分頃になります。

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